
家庭菜園の初心者の方向けに、エンドウ(えんどう豆)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
エンドウ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。

エンドウ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
エンドウ | マメ科 | 6.5〜7.0 | あり:輪作年限4〜5年 |
スナップエンドウ、キヌサヤ(絹さや)、グリンピースはエンドウの仲間です。
それぞれ育て方は同じですが、実とサヤの利用の仕方によって収穫時期が異なります。
マメ科の中でもエンドウは連作すると病気が出やすいので、次の年には育てる場所を変えましょう。
秋に植えて小さな苗の状態で冬越しをさせると、寒い間に根を十分に張り春先から地上部が生長します。
- 幼苗の頃がもっとも耐寒性があるので、越冬するときに苗が大きくなりすぎないよう適期に種まきをする
- 春先と花が咲いた頃にタイミングよく追肥すると収量が上がる
エンドウの品種

スナップエンドウ。
豆とサヤの両方を食べます。(若い実と柔らかいサヤを採る。)

キヌサヤ(絹さや)。
サヤ(幼果)を食べます。(実が未熟な若いサヤを採る。)

グリーンピース。
豆を食べます。(丸く膨らんだ実を採り、サヤは固くて食べない。)
エンドウの栽培時期
エンドウの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
育苗と直播きができ、それぞれ春に収穫することができます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
エンドウの栽培方法
エンドウの栽培方法は、次のような流れになります。
土作り

エンドウは、連作障害が出やすく、酸性土壌を嫌い、過湿も乾燥も苦手という気難しい野菜ですが、適した土壌を用意できれば、あとはスクスク育ってくれます。
水はけと日当たりがよく、数年間はマメ科野菜を育てていない場所を選びましょう。
種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
酸性の土を嫌うため、土壌酸度(pH)の調整はしっかりと行いましょう。pHの目安は6.5〜7.0です。
肥料
マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出します。(根に形成された粒が、根粒菌のコロニー)

そのため、マメ科の植物には窒素肥料を控えめにします。多すぎると「つるぼけ」になってしまうので注意しましょう。
エンドウは、秋から冬は越冬するだけなので植え付け時に栄養分はあまり必要ありません。元肥が多いと秋に成長しすぎて寒さに弱くなるため、越冬できなくなります。
春先になって成長が旺盛になると、たくさんの養分が必要になるので、定期的な追肥で補うようにします。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
エンドウは連作障害に弱いので、同じ場所での栽培間隔を4〜5年あけるようにします。
また、エンドウには、マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があるため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
種まき
種は畑に直播きします。
株間30cmで1ヶ所に3〜4粒ずつ、深さ2cmくらいに種まき。土を被せて軽く押して鎮圧し、たっぷりと水をやります。


種まき直後は、カラスやハトが豆や芽を食べてしまうことが多いので、本葉が出るまで「不織布」などをベタ掛けしておくと安心です。

本葉が1〜2枚出たところで、生長のよい苗を2本残して間引きします。

育苗して植え付けも可能
エンドウは、育苗してから畑に植え付けることもできます。


ポット(3号:9cmサイズ)に3〜4粒ずつ種をまき、本葉が1〜2枚の頃に間引いて2本立ちにします。
そのまま育苗して本葉3〜4枚の苗に仕上げ、2本立ちのまま畑に植え付けます。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
30日前後 | 18〜20℃ | 15〜20℃ |
寒さ対策
エンドウは大きくなると寒さに弱くなるので、小さい苗の状態(草丈20cm以下)で冬越しさせるのがポイント。
小さい苗で冬越しをさせると冬の間に根を張って春先からどんどん生長します。冬の寒さに合わせて根の張りが良くなることで花芽のつきも良くなり収量がアップします。
防寒対策として株元にもみ殻をまき、霜除けに不織布や寒冷紗を掛けておきましょう。

うちでは、先に支柱を立てておいて、誘引紐に吊るしたワラの束で苗を囲み霜除けをしています。

支柱立て・誘引

越冬後、つるが伸び始めた頃に支柱を立ててネットを張り、ツルを絡ませて誘引します。
株が広がってしまう前に、ネットを張っておきましょう。
追肥1回目

冬を越し生長し始める3月上旬に1回目の追肥。
畝の肩にひとつかみずつ撒きます。
追肥2回目

生長が盛んで花が次々と咲いている時期に2回目の追肥を行うと、実つきが良くなります。
水やり
開花後は乾燥させないよう、雨が降らないときは適時水やりを行います。
この時期に乾燥すると、おいしいサヤができません。
収穫
花の後には小さな実がつきます。

収穫期には次々と実がなるので、種類に応じた適期に収穫を行います。

スナップエンドウは、サヤが丸々と太り、爽やかな緑色の頃に収穫。(開花から約20-25日)
採り遅れるとサヤも豆も固くなって風味も落ちます。サヤがみずみずしいうちに収穫しましょう。

キヌサヤは、サヤが十分に成長した頃に収穫。(開花から約15日)
日が透けて豆がうっすら見えるくらいが適期です。

グリーンピースは、サヤの光沢がなくなる頃に収穫。(開花から約1ヶ月)
サヤをつまみ、軸の付け根からポキっと摘み取って収穫します。
適期を過ぎると固くなり風味も落ちてしまいます。また、早めの収穫を心掛けることで株が疲れず、次々とサヤができるため、収穫期間も長く楽しめます。