肥料には数多くの種類があり、大きくは「有機肥料(有機質肥料)」と「化学肥料」に分けられます。
ここでは、それぞれの特徴と長所・短所を纏めています。
有機肥料の特徴
有機肥料(有機質肥料)とは、油粕や米ぬかなど植物性の有機物、鶏糞や魚粉、カキ殻など動物性の有機物を原料にした肥料。
土壌微生物が分解することで吸収可能となるので肥効が長く、濃度障害を起こしにくく、微量要素やアミノ酸を含んでいますが、栄養分の含有量が低く、化学肥料と比較すると成分量当たりの価格が高くなります。
また、土壌微生物や土壌生物の餌になることから、それらの種類が増えて生物相が豊かになり、土の緩衝力が高まる効果もあります。
一方で、肥料として植物が利用するには微生物の協力が必要なため、土の状態によって肥効が左右されるなど、扱いが難しい部分があります。
有機肥料の長所・短所
長所
- ゆっくり効果が現れ、肥効が長く続く(緩行性)
- じわじわ効くので、野菜もゆっくり健全に生長する
- 土壌中の微生物の種類が増える
- 土の緩衝力(養水分を保持し供給する力)が高まる
短所
- 土壌微生物に分解される過程でガスや熱が出るため、作付けまでに時間が必要(2週間ほど)
- 成分量が化学肥料ほどはっきりしていない
- 化学肥料より成分量当たりの価格が高い
化学肥料の特徴
化学肥料とは、鉱石や空気中の窒素ガスなど、自然界に存在する無機物を原料に化学合成した肥料。
含まれる成分量にむらがなく、水に溶ければ根が吸収できる形になるため、必要量が明確で誰にでも扱いやすいのが特徴です。
一方で、化学肥料だけに頼っていると土壌中の有機物が減少してしまうため、土の緩衝力がなくなるというデメリットも。そのため、化学肥料と有機肥料をうまく組み合わせて使うことが大切です。
施肥後すぐに効果が現れる「速効性肥料」と、成分を被覆したり難溶性化合物に合成することで施肥後の効果がゆっくり現れる「緩効性肥料」があり、用途によって使い分けることができます。
また、化学肥料の中で、N(窒素)P(リン酸)K(カリ)の三要素のうち、2種類以上の成分を含むものを「複合肥料」、1種類だけのものを「単肥」と呼びます。
三要素の成分量の合計が15〜30%のものを「普通化成肥料」、30%以上のものを「高度化成肥料」と呼びます。
化学肥料と化成肥料は製造工程に違いがあり、化学肥料の原料や単肥を混合し、化学的処理を加えることによって製造した複合肥料のことを「化成肥料」と呼びます。
化学肥料の長所・短所
長所
- 施肥した後すぐに効く(速効性)
- 成分量が明確で施肥量の調節が容易
- 施肥の労力が掛からない
短所
- 過剰施用で濃度障害(肥やけ)を起こしやすい
- 土壌改良に役立たない
- 化学肥料だけを使っていると、土の中の有機物が減り、土の緩衝力がなくなる