家庭菜園の初心者の方向けに、ブロッコリーの栽培方法を紹介します。
基本情報
ブロッコリーは、頭頂部の「つぼみ(頂花蕾)」を食べる、栄養満点の緑黄色野菜。
ブロッコリーの花蕾のつき方には、主枝に大きな花蕾ができる「頂花蕾型」と、主枝と側枝の両方に花蕾ができる「頂・側花蕾型」の2種類があります。
家庭菜園では「頂・側花蕾型」がおすすめです。頂花蕾を収穫した後も、わき芽を伸ばして、葉のつけ根にできる「つぼみ(側花蕾)」を収穫して長く楽しめます。
最近では、次々と伸びる側花蕾を茎ごと食べる、茎ブロッコリー(スティックセニョール)も人気です。
- 大きい花蕾を収穫するには、元肥をしっかり施して、茎葉を大きく育てる
- わき芽につく側花蕾を収穫する場合は、頂花蕾の収穫後、追肥を切らさないようにする
栽培時期
ブロッコリーの栽培カレンダーです。
中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
冷涼な気候を好むため、真夏を除いた春と秋が栽培適期。
家庭菜園で育てやすいのは夏まき・秋冬採りですが、育苗が盛夏になるので高温対策などが必要。
栽培方法
ブロッコリーの栽培は、次のような流れになります。
種まき・育苗
ポット(3号:9cmサイズ)に3〜4粒ずつ種をまき、軽く覆土して、たっぷりと水をやります。
ポット苗は、春まきは保温資材を使って暖かい環境で、夏まきは遮光資材などで高温対策を施して育苗します。
庭やベランダで作る簡易な育苗ハウス・ビニール温室発芽したら段階的に間引いて1本立ちにし、最終的に本葉5〜6枚の苗に仕上げます。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
約35日(春まき) 約30日(夏まき) | 20〜25℃ | 15〜20℃ |
土作り
苗の植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
ブロッコリーは排水性と保水性がいい肥沃な土壌を好みます。
また、土壌が酸性だと「根こぶ病」が出やすくなるので、pH(酸度)調整をしっかりと行いましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。
肥料
大きくて充実した花蕾をとるためには、しっかりした茎葉をつけることが大切。そのため、元肥はしっかりと施しておきます。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
植え付け
本葉5〜6枚まで苗が育ったら、畑に定植します。
株間40〜45cmで、深植えにならないように植え付けます。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
防虫ネットを掛ける
「アオムシ」や「芯食い虫(ハイマダラノメイガ)」などの害虫を防ぐため、苗を植え付けたらすぐに防虫ネットを掛けておきます。
特に、苗が小さい時に中央の生長点を芯食い虫に食べられると、収穫まで育てるのは難しくなるため要注意。見つけたら取り除くようにしましょう。
追肥・土寄せ
花蕾が形成される前に、いかに株を大きくするかで花蕾の大きさが決まるため、植え付け後の追肥は重要。
追肥は2回に分けて施します。
1回目の追肥は植え付け2週間後に、2回目の追肥はさらに2〜3週間後に行います。
追肥は株の周りに施し、同時に軽く中耕・土寄せを行います。
尚、頂花蕾(主茎の頭頂部のつぼみ)ができてからの追肥は、花茎空洞症やつぼみの質が悪くなるので、しないこと。
収穫(頂花蕾)
株の頂点にできた「つぼみ(頂花蕾)」が12〜15cmになると収穫時期です。
茎を15cmほど、葉を2〜3枚つけて切り取ります。
収穫が遅れると、つぼみが膨らんで弾力がなくなり、味も食感も低下します。
さらに遅れると花が咲いてしまうので、採り遅れないようにしましょう。
続いて「側花蕾」も収穫する場合は、頂花蕾を収穫したタイミングで追肥を施しておきましょう。
収穫(側花蕾)
頂花蕾を寒くなる前に摘むと、わき芽が伸びて葉のつけ根に側花蕾が出てきます。
側花蕾は小さいですが味に遜色なく、3〜5cmの大きさになったものから摘み取って収穫します。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
ブロッコリーは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
ブロッコリーと相性のいい野菜には次のようなものがあります。
栽培Q&A
ブロッコリーは、寒さに当たると花蕾が紫色に変色する場合があります。
これは、ブロッコリーが寒さから身を守るために「アントシアニン」という成分(ポリフェノールの一種)を作るために起こる現象です。
自然現象なので食べても問題はなく、茹でれば緑色に戻ります。むしろ、寒さから身を守るために糖度が高まるので、甘くて美味しいです。
側花蕾をしっかりと収穫するには、まずそれが出やすい品種を選ぶ必要があります。「頂花蕾・側花蕾兼用品種」など種袋の表示を確認して選びましょう。
側花蕾は頂花蕾を摘まないとできないので、側花蕾の収穫も楽しみたい場合は、頂花蕾を早めに収穫するのがコツです。
また、頂花蕾をとる時に茎をできるだけ短く切れば、わき芽が多く残るので、小さな側花蕾がたくさん採れます。