ニンジン栽培

ニンジン(人参)の栽培方法・育て方のコツ

ニンジン栽培

家庭菜園の初心者の方向けに、ニンジン(人参)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。

ニンジン栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。

ニンジン栽培の特徴

種類 科目 好適土壌pH 連作障害
ニンジン セリ科 5.5〜6.5 連作可能

春から冬まで何回も作ることができる、定番野菜の「ニンジン」。

発芽させるのがやや難しいですが、うまく発芽させれば成功といえます。(発芽率70%と低め)

播種(種まき)から収穫までの日数は根長によって異なり、単根種で約80日、長根種で約140日となります。

ニンジンの根にはカロテンという色素が含まれ、この色素がニンジンをオレンジ色にします。カロテンはプロビタミンA(ビタミンAになる前の物質)であり、人の体内でビタミンAに変わることから、保健野菜として注目されています。

また、ニンジンは葉の部分も栄養があり、間引いたものも美味しく食べられます。

栽培のポイント

  • 種まきから発芽までは水分が必要。地表面が乾かないように注意する。
  • 苗が小さいうちは雑草をこまめに抜く

ニンジンの栽培時期

ニンジンの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。

春まきと夏まきの他に、トンネル栽培をすれば冬まきも可能。基本作型は、夏まき秋冬採りです。

ニンジン(人参)の栽培時期・栽培スケジュール

冬の間ずっとニンジンを畑に残しておくこともできるので、うまく栽培することで1年中収穫することも可能です。

また、ニンジンはある一定の大きさに育ってから低温にあうと、花芽ができて「とう立ち」してしまいます。そのため、夏まきの場合は、とう立ちしにくい品種を選ぶのもポイントです。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。

ニンジンの栽培方法

ニンジンの栽培方法は、次のような流れになります。

土作り

ニンジンは根が深く伸びるので、耕土が深く、保水力があり、排水性のいい土が適しています。

2条植えの場合は条間20〜30cmほどを確保できるよう、畝を立てます。

また、ニンジンの生長点である根の先端部分が障害物に触れると、根が分かれて「又根」になってしまいます。そのため、土の塊や石、植物の残渣などは丁寧に取り除き、深さ30cmくらいまでよく耕しておきます。

pHは5.5〜6.5が目安です。

肥料

ニンジンは肥料分の少ない土地でも育ちます。また、未熟な肥料があると又根の原因にもなるので、種まき直前の施肥は避け、早めに元肥を入れて耕しておきます。

肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

種まき

ニンジンの種
ニンジンの種まき

ニンジンは移植できないので、種は畑に直播きします。

ニンジンの種は発芽率が低く、低温/高温、乾燥した環境では発芽しにくい特徴があります。そのため、種まきから発芽までは特に注意が必要。

集団で種まきすると発芽率がよくなるので、条播きにして後で間引きます。

また、発芽には水分が必要なので、雨が降った翌日にまくのが理想です。乾いているときはたっぷり水をまいてから種をまきます。雨が降らず乾燥が続きそうなときは、発芽するまで毎日、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをしてやりましょう。

条間20〜30cmでまき溝を切り、種が均等になるように条播き。覆土は薄めにし、しっかりと鎮圧します。

種まきのポイント

  • ニンジンは「好光性種子」なので、土をかけすぎて光を感じなくなると発芽しない
  • 鎮圧が甘いと土が乾きやすい。しっかり鎮圧することで地中に溜まった水分が毛細管現象によって地表に上がり適度な水分が保たれると共に、水分の蒸発も抑えられる。

ニンジンの発芽率が低い理由

ニンジンの種の発芽率が他の野菜に比べて低いのには、次のような理由があります。

  • 採取のときに未熟種子が含まれやすい
  • 種子に発芽抑制物質が含まれている
  • 種子の寿命が短く(1年〜2年)、発芽率が低下しやすい
  • 高温や低温、乾燥条件下では発芽しにくい

不織布をかけて乾燥を防ぐ

種を蒔いたら、発芽まで水を切らさないことが大切です。

種まきの時に水やりをして、そのまま土が乾燥すると、表面が固くなって発芽できなくなります。

そのため、本葉が出揃うまでの2週間、やや湿った状態に水やりするのが良いのですが、その手間を省くために被覆資材を活用します。

ニンジン種まき後に不織布ベタ掛け

上から不織布や寒冷紗を(ふわりと)ベタ掛けしておくことで、畑の乾燥を防ぎ発芽しやすくなります。また、雨などで種が流れるのも防止できるのでオススメです。

ベタ掛けした被覆資材は、本葉が出て間引きを行う頃までそのままにしておきます。

連作障害

ニンジンは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。

また、ニンジンとインゲンを一緒に植えると、どちらも「ネコブセンチュウ」の被害を増大させるため、注意が必要です。

間引き・追肥・中耕

2回の間引きで、最終的には握りこぶし幅の間隔にします。

間引き1回目

ニンジン間引き1回目

本葉が2枚、草丈が5、6cmのころに、指2本くらいの間隔があくように間引きます。(間引き菜はサラダやパスタにパラパラかけると美味しいです)

また、ニンジンはゆっくり生長するので、生長の早い雑草に負けないよう、周りの雑草をこまめに抜いておきます。

間引き2回目・追肥・中耕

ニンジン間引き2回目
ニンジン間引き2回目でこぶし大幅にあける

根の太さが直径5mm前後の頃、2回めの間引きをし、握りこぶし幅(10〜15cm)の間隔をあけます。

この時、除草をかねて中耕、土寄せをしておきます。そうすると、土の中に空気が送り込まれ、排水性もよくなり、生育が促されます。

また、無施肥で栽培開始した場合や、生育が悪い場合は、畝間に追肥しておきます。

間引いたニンジンは、葉の部分も栄養満点で美味しく食べることができます。(間引き菜はパセリ代わりに、細い根はかき揚げやきんぴらに使えます)

