ネキリムシ|被害の特徴・生態と防除方法

ネキリムシ(根切り虫)

ネキリムシ(根切り虫)」は、植物の根元をかじり、倒伏や生育不良を引き起こすイモムシ状の幼虫です。

本記事では、被害の特徴から生態、効果的な防除方法までを写真付きで解説します。

被害の特徴

苗が地ぎわで噛み切られて横倒しになったり、切られた葉などが土の中に引きずり込まれたりします。

一見すると根を切られたように見えるため「ネキリムシ(根切り虫)」と呼ばれます。

MEMO

その名前から根を食害すると誤解されがちですが、実際は地ぎわの茎を食害します。

夜行性で、昼間は土に潜って隠れ、夜間に地上に現れて活動します。

雑食性で近くにエサになる植物があればそれを食べます。発芽したばかりの苗や植え付け直後の苗が食害されるのは、他にエサがないから。雑草のないキレイな畑は被害がでやすくなります

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畑には似たイモムシが多いので、種類の特定にはこちらが参考になります。

生態

ネキリムシは、カブラヤガ、タマナヤガなど「ヤガ類」の中で茎を食害する幼虫の総称。

年2〜5回の発生。

土の中で幼虫が越冬。春になると、成虫が雑草や植物の地際の古い葉や枯れ葉に1〜2個ずつ産卵。孵化した幼虫ははじめ昼間も活動して葉を食害し、成長すると昼間は土に潜るようになり夜行性になります。

防除方法

対処法

昨日まで元気だった苗が翌朝にパタリと倒れていたら、ネキリムシの可能性が高いです。

幼虫は、昼間は被害を与えた苗の付近の土中に潜り込んでいるので、数cmほど掘り返して探し、見つけたら手で捕まえて駆除します。

農薬(殺虫剤)を使う場合は「ネキリベイト」などが効果的です。株元にばらまくだけで土の中に潜むネキリムシを誘い出し、食べさせて退治します。

効果は速効性で、植え付け後や発芽後の作物をネキリムシから守るので、被害防止に有効です。

注意

農薬は「使用できる作物」が決められており、それ以外の作物には使用できません。農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、作物にあった薬剤を選びましょう。

予防法

幼苗の胚軸など柔らかい部分しかかじれないので、本葉4枚以上の大きさの苗を植えると安心です。

生えたての雑草もネキリムシにとってはご馳走なので、種をまいた畝にほどよく雑草を生やしておくと被害が軽減します。

また、株元に近寄れないようにすることで、ネキリムシから若苗を守ることができます。

高さ5cmほどのプラスチック筒を地面に1〜2cm差し込み、株元を覆うことで保護します。ペットボトルを輪切りにしたものが簡単で便利です。

尚、秋野菜に「米ぬか」や「ボカシ肥」を用いると、「ネキリムシ」や「ヨトウムシ」が増えます。

施用する場合は、深さ30cmほどの溝を掘って施す(溝施肥)や、完熟したものであれば、通路や畝にごく薄くまくだけにしておくなどの方が無難です。

MEMO

植物の様子がおかしいと思っても、症状から見分けるのは難しいもの。

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