
家庭菜園の初心者の方向けに、キャベツの栽培方法を紹介します。
基本情報

キャベツは「春まき」「夏まき」「秋まき」と、まき時が3回あります。
どの時期も苗作りの温度管理をすることがポイント。
大きく充実した球をならせるには、追肥と土寄せをしっかりと行い、外葉を大きく葉数を多く育てることが大切です。
播種(種まき)から収穫までの日数は、約110日〜140日となります。(品種・作型によって異なります)
- 春まきは保温しながら育苗、夏まきは涼しく管理して育苗する
- 大きな球を作るには、追肥と土寄せを適期に行う
- アオムシがつくので防虫ネットで防ぎ、ついた害虫はこまめに取り除く
栽培時期
キャベツの栽培スケジュールです。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
春まきは保温、夏まきは涼しく温度管理して育苗し、その後畑に定植します。
比較的冷涼な気候を好み、生育初期は耐暑性・耐寒性ともに強いのですが、結球が始まると弱くなります。28℃を超えると生育が衰え、病害の発生も多くなるので注意しましょう。
真夏を除き1年中栽培できますが、いちばん育てやすい時期は、秋から冬にかけて収穫する作付けです。
栽培方法
キャベツの栽培は、次のような流れになります。
種まき・育苗
ポット(3号:9cmサイズ)に3粒ずつ種をまき、軽く覆土して、たっぷりと水をやります。


ポット苗は、春まきは保温資材を使って暖かい環境で、夏まきは遮光資材などで高温対策を施して育苗します。

本葉2枚の頃に間引きをして1本立ちにし、最終的に本葉5〜6枚の苗に仕上げます。


育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
約35日(夏まき) 約40日(春・秋まき) | 15〜25℃ | 15〜20℃ |
土作り

植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
pH5.0以下だと「根こぶ病」の発生が多くなるので、土壌酸度(pH)の調整はしっかりと行いましょう。pHの目安は5.5〜6.5です。
キャベツは土壌中の湿度が高いと根腐れが起きやすくなるため、高畝にして水はけをよくしておきます。
肥料
キャベツは、肥沃な土を好みます。結球させるために、初期育成を促して外葉の展開を早めることが大切です。
葉を育てる野菜ですが、窒素だけでなくカリの吸収量も多く、結球期に入ると急増します。
肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
尚、肥料が多すぎると生長は早くなりますが、外葉ばかりが大きくなって甘さが出なくなるで注意。
植え付け
本葉5〜6枚の頃が、定植の適期です。株間30〜40cmほどで、畑に定植します。


定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
植えた苗がしおれてしまわないように、炎天下の日中は避け、日差しが和らぐ夕方などに植え付けます。
防虫ネットを掛ける
定植したら、アオムシや芯食い虫などの害虫を防ぐためにトンネルに防虫ネット/寒冷紗を掛けておきます。

特に夏まき、秋まきでは害虫がつきやすいので要注意。葉の中心の柔らかい茎を食べる「芯食い虫」、外葉を食べる「アオムシ」や「ヨトウムシ」は、見つけたら随時ピンセットでつまみ出しておきましょう。
また、定植後、株まわりに堆肥や腐葉土でマルチをすると、ヨトウムシの卵を食べてくれるクモ類を呼ぶ効果があります。
追肥・土寄せ

大きな球を作るためには、結球開始期までに外葉を大きく、葉数を多く育てることが大切。そのためには、適期に追肥を施すことがポイントです。
- 春まき・夏まき・・・植え付け2週間後に1回目、結球が始まる前に2回目の追肥
- 秋まき春採り・・・春に新葉が動き出したら1回目、結球が始まる頃に2回目の追肥
また、追肥と同時に中耕と土寄せをしておきます。
結球し始める
株が大きくなると、少しずつ中心が巻き始めます。(外葉が10枚を越えるくらいから始まります)


肥大充実期に土壌が過湿になると裂球してしまうため注意。結球後にビニールトンネルを設置するなど、雨よけ対策をしておくと安心です。
また、夏まき冬採り栽培では、結球してから寒害に遭うことがあるため、結球期に不織布などのベタ掛け資材で覆って保温しておきましょう。


収穫
球が肥大した頃、手でギュッと押さえてみて、固く締まっていたら収穫時期です。
ふわふわと柔らかければ、もう少し様子を見ましょう。球が小さくても、固く締まっていればそれ以上大きくならないので収穫してしまいます。



外葉を広げて球を少し傾け、株元を包丁で切って収穫します。
収穫が遅れると球が割れたり、葉が固くなったりして味が落ちるので、採り遅れには注意しましょう。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
キャベツは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
「萎黄病」の原因となるフザリウム菌は連作すると出やすくなるので、輪作や混植、間作を取り入れて菌の密度を減らしましょう。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
キャベツと相性のいい野菜には次のようなものがあります。

栽培Q&A
秋に種をまいて春に収穫する場合は、キャベツのとう立ちに注意が必要です。
キャベツはある程度の大きさに育った苗が1ヶ月くらい低温にあうと花芽ができてとう立ちのスイッチが入ります。そして、高温・長日になる春に、結球を放棄してとう立ちしてしまいます。
そこで、次のように工夫することで、とう立ちを防ぐことができます。
- とう立ちを起こしにくい秋まき用の品種を選ぶ
- 小さい苗で冬越しさせる
- 寒さを防ぐトンネルの中で育てる
キャベツの外葉の表面が紫色(赤色)になる場合があります。
これは、アブラナ科野菜に含まれる「アントシアン」という色素で、寒さに当たると紫色(赤色)になる現象が起きやすくなります。

色が変わるのは外気に直接当たる外葉だけで、1枚葉をむけば中は通常の緑色の状態です。
ちなみに、葉が赤くなっても問題なく食べられます。寒さに当たったキャベツは甘みが増して美味しいですよ。
キャベツは内側から外側に成長する野菜。
収穫適期を過ぎても生長し続けるため、収穫が遅れると、内側からの圧力に耐えられなくなり、裂球してしまいます。
また、結球期に土壌水分が多湿になっても、裂球の原因となります。
割れた部分が空気に触れると、酸化して味も落ち、腐りやすくなってしまうため、収穫適期を逃さないようにしましょう。
球が小型になるもの。
春採り栽培で大苗を早植えし、冬季の乾燥が激しいと発生します。