
家庭菜園の初心者の方向けに、ズッキーニの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ズッキーニ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ズッキーニ栽培の特徴

ズッキーニは、ウリ科のペポカボチャという仲間で、別名をつるなしカボチャと言います。
ツルは伸びませんが、大型の葉が広がるので、栽培には広い面積が必要です。
次々と実がなるので、肥料切れにならないよう定期的に追肥して草勢を維持するよう管理します。
大きなキュウリのような形をしていますが、丸型やUFO型もあり、色も緑から黄緑、黄色まで、さまざまな品種があります。
- 一株が大きく育つので、十分な株間と畝間をとって植え付ける
- 苗が小さいうちは、寒冷紗などでトンネル掛けして保温、害虫予防する
ズッキーニの栽培時期
ズッキーニの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
3月中旬にポットに種を蒔いて育苗し、5月上旬頃に定植、7月〜8月頃の収穫です。
直播きも可能で、4月下旬以降、暖かくなってから種をまきます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ズッキーニの栽培方法
ズッキーニの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




12cmポットに1粒ずつ、指で1cmの深さに押し込んで種をまきます。
軽く土をかけ、たっぷりと水をやります。
ポット苗は、そのまま暖かい環境で育てます。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
土作り
ズッキーニの原産は中南米の砂漠周辺。同じウリ科のスイカやカボチャ同様、乾燥と過湿を嫌います。
梅雨に入っても障害が出ないよう、高めの畝を用意して水はけをよくしておきます。
また、育つと大型の葉が広がるので、広い面積が必要になります。株間100cmほど確保しておきたいところ。
pHは6.0〜6.5が目安です。
肥料
実が次々につくので肥料は多く必要ですが、生育初期に肥料が多いと、葉ばかり茂って実がつかない「つるぼけ」になります。
元肥は控えめして、定期的な追肥で補うようにしましょう。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害
ズッキーニは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。
植え付け


本葉が4〜5枚出たら、株間100cmほどあけて畑に定植します。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
2株以上育てると受粉しやすくなります。
また、苗が小さいうちはトンネル掛けして保温、害虫予防しておくと安心です。
マルチング
ズッキーニは根が浅いので、植え付け直後は土が乾き過ぎないように、マルチを張って乾燥と泥はねを防ぎます。
また、実が土に触れると傷みやすいので、敷きワラを敷いておくのもオススメです。
追肥は月に2回

植え付けから2週間後、株が大きくなってきたところでトンネルを外します。
このタイミングで1回目の追肥を株間に施します。
以降、2週間に1度ずつ、畝の肩に追肥を行います。
支柱
ズッキーニはつるなし(立ち性)のカボチャですが、葉の展開に伴って茎は伸長します。このため、生育途中から倒れて地面を這います。
そこで、斜めに2本の支柱を立て、茎を横向きに誘引します。こうすると光が葉によく当たるようになります。

尚、茎を縦に誘引すると、茎が長くなる生育中期〜後期に茎葉の重みや風で揺れたときの負荷で茎が折れてしまうので、工夫が必要です。
私も写真のように支柱を立てて試したことはありますが、途中から茎への負担が大きくなり、最後には折れてしまいました…


また、株の周りを支柱で囲み、茎がもたれかかる状態にして株全体を支えるようにすると安定度は増しましたが、支柱が花や実の邪魔になってしまいます。

他の方法として、主枝を固定するのではなく、葉柄を縛って固定する方法もあるようで、次はそれを試してみたいと思います。
人工授粉

雌花が咲いたら、受粉させます。
花のガクの下に膨らみがあるのが雌花、ないのが雄花です。


ズッキーニは、受粉しないと果実が肥大しません。
昆虫や風によって自然に受粉することもありますが、確実に着果させるために人工授粉させておきます。
雌花は早朝の短い時間にしか咲かないため、開花したら、遅くても朝の9時前には人工授粉を行います。
雄花を取って(または筆や綿棒を使って雄花から花粉をとり)、雌花の柱頭にこすりつけて受粉させます。


尚、受粉がうまく行われないと、均一に肥大せずに先細りした果実になってしまいます。
この実は大きく育たず、食用にもなりません。残しておくと腐ってしまい、病気が蔓延する原因になるため、未受粉の実は見つけ次第、はさみで切って処分しておきましょう。



収穫
開花後、4〜5日ほどで収穫適期です。
実の長さが20cmほどになったら、果梗からハサミで切り取って収穫します。



尚、収穫が遅れるとヘチマのように大きくなって食味が落ち、株にも負担が掛かるため、早めに収穫するようにしましょう。
下葉刈り

また、ズッキーニは成長するに従い、大きめの葉が混み合って風通しが悪くなります。
そこで、実を収穫したら、すぐ下の葉を切り取って風通しをよくしてやります。日当たりが良くなり、株も長持ちし、すっきりして収穫もしやすくなります。
花ズッキーニ

開花前後の雌花をつけたまま収穫したものを「花ズッキーニ」と呼びます。(写真は少し大きすぎ。10cmくらいの実が適正です。)
花弁の食感と幼果のほんのりとした甘さが特徴で、花の中にひき肉や米などを詰めた料理で人気です。
花弁が傷つくと価値が台無しになるので、丁寧に扱いましょう。
トラブル・生育不良
ズッキーニ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
途中から実がつかない
ズッキーニは未熟果を次々と収穫する性質上、肥料不足になりやすい特徴があります。
実がなり始めた当初は順調に採れるものの、4〜5本収穫したところで後が続かない場合は、肥料切れの症状です。
収穫が始まったら2週間に1回追肥して、草勢を維持するようにしましょう。
また、品種ごとの適正な大きさで収穫して採り遅れないようにすることも、株疲れを防ぐ対策の1つです。
実が小さいまま腐る
ズッキーニの実が途中で腐ってしまうのは、受粉ができていないのが原因です。
特に、1株しか育てていないなど株数が少ないと受粉しにくいので、人工授粉してあげましょう。
発生しやすい病害虫
ズッキーニに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
うどんこ病
葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。
軟腐病(なんぷびょう)
組織が水浸状になり、軟化して独特の悪臭を放ち腐敗します。
モザイク病


葉に緑色濃淡のモザイク症状が生じて萎縮します。
原因ウイルスをアブラムシが媒介します。
その他の病気 | |
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疫病 | 葉がしおれ、茎は水浸状に軟化腐敗して株元に白いカビが発生します。 |
害虫
ウリハムシ
体長7〜8mmで茶色の甲虫が、葉を食害して穴だらけにしてしまいます。
その他の害虫 | |
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アブラムシ | 小さな虫が茎や葉に群棲し吸汁加害します。モザイク病のウイルスを媒介するため注意。 |
オオタバコガ | イモムシ状の幼虫が蕾を食害します。 |