
家庭菜園の初心者の方向けに、カボチャの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
カボチャ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
カボチャ栽培の特徴

夏野菜の代表格であるカボチャ。
ホクホクとした粉質で甘みの強い「西洋系カボチャ」と、煮物や揚げ物などに向く粘質の「日本カボチャ」、色や形が面白い変わりものの「ペポカボチャ」に大別されます。
土壌病害にも強いので初心者でも育てやすく、1株で5、6個のカボチャが収穫可能。
難点は、つるが広がって場所をとるので広い栽培面積が必要なこと。それが難しい場合は、ミニカボチャを選んで棚や支柱に誘引する立体栽培にすると場所をとりません。
- ツルが伸びて広がるので広い栽培面積が必要
- 吸肥力が強くツルボケしやすいので、元肥は控えめにする
カボチャの栽培時期
カボチャの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
3月下旬頃にポットに種を蒔いて育苗し、4月下旬頃に定植、7月〜8月頃の収穫です。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
カボチャの栽培方法
カボチャの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




12cmポットに1、2粒ずつ、指で1cmの深さに押し込んで種をまきます。
軽く土をかけ、たっぷりと水をやります。
ポット苗は、そのまま暖かい環境で育てます。
発芽後、間引いて1本立ちにします。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
土作り
カボチャの原産地は乾燥した砂漠のような荒地なので、水はけの良い土地でよく育ちます。肥沃さも求めません。
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
pHは6.0〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、畝を立てます。
粘土質の畑であれば、もみ殻堆肥などの粗い有機物を入れて高畝を作り水はけを良くしておきます。
育つとツルがどんどん伸びて広がるので、地這い栽培の場合は広い面積が必要になります。畝幅80cm、株間90cmは確保しておきましょう。
肥料
窒素過多だと「ツルボケ」して果実がならない場合があるので、施肥量は適度に。追肥で調整します。
実付きが悪い場合は「草木灰」などを入れてカリを多めに施します。「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害
カボチャは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。
植え付け



本葉が4〜5枚出たら畑に定植します。
育つとツルが広がるので、地這い栽培であれば株間90cm以上あけます。立体栽培なら株間60cmほど。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
寒さが戻ることもあるので、防寒のため穴あきのトンネルを5月頃まで掛けておくと良いです。
敷きワラマルチ

葉が茂ってきたら、株元からツルが伸びる方向に敷わらをします。
ツルがワラに巻きヒゲを絡ませて伸長するので、地表に固定されて風雨にも強くなります。
実がなってから熟すまで、実の下にワラや刈草などを敷いておくことで、だんご虫が皮を食害し、そこからカビが侵入するのを防ぐ効果もあります。
また、土の乾燥や降雨時の泥跳ねを防ぎ、病気予防にもなります。
敷きワラの代わりとなるマルチシートも販売されており、手軽でオススメです。
立体栽培の場合は支柱立て

立体栽培をする場合は、支柱を立てます。
トンネル型の支柱が簡単&丈夫でオススメ。支柱にネットを掛け、伸びたつるを誘引していきます。
整枝・摘芯

本葉が5〜6枚で親づるの先端を摘芯して、子づるの生長を促します。
その後、子づるを2〜3本伸ばし、短い支柱を立てて誘引します。(残すつるを決めたら、他のつるはかき取ります)
また、光合成をしっかり行わせるために、葉と葉が重ならないようにすることが大切です。
葉が混みすぎている時は、実が付いていない枝を切って風通しを良くします。受光をよくするだけでなく、うどんこ病の予防にもなります。
追肥1回目
つるの長さが50cm〜60cmになったら、畝の両肩に追肥を施します。
人工授粉
梅雨の頃から花がつきはじめます。
花のガクの下に膨らみがあるのが雌花、ないのが雄花です。


カボチャは、受粉しないと果実が肥大しません。
ハチやアブなどの昆虫によって放っておいても自然に受粉しますが、確実に着果させるために人工授粉しておきます。
雄花をとり、花びらをちぎって雄しべをむき出しにし、雄しべの先端を雌花の雌しべの柱頭にこすりつけて受粉させます。(日が高くなると花がしぼむため、人工授粉は晴天の早朝に行います。)

1ツルあたり2個着果が目安です。(ミニカボチャなら3個、大玉を採りたいなら1個。)着果を確認したら、それ以外は早めに摘果して栄養を集中させます。
尚、受粉しないと実が大きくならず、やがて自然落果します。

また、株元近く(葉が5枚以下)の雌花はいい果実にならないので、早めに摘んでおきましょう。
摘果
着果した先の葉は10枚以上展開させます。
15枚以上葉がある場合は2個とも実を残しますが、葉数が少ない場合は1個を摘果しておきます。
追肥2回目
果実が直径5cmほどになったら、株間のところどころに肥料をまきます。
玉直し

カボチャは地面に這って成長するため、実が地面に接している部分には日が当たらず、緑色に色付かないことがあります。(この部分をグランドマークとも呼びます。)
見た目だけで食味に変わりはありませんが、色・形を整えるため、果皮の色がある程度濃くなってきたら、実の位置を変える「玉直し」で裏面にも日を当て、色をしっかりのせるようにします。
尚、動かすのは90度まで。勢いよく動かすとヘタが取れてしまうので慎重に行いましょう。
収穫



開花から45〜50日で収穫できます。
果梗(首の部分)が茶色くコルク状態になれば収穫適期。(または、爪を皮に当ててみて、爪が食い込まないくらいの固さで収穫可能)
果梗をハサミで切って収穫します。
追熟させると甘みが増す

収穫したカボチャはすぐに食べるより、丸のまま風通しがよく涼しい場所において、2週間〜1ヶ月ほど追熟させると甘みが増します。
収穫後3ヶ月は保存可能です。
トラブル・生育不良
カボチャ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
雌花ばかりで雄花が咲かない
雌花が咲いても雄花が咲かないことがあります。
早い内から雌花が連続してつく系統の品種は、雄花が咲いたときに人工授粉すれば問題ありません。
そうでない場合は、授粉用の株を別に育てることで対応します。2週間ほど早く種まきして、雄花が早く咲くように準備しましょう。
雌花がつかない
雄花ばかりつけた元気なツルが伸びているのであれば、ツルボケという現象です。
土が肥えすぎているか、肥料の与えすぎが原因です。施肥を控えましょう。
ツルボケになってからの対応であれば、荒治療となりますが、株元から30cmほど離れた所にショベルを突き立てて、2箇所ほど根を切断します。
こうすることで、養分がたっぷりあるので茎葉を伸ばそうとしていたのが、それをやめて雌花を作るようなります。
発生しやすい病害虫
カボチャに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
うどんこ病
葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。
疫病(えきびょう)
葉に水浸状で褐色の病斑ができ、茎の一部が軟化腐敗、果実には白いカビが発生します。
その他の病気 | |
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モザイク病 | 葉に濃淡のモザイク模様が現れ、ひどくなると葉は縮れて奇形化します。原因ウイルスをアブラムシが媒介します。 |
べと病 | 葉に黄色の小さい病斑ができ、裏面にすす状のカビが発生します。 |
害虫
ウリハムシ
体長7〜8mmで茶色の甲虫が、葉を食害して穴だらけにしてしまいます。
その他の害虫 | |
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ハスモンヨトウ | 夜間にイモムシ状の幼虫が葉を食害します。 |
マメハモグリバエ | 幼虫が葉肉の中から葉を食害し、葉の表面に絵を描いたような白い筋状の食痕を残します。 |