エンドウ(えんどう豆)の栽培方法・育て方のコツ

エンドウ(えんどう豆)の栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、エンドウ(えんどう豆)の栽培方法を紹介します。

基本情報

エンドウ(えんどう豆)の栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
マメ科15〜20℃6.5〜7.0あり:4〜5年あける

スナップエンドウ、キヌサヤ(絹さや)、グリンピースはエンドウの仲間です。それぞれ育て方は同じですが、実とサヤの利用の仕方によって収穫時期が異なります。

マメ科の中でもエンドウは連作すると病気が出やすいので、次の年には育てる場所を変えましょう。

秋に植えて小さな苗の状態で冬越しをさせると、寒い間に根を十分に張り春先から地上部が生長します。

栽培のポイント
  • 幼苗の頃がもっとも耐寒性があるので、越冬するときに苗が大きくなりすぎないよう適期に種まきをする
  • 春先と花が咲いた頃にタイミングよく追肥すると収量が上がる

栽培時期

エンドウの栽培スケジュールです。

エンドウ(えんどう豆)の栽培時期・栽培スケジュール

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。

エンドウは暑さに弱いため、秋に種を蒔いて越冬させる作型で育てます。

小さい苗の状態(草丈20cm以下)では耐寒性が強いものの、大きくなると寒さに弱くなるため、小苗で冬越しさせるのがポイント。

無理な早まきはせず、地域での種まき適期に従いましょう

エンドウの種類

スナップエンドウ

スナップエンドウ(スナックエンドウ)

豆とサヤの両方を食べます。(若い実と柔らかいサヤを採る。)

MEMO

スナップエンドウ?スナックエンドウ?

→正式名称はスナップ(snap=ポキっと折れる)エンドウ。スナックエンドウは「サカタのタネ」の商品名で、どちらも同じ豆です。

キヌサヤ(絹さや)

キヌサヤ(絹さやエンドウ)

サヤ(幼果)を食べます。(実が未熟な若いサヤを採る。)

グリーンピース

グリーンピース

豆を食べます。(丸く膨らんだ実を採り、サヤは固くて食べない。)

栽培方法

エンドウの栽培は、次のような流れになります。

土作り

耕運機で耕して土作り作業

エンドウは、連作障害が出やすく、酸性土壌を嫌い、過湿も乾燥も苦手という気難しい野菜ですが、適した土壌を用意できれば、あとはスクスク育ってくれます。

水はけと日当たりがよく、数年間はマメ科野菜を育てていない場所を選びましょう。

種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。

酸性の土を嫌うため、土壌酸度(pH)の調整はしっかりと行いましょう。pHの目安は6.5〜7.0です。

肥料

マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出します。(根に形成された粒が、根粒菌のコロニー)

マメ科の根に付いている根粒菌

そのため、マメ科の植物には窒素肥料を控えめにします。多すぎると「つるぼけ」になってしまうので注意しましょう。

エンドウは、秋から冬は越冬するだけなので植え付け時に栄養分はあまり必要ありません。元肥が多いと秋に成長しすぎて寒さに弱くなるため、越冬できなくなります。

春先になって成長が旺盛になると、たくさんの養分が必要になるので、定期的な追肥で補うようにします。

肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

種まき

種は畑に直播きします。

株間30cmで1ヶ所に3〜4粒ずつ、深さ2cmくらいに種まき。土を被せて軽く押して鎮圧し、たっぷりと水をやります。

種まき直後は、カラスやハトが豆や芽を食べてしまうことが多いので、本葉が出るまで「不織布」などをベタ掛けしておくと安心です。

エンドウの種の鳥害対策に不織布を掛ける

本葉が1〜2枚出たところで、生長のよい苗を2本残して間引きします。

エンドウを2本立てに間引き
MEMO

苗を2本残して競合させた方が、根張りがよく、実りがよくなるとも言われます。

育苗して植え付けも可能

エンドウは、育苗してから畑に植え付けることもできます。

ポット(3号:9cmサイズ)に3〜4粒ずつ種をまき、本葉が1〜2枚の頃に間引いて2本立ちにします。