間引いたニンジン

株元に土寄せ

ニンジンに土寄せ

ニンジンのオレンジ色の部分は、胚軸(葉と根の間の組織)と根が一体化して肥大した部分なので、光が当たると光合成して緑化してしまいます。

肩の緑化を防ぐため、根首が隠れるように土寄せをしておきましょう。

ジャガイモ」は日に当たると有毒のソラニンが生成されて緑色になりますが、ニンジンの場合は葉緑素(クロロフィル)なので、緑化した部分を食べても無害です。

収穫

ニンジン収穫期
ニンジンの収穫期
ニンジンの収穫
収穫したニンジン

種まきから3ヶ月半ほど、葉が茂ってくる頃が収穫期になります。

根元を少し掘って太さを確認し、根が太ってきたものから収穫。品種にもよりますが、長さ15cmくらいで収穫します。

収穫する際は、茎の下の方を持って真っ直ぐ上に引き抜きます。

確認のために掘った土は、そのままにしておくとニンジンが緑化してしまうため、収穫しない時は土を掛けておきましょう。

また、成長し過ぎたニンジンは実割れ(裂根)を起こすため、採り遅れないように注意。11月中旬以降に収穫サイズに育ったニンジンは実割れの心配がないため、ゆっくり収穫することができます。

越冬収穫するには

霜が降りだすと葉が枯れて成長が止まります。

しかし、根は気温の影響を受けにくく耐寒性があるので、ニンジンが隠れるように土を掛けておけば、春までそのままで置いておくことも可能です。

側根が等間隔に並んでいるものが美味しい

ニンジンは側根が等間隔に並んでいるものが美味しい

収穫したニンジンを見ると、側面に小さなくぼみが縦に並んでいて、そこから細く短い根(側根)が生えています。

側根が等間隔に並んでいるものは、生育が順調で美味しいニンジンの証。有機肥料でゆっくり育ったニンジンは等間隔に1列に並びます。

逆に、側根の間隔が狭い/広い部分があるものは、その間の生育条件が悪かった証拠です。

生育障害

収穫したニンジンが次のような場合、生育に問題がある状態です。

又根・岐根

又根のニンジン

ニンジンが二股などに枝分かれしたもの。

生育の途中で、根の先端に障害物があたると、又根になります。畝を作る際に、石やごみ、草や野菜の残渣は取り除き、土の塊などがないようにしておくことが大切です。

また、肥料のやり過ぎにも注意。根の発育が良くなり過ぎたり、肥料やけで生長点がやられてしまうことも、又根の原因になります。

裂根

ニンジンの割れ

ニンジンにひび割れが入る現象。

生育後期の過湿など、土壌水分の急激な変化がきっかけで、根の中側と外側との成長バランスが崩れたことが主な原因です。

また、収穫期に裂根するのは、収穫の遅れによる過熟が原因です。

収穫したニンジンが白色

先祖返りで白色のニンジン

一般的な赤色のニンジンを植えたのに、同じ種から1本だけ白いニンジンができた。

これは生育障害ではなく、ごくまれに起こる「先祖返り」と呼ばれる現象で、原種の特徴が出たニンジンができる場合があります。

食べられますが、美味しくありません。

発生しやすい病害虫

ニンジンに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。

病気

うどんこ病

葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。

⇛ うどんこ病の症状と対策・予防法

黄化病

葉が黄変または赤変します。生育初期に感染すると生育が抑えられます。

原因ウイルスをアブラムシが媒介します。

黒葉枯病(くろはがれびょう)

葉や茎に黒褐色の病斑ができ、葉の先端部から茶色く枯れていきます。

夏に発生しやすく、発病した葉は切り取って処分。乾燥や肥料切れに注意しましょう。

白絹病(しらきぬびょう)

地ぎわ部を侵し根が軟化腐敗、葉はしおれた後に枯れます。

地ぎわ部とその周囲の地表に白い綿状の菌糸ができ、あわ粒状の褐色の菌核ができます。

予防としては、未熟有機物の施用を避け、土壌酸度を適正に管理します。(酸性度(pH)の測定・調整方法

モザイク病

葉に濃淡のモザイク模様が現れ、ひどくなると葉は縮れて奇形化します。

原因ウイルスをアブラムシが媒介します。

⇛ ウイルス・モザイク病の症状と対策・予防法

害虫

キアゲハ

体長5cmほどと大きく、黒と黄緑の縞模様にオレンジ色の斑点が特徴のイモムシ状の幼虫が、葉を食害します。

⇛ アゲハチョウ類の特徴と対策・予防法

ニンジンアブラムシ

セリ科特有のアブラムシで、緑〜暗緑色の小さな虫が芯葉に集団で群がって吸汁加害します。

モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要。

⇛ アブラムシの特徴と対策・予防法

ブチヒゲカメムシ

体長11〜13mm、赤褐色〜黄褐色の六角形をした昆虫が、実を吸汁加害します。

⇛ カメムシの特徴と対策・予防法

キクキンウワバ(ヤガ類)

体長4cmほど、緑色の体に小さな黒斑点が特徴の毛虫状の幼虫が、葉を食害します。

⇛ ヤガ類の特徴と対策・予防法

ネグサレセンチュウ

根に寄生し、根を腐らせたり葉を枯らせる土壌病害虫。

⇛ センチュウ類の特徴と対策・予防法

ヨトウムシ

ニンジンについたヨトウムシ

オレンジ色の体に白い筋が特徴のイモムシ状の幼虫が、葉を食害します。

⇛ ヨトウムシの特徴と対策・予防法

他にも「ニンジン」関連の記事を読む