家庭菜園の初心者の方向けに、エダマメ(枝豆)の栽培方法を紹介します。
基本情報
ダイズ(大豆)を若いうちに収穫して野菜として食べるのがエダマメ(枝豆)です。
茶豆や黒豆など品種も多くありますが、栽培時期が異なることがあるので事前に確認しておきましょう。
元肥は少なめに、種まき後の鳥害対策に気をつける、収穫適期を逃さないなどが栽培のポイントです。
- 根粒菌が栄養分を作り出すので、肥料(窒素)は少なめにする
- 畑に直播きする場合は、鳥害対策をする
- 株全体の8割くらいが膨らんだら収穫する
栽培時期
エダマメ(枝豆)の栽培カレンダーです。
中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
早採りする場合は育苗して畑へ植え付け、普通・遅採り栽培では畑に直播きして栽培します。
栽培方法
エダマメ(枝豆)の栽培は、次のような流れになります。
土作り
種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
土壌酸度(pH)の目安は6.0〜6.5です。
肥料
マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出します。(根に形成された粒が、根粒菌のコロニー)
そのため、窒素肥料を控えめにし、元肥を施したあとは基本的に追肥は施しません。(開花前後から根粒菌が本格的に窒素供給を始めます)
肥料分が多すぎると過繁茂になり、さやのつきが悪くなる上に、どんどん伸びて倒伏しやすくなるので注意。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
種まき
エダマメの種はダイズです。
1ヶ所に3粒ずつ、深さ2cmくらいに種まき。土を被せて軽く押して鎮圧し、たっぷりと水をやります。
株間は、早生種は密植で20〜30cm、中生・晩生種は粗植えで30〜40cmにします。
種まき直後はカラスやハトが豆や芽を食べてしまうことが多いので、「不織布」などをベタ掛けしておくと安心です。初生葉が展開すると鳥に食べられなくなるので、不織布は取り除きます。
初生葉が開いたところで、生長のよい苗を1〜2本残して間引きします。
早採り栽培は育苗する
夏の早い時期に収穫するエダマメは、育苗して畑に植え替えます。
ポット(3号:9cmサイズ)に種まき用の培土を詰め、3粒ずつ種をまきます。1cmほど覆土、鎮圧して、たっぷりと水をやります。
そのまま育苗して、初生葉が展開したら1〜2本に間引き、本葉が展開したら畑に植え付けます。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
20日〜25日 | 25〜30℃ | 20〜25℃ |
土寄せ
草丈10cmの頃に1回目の中耕。畝間を軽く耕し、株元に土寄せします。中耕することで、雑草を防ぎ、苗の根に酸素を送る効果があります。
草丈20cm〜30cmに生長したところで、2回目の中耕と土寄せを行います。
本葉5枚で摘心
エダマメのさやが付くのは、節の部分、葉や枝のつけ根です。そのため、枝数が増えれば節の数も増えて、収穫量が多くなります。
枝数を増やすのに効果的なのが摘心。本葉5枚が展開する頃に頂芽を摘み取ります。
すると、主茎の養分が行き場を失い、側枝の生育に回って、枝数が増えやすくなります。
また、草丈が低く抑えられることで、株の倒伏防止にも役立ちます。
開花
エダマメの花は葉のつけ根に付きます。品種により白色やピンクなどがあります。
花のあと、さやが付きます。
開花からさやが付きだすまでの期間、しっかり水分補給ができていないと豆が太らないので注意。
雨が降らず乾燥する時期は、水やりする必要があります。但し、エダマメは湿害に弱いので、量は少なく、回数を多めにしましょう。
収穫
さやが大きくなり、実がしっかり膨らんだら収穫時期です。
未熟豆を食べるエダマメは収穫適期が短く、さやの中の実が全て膨らむまで待っていると採り遅れになります。
株ごと引き抜いて収穫する場合は、全体の8割くらいが膨らんだ段階で収穫してしまいましょう。
大きくなったさやから、ハサミで切って収穫するもよし。株元にスコップを入れて、株ごと引き抜いてもよし。
エダマメは枝から切り離すと急激に鮮度が落ちるので、収穫後すぐに茹でるようにしましょう。
葉付き、枝付きのまま持ち帰り、茹でる直前にさやを外すのがオススメです。
ダイズの収穫
エダマメの時点で収穫せずに待ち、葉も茎も枯れてカラカラに乾燥すれば、ダイズとして収穫することができます。(晩生種)
写真は、ダイズの一種である黒豆。
収穫直後は水分が多いので、十分に乾燥させてから豆を取り出すのがポイントです。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
エダマメは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を3〜4年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
エダマメには、マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があるため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
他に、エダマメと相性のいい野菜には次のようなものがあります。
栽培Q&A
エダマメ(ダイズ)は、種の寿命が短いため、2〜3年も経つと発芽率が極端に悪くなります。新しい種を購入してまくか、自家採取なら昨年採れた新豆をまくようにしましょう。
また、まいた種や発芽したばかりの若芽は鳥の大好物なので、鳥に食べられているかもしれません。種まき後すぐに不織布などを掛けて鳥害対策するようにしましょう。
茎葉が旺盛に茂っているのに”さや”の付きが悪いのは、「つるぼけ」を起こしています。
原因は窒素肥料の過多です。肥料を控えにしましょう。