苗立枯病(なえたちがれびょう)|症状の見分け方・発生原因と防除方法

苗が根元から腐って倒れる「苗立枯病(なえたちがれびょう)」は、糸状菌(カビ)による病気です。

本記事では、症状の見分け方から発生原因、効果的な防除方法までを解説します。

被害症状

発芽後すぐ、または定植後から生育初期の苗に発生する病気で、どの野菜にも感染する可能性があります。

感染すると、地ぎわ付近の茎が褐色になってくびれます。根も褐色になって腐敗し、やがて株全体が倒れます。

発生原因と伝染経路

病原菌は「リゾクトニア菌」と「ピシウム菌」という、糸状菌(カビ)の一種。

土壌中で被害植物の遺体などに繁殖し、苗木の根に伝染します。

土壌中に長く生存し、土に敷かれたワラなど分解が不十分な有機物がある場合に繁殖しやすくなります。

水はけの悪い畑や、酸性土壌の場合に発生しやすく、特に高温多湿の条件で発生が多くなります。

防除方法

対処法

発病した苗を治すことはできないので、発病株は抜き取って処分し、追いまきして育て直します。

薬剤防除する場合は、「オーソサイド水和剤」で種子消毒してから種まきをします。

種まき後であれば、「オーソサイド水和剤」「STダコニール1000」などを土に灌注します。

注意

農薬は「使用できる作物」が決められており、それ以外の作物には使用できません。農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、作物にあった薬剤を選びましょう。

予防法

畑の水はけを良くすること、また、育苗するときは過湿に注意します。

連作すると出やすくなるので、輪作や混植、間作を取り入れて菌の密度を減らしましょう。

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酸性土壌で発生しやすいので、石灰を施して中性〜弱アルカリ性の土にすると発生が軽減されます。

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また、土作りの際にカニ殻粉末を投入することで、苗立枯病を抑制することができます。

MEMO

キチン質を豊富に含むカニ殻によって、キチン質を好餌とする放線菌が増えます。放線菌は、リゾクトニア菌(苗立枯病の病原菌)などを餌とし、病原菌の繁殖を抑制します。

一度発病した場所では、作付け前の夏に土壌消毒をしておくと安心です。

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MEMO

植物の様子がおかしいと思っても、症状から見分けるのは難しいもの。

そんな場合は、写真から自動で病害虫診断してくれるサービスもあります。

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