ニラの育て方と栽培のコツ

ニラの栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園でのニラの育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。

気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。

基本情報

ニラ栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
ヒガンバナ科17〜22℃6.0〜6.5あり:1〜2年あける

ニラはビタミンAを多く含む緑黄色野菜の代表格です。

野菜の中では数少ない多年草で、一度植え付けると数年間繰り返し収穫が可能です。強健で育てやすく、刈り取った後もすぐに新葉が伸び、年に数回の収穫が期待できます。家庭菜園に植えておくと、長期間にわたり重宝する野菜です。

夏にはとう立ちして花が咲き、冬には地上部が枯れて休眠期に入ります。収穫は主に春と秋に行いますが、適切な管理をすれば夏にも収穫が可能です。

多年草ですが、3〜4年経つと根が過密になり、品質が低下するため、3年ごとに株分けして植え替えるのが理想です。

栽培のポイント
  • 1年目は収穫せずに株を大きくして、2年目から収穫する
  • 株元を残して収穫すると、また次々と葉が伸びる
  • 収穫3年ごとに株分けして植え替える

栽培カレンダー

ニラの栽培時期は次のようになります。

ニラの栽培時期・栽培カレンダー

中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

3月に種まきして6月に植え付け。1年目は収穫せずに株を大きくし、2年目以降の春〜秋にかけて収穫します。

収穫3年ごとを目安に、株ごと掘り起こして株分けし、別の場所に植え替えて同じように育てていきます。

栽培方法

ニラの栽培は、次のような流れになります。

種まき・育苗

苗床を作る

ニラの種をまいて苗を育てるための、苗床を作ります。

あらかじめ石灰、元肥を入れて耕し、表面を平にならしておきます。

栽培する量が少量の場合は、プランターや育苗箱に培養土を入れて苗作りをすると手軽です。

種まき・管理

条間15cmでまき溝をつけ、1〜2cm間隔で条播きに。軽く覆土して鎮圧し、たっぷりと水をやります。

土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻をまいたり、「不織布」をベタ掛けしておきます。

ニラ発芽まで不織布を掛ける

発芽後は不織布を外し、混み合ったところを間引いて、最終的に株間2cmほどにしておきます。

生育状況を見ながら、種まき後30日と60日の2回に分けて条間に追肥を施し、草丈20cmほどの苗に仕上げます。

土作り(本畑準備)

ニラの苗を植え付けて育てるための、畑を準備します。

耕運機で耕して土作り作業

苗の植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。

酸性土壌を嫌うので、pH(酸度)調整をしっかりと行いましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。

MEMO

ニラは多年草(1度栽培すると何年も収穫できる)のため、邪魔にならない場所で育てましょう。私は畑の隅で育てています。

肥料

肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

植え付け

草丈20cmほどになれば、畑へ定植します。

根を傷めないようにスコップで苗を掘り上げます。

畑に10cmほどの深さの植え溝を掘り、株間30cmで1箇所に3〜5本ずつ置きます。

ニラ苗の植え付け
MEMO

ニラは集団で生育することを好むので、1本で植えると生育が悪くなります。また、密植し過ぎると1株1株が大きくなりません。そこで、3〜5株ずつ定植します。

根が隠れ、株が倒れない程度に覆土します。(浅植えにする)

植え付け後2〜3週間で根が張って、シャキッと起き上がります。

MEMO

完全に土を戻さず植え溝が凹んでいる状態になりますが、この後の土寄せで平らにします。

注意

定植する溝が浅いと1年目は生育が早いのですが、2年目以降に鱗茎が地表面に上がってきて乾燥などの被害を受けやすくなります。

土寄せ・追肥

土寄せ

苗の活着後、土寄せをして植え溝を平らな状態に戻します。

一度に深く土寄せをすると初期育成が緩慢になるため、生育に合わせて、成長点が埋まらないように2〜3回に分けて行います。

土寄せのタイミングは、1回目:植え付け3週間後、2回目:6週間後、3回目:9週間後。

分岐しているところが、成長点です。

追肥

追肥は9月頃、株の成長促進を狙って行います。

ニラに追肥

ニラは9月以降に来年のための養分を蓄えようとするので、このタイミングの追肥は重要な作業。翌年の収穫量に影響します。

花茎は摘む

夏になると「とう立ち」して、花茎が出てきます。

ニラの花(とう立ち)

