
家庭菜園でのミズナ(水菜)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。
気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。
基本情報

伝統的な京野菜のひとつである「ミズナ(水菜)」は、数少ない日本の固有種の一つ。
関東ではキョウナ(京菜)とも呼ばれています。
古くは煮物などの用途が中心でしたが、みずみずしくシャキシャキとした食感から、近年ではサラダ野菜としても人気があります。
冷涼な気候を好むため、秋から冬にかけての栽培が適しています。
サラダなどの生食用には、葉や茎が柔らかい小株で収穫し、鍋物や漬け物用にはシャキシャキとした食感が楽しめる大株に育てます。


- 害虫がつきやすいので、種まき直後に防虫ネットを掛ける
- サラダなど生食用には小株どり、鍋物や漬け物用には大株どり
栽培カレンダー
ミズナ(水菜)の栽培時期は次のようになります。

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。
ミズナは冷涼な気候を好みますが、小株どりであれば栽培期間も短く、冬を除き種まきができます。
大株を育てる場合は、秋に種をまき、低い温度でじっくりと大きく育てます。
壬生菜(ミブナ)の栽培も同様
京都の伝統野菜のひとつに「壬生菜(ミブナ)」があります。これは水菜の仲間で、京都の壬生地区で栽培されていたことが名前の由来です。

水菜と壬生菜の大きな違いは葉の形で、水菜の「切れ葉」、壬生菜は「丸葉」です。また、壬生菜には水菜にはない独特の香りと風味があります。
栽培方法は水菜と同様です。
栽培方法
ミズナ(水菜)の栽培は、次のような流れになります。
土作り

種まきまでに「土作り」を済ませておきます。
土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

種まき
種は畑に直接まきます。

小株どりをする場合、20cm間隔でまき溝を作り、その溝に1〜2cmの間隔をあけて種をまきます。(すじまき)

大株どりにする場合、株間30cm〜40cmの間隔でまき穴をあけ、1つの穴に3〜4粒ずつ、種が重ならないようにまきます(点まき)。

その上に軽く土をかぶせ、手で優しく押さえたら、たっぷり水をあげましょう。
育苗して植え付けも可能
ミズナは苗を育ててから植え替えすることもできます。(移植栽培)


セルトレイ(128穴)に2〜3粒の種をまき、本葉2枚の頃に間引いて1本立ちにし、本葉4〜5枚になれば畑に植え付けます。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
約20日 | 20〜25℃ | 15〜20℃ |
防虫ネットを掛ける

ミズナは害虫がつきやすいので、種まき直後から「防虫ネット」をかけて対策します。

生育初期は水やりをしっかりと
ミズナは名前の通り、生育初期は十分な水を必要とするので、しっかりと水やりを行います。
しかし、生育後期は過湿害が出やすいので、水のやり過ぎに注意。
間引き
生長に合わせて間引きをします。


小株どりですじまきにした場合は、本葉が出て混み合ってきたら適宜間引きをし、最終株間を5cmほどにします。
大株どりで点まきにした場合は、本葉1〜2枚の頃に2株を残して間引き、草丈7〜8cmで1株に間引きます。
追肥・中耕
本葉5〜6枚の頃、追肥をします。

条間/株間にパラパラと肥料を施し、除草を兼ねて中耕しておきます。
大株どりの場合は、この1ヶ月後に2回目の追肥を施します。
収穫
大きくなったものから順次収穫していきます。
小株どりなら草丈20〜30cmくらいが収穫の目安。


株をひとまとめにして、株元をハサミなどで切り取って収穫します。
大株どりなら草丈30cm以上、重さ1kg以上が収穫の目安です。


大株どりの場合は、根元にハサミを入れて、株分けするように収穫することもできます。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
ミズナは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
ミズナと相性の良い野菜には次のようなものがあります。
