インゲン(いんげん豆)の栽培方法・育て方のコツ

インゲン(いんげん豆)の栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、インゲン(いんげん豆)の栽培方法を紹介します。

基本情報

インゲン(いんげん豆)栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
マメ科15〜25℃6.0〜6.5あり:2〜3年あける

収穫までの時期が短く、何回にも分けて作ることができるインゲン。

MEMO

一年で三度も収穫できることから、関西では「サンドマメ(三度豆)」とも呼ばれます。

インゲンは豆を食べるというより若い幼果のサヤを食べます。

サヤがふっくらしているものの、豆の部分に膨らみが見られない未熟なインゲンは柔らかく甘みがあります。逆に、収穫が遅れ豆の部分が膨らんでくると、甘みは増すもののサヤが固くなってしまいます。

また、若採りすることで株は勢いを保ち、次々と花を咲かせて収穫量も増えるため、早めの収穫を心掛けましょう。

尚、インゲンには、ツルを長く伸ばす「つるあり種」と短い「つるなし種」があります。

  • つるあり・・・高い支柱を立てる必要があるが、収穫期間が長く収量も多い
  • つるなし・・・収量は少ないが、支柱がいらず手軽に作れる

育てる際には、どちらの品種か確認しておきましょう。

栽培のポイント
  • マメ科の野菜には珍しく、肥料(窒素)は多めに必要
  • ツルあり種は支柱を立てて誘引し、風通しを良くしてアブラムシの発生を防ぐ
  • 実を長くつけすぎると株が弱るので、大きくなったものから早めに収穫する

栽培時期

インゲンの栽培スケジュールです。

インゲン(いんげん豆)の栽培時期・栽培スケジュール

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。

畑に直播きするのは5月以降の暖かくなってから、それまではポットで育苗します。

つるなし種は、”種まきから収穫までの期間”と”収穫できる期間”ともに短いので、4月〜7月の間に何回かに分けて種まきをすることで、安定して収穫することができます。

栽培方法

インゲンの栽培は、次のような流れになります。

土作り

耕運機で耕して土作り作業

種まき/植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。

土壌酸度(pH)の目安は6.0〜6.5です。

肥料

マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出します。(根に形成された粒が、根粒菌のコロニー)

マメ科の根に付いている根粒菌

そのため、マメ科の植物には窒素肥料を控えめにし追肥は施さないのが通常ですが、非常に生育の早いインゲンは多くの肥料を必要とするため、しっかりと追肥も施します。

つるぼけにならないよう、元肥は控えめに。

肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

種まき

種は畑に直播きします。

株間30cmで1ヶ所に3〜4粒ずつ、深さ1cmくらいに種まき。土を被せて軽く押して鎮圧し、たっぷりと水をやります。

種まき直後は、カラスやハトが豆や芽を食べてしまうことが多いので、本葉が出るまで「不織布」などをベタ掛けしておくと安心です。

インゲンの種の鳥害対策に不織布を掛ける

本葉2枚が出たところで、生長のよい苗を2本残して間引きします。

インゲン苗を間引いて2本立ちにする
MEMO

苗を2本残して競合させた方が、根張りがよく、実りがよくなるとも言われます。

育苗して植え付けも可能

インゲンは、育苗してから畑に植え付けることもできます。

ポット(3号:9cmサイズ)に3〜4粒ずつ種をまき、初生葉が展開したときに間引いて2本立ちにします。

そのまま育苗して本葉2枚の苗に仕上げ、2本立ちのまま畑に植え付けます。

育苗日数発芽適温生育適温
約20日25℃前後15〜25℃
インゲンの育苗管理

支柱立て・誘引

つるあり

つるありインゲンの場合、つるが伸び始めた頃に支柱を立ててネットを張り、ツルを誘引します。

注意

支柱立てが遅れると、隣のツルと絡まり合って始末に負えなくなります。

下の方の葉が混んでいるときは、わき芽をかいて風通しを良くしておきましょう。

つるなし

つるなし種は、草丈が伸びてさやが肥大すると重みで倒れてくるので、短い支柱を立てて紐で囲んだり、一つずつ紐で誘引して倒伏を防ぐようにします。

つるなしインゲンの誘引

追肥

追肥は開花と初収穫のタイミングで行います。

インゲンの花は1つ咲き始めると次々に咲きます。実に栄養を回すため、最初の開花時に1回目の追肥を施します。

インゲンの開花

収穫が始まったら2回目の追肥を施します。

注意

栄養過多だと「アブラムシ」が付きやすいので、アブラムシが付いているときは追肥を控えましょう。

収穫

花の後には小さな実がつきます。

インゲンの花の後に小さな実がつく

サヤの長さが10〜15cmになれば収穫の適期。(さやの中の豆が膨らむ前が採り頃。でこぼこが目立つようでは適期を過ぎています。)

サヤの上をハサミで切るか、手でもぎ取って収穫します。

実を長くつけすぎると株が弱るため、大きくなったものから早めに収穫。こうすることで長期間、収穫できるようになります。

注意

収穫が遅れ、サヤの中の豆が肥大し始めると、新たな花芽を形成することを止め、豆の肥大に養分を供給するようになります。特に「つるなし種」は、豆が肥大して固くなると、完全に生育が止まってしまうので要注意。

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

インゲンは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

インゲンには、マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があるため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。

他に、インゲンと相性の良い野菜には次のようなものがあります。

コンパニオンプランツ効果
ゴーヤインゲンにつくアブラムシカメムシアズキノメイガなどの害虫を忌避する。
どちらもつる性野菜なので支柱やネットを有効活用できる。 
トウモロコシインゲンにつくアズキノメイガと、トウモロコシにつくアワノメイガ、どちらの被害も抑えられる。
トウモロコシの株間につるありインゲンを植えることで、トウモロコシの茎を支柱代わりに絡みついて伸びる。
インゲンと相性の良い野菜
ゴーヤとインゲンの混植(コンパニオンプランツ)
インゲン×ゴーヤ

栽培Q&A

受粉不良が原因です。

受粉が不完全で生育が悪いと、豆の一部が膨らまず、サヤが曲がったりします。

固くてスジっぽくなり、味も落ちてしまいます。

真夏に30度以上の高温になると、花が落ちやすく実つきが悪くなります。栽培時期を調整しましょう。

また、葉が大きくでこぼことうねっているなら、肥料過多による過繁茂が原因です。今ついているサヤの収穫を遅らせ、着果負担により草勢を落ち着かせましょう。

他には、なり疲れや乾燥が原因の可能性があります。早めの収穫、水やりをして様子を見ましょう。

関連記事