そのままにすると株が疲れてしまうため、花はつぼみのうちに摘んでしまいましょう。

1年目は収穫しない

植え付け1年目は収穫せずに株を大きく育てます。

冬になって葉が枯れてきたら、地上部の茎葉を刈り取っておきます。

2年目の春から収穫

冬を越して2年目の春から収穫が始まります。

適切に管理することで、秋までに3〜5回ほど収穫することができます。

収穫(春〜初夏)

まずは春先に、葉の生育や品質を整えるため、伸びていた葉を刈り取ります。(捨て刈り

収穫には、この後に伸びてくる若い葉を使います。

草丈が20cm〜25cmになったら、地上部2〜3cmを残して、ハサミで切って収穫します。

収穫したら条間に追肥して中耕しておきます。

そうすると、また新たに葉が出てくるので、同様に収穫を繰り返します。

MEMO

収穫が遅れると葉先が垂れ下がり、スジが目立ってきます。生長が非常に早いので、収穫のタイミングを逃さないようにしましょう。

とう摘み(夏)

夏になると「とう立ち」してくるので、つぼみが開く前に摘み取ります。

ニラの花(とう立ち)

開花したものは、花茎の元から摘み取っておきましょう。

MEMO

つぼみが緑のうちに摘み取ったものは「花ニラ」として食べることができます。(手でポキっと折り取れる部分。)

収穫(秋)

勢いが弱ってきたら、古い葉やとう立ちした茎を刈り取ります。(捨て刈り

ニラの捨て狩り

その後、そろいの良い新芽が出てくるので、同様に刈り取り収穫し、収穫したら追肥を施しておきましょう。

収穫したニラ

冬の刈り取り

冬になって葉が枯れたら地上部の茎葉を刈り取り、お礼肥として株の周りに堆肥をまいておきます。

翌春また新芽が出たら同様に収穫を繰り返し、2〜3年は同じ場所で収穫を続けることができます。

3年ごとに株分け・植え替え

ニラは年数を重ねるごとに分げつして茎数が多くなります。そのため、収穫3年目以降になると株の内部が混み合い、葉が細くなって品質が低下してしまいます。

そこで、収穫3年ごとを目安に株分けを行います。

MEMO

株分けを行うのに適した時期は、春先(3月頃)です。

地際から5cmくらいの高さで葉を刈り取り、根株を掘り起こします。土を落として1株ずつに分け、1年目と同じ要領で植え替えます。

やがて新葉が伸びてきたら土寄せを行い、葉が伸びてきたら同様に収穫することができます。

なお、連作障害を避けるために、植え替え先は別の場所にしましょう。

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

ニラは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

ニラと相性のいい野菜には次のようなものがあります。

コンパニオンプランツ効果
ナス科の野菜トマト、ナス、ピーマン、シシトウなどのナス科野菜とニラを、根を絡ませるように混植することで、ニラの根に繁殖する拮抗菌がナス科の土壌病害を防ぐ。
アブラナ科の野菜コマツナ、チンゲンサイ、ミズナなどのアブラナ科野菜とニラを混植することで、アブラナ科野菜を食害するダイコンハムシを忌避することができる。刈ったニラを畝の上に敷くだけでも効果がある。
ニラと相性の良い野菜
ダイコンハムシ対策に刈り取ったニラを畝に敷く
刈ったニラの葉を敷いてダイコンハムシを予防

栽培Q&A

適切に管理すれば年に3~5回収穫することが可能です。

冬に枯れた葉はそのまま放置しても問題ありませんが、見た目や病害虫のリスクを考えると、刈り取っておくのが良いです。

主な原因は、収穫の遅れや肥料・水分不足です。

収穫が遅れると、葉が成長しすぎて硬くなりやすくなります。

また、収穫のたびに追肥することで肥料不足を防ぎ、柔らかい葉を収穫することができます。