自然界には多くの虫や微生物がいます。
その中で植物に寄生して害を与えるものを病原菌または害虫(あわせて病害虫)といいます。
ここでは、病虫害を引き起こす、病原菌と害虫の主な種類をまとめています。
病気
植物に病気をもたらす病原菌の種類は、主に次の3つに大別されます。
ウイルス
ウイルスは、カビや細菌よりはるかに小さい病原体で、微生物の一種として扱われます。
生物の生きた細胞でしか増殖できず、寄生した生物の代謝機能を乱して病気を引き起こします。
伝染経路はウイルスの種類により異なりますが、昆虫によって媒介される昆虫伝染、発病株を触った手や道具からの接触伝染、感染した種や苗からの種苗伝染、発病株の残渣が残った土からの土壌伝染があります。
ウイルス病は感染すると有効な対策がないため、掛からないように予防することが重要となります。
また、ウイルスは電子顕微鏡でないと確認できないほど小さく症状も似ていることから、正しい病名を判別するのは難しいです。そのため、ウイルスのタイプによって対策するのではなく、総合的に防除することで感染を防ぐようにしましょう。
カビ
一般的にカビと指すものは、糸のように細胞を伸ばして胞子を作る糸状菌(しじょうきん)です。
植物の病気を引き起こす病原菌のうち、約7割がこの糸状菌によるもの。
糸状菌は成長すると胞子を作って飛散させます。新たな植物についた胞子は発芽して体内に菌糸を伸ばし、やがて成長した菌糸が体内の外に出て、作った胞子を飛ばします。これがカビのライフサイクルです。
そのため、カビや病斑を確認できる頃には、すでに病気が進行している状態となっています。発病してから薬剤をかけても治せません。
糸状菌は高温多湿を好みます。ジメジメした蒸し暑い場所で繁殖しやすく、雨が降ると胞子が飛散しやすくなります。特に梅雨の時期は注意しましょう。
細菌
細菌は、ウイルスよりも大きくてカビよりも小さい、単細胞の微生物です。
動植物の死骸を分解したり、自然生態系の中で物質循環に重要な役割を果たしますが、ある種のものは植物に寄生して病気を引き起こす原因となります。
感染経路は、かん水時や雨などで植物に付着して、傷口や葉の裏の気孔などから体内に侵入します。侵入後は瞬く間に増殖し、短期間で病気を引き起こします。
水はけの悪い場所では被害が広まりやすいので、雨が降った後、一晩経っても水が引かないような畑は要注意。
害虫の種類
害虫は食害タイプと吸汁タイプの2つに大別されます。
食害タイプ
食害タイプは葉、茎、花、実、根をかじって傷をつけます。
被害が大きいと生育を阻害され、収穫ができなくなります。
また、害虫がつけた小さな傷が病原菌の侵入口になることもあるので、注意が必要です。
吸汁タイプ
茎葉や果実に口針を刺して、野菜の汁液を吸います。
被害に遭うと、果実などの表面に吸汁痕が残り品質が低下します。ひどい場合は変形したり、つぼみが開かないなどの被害が出ます。
また、ウイルス病を媒介する虫がいるので、注意が必要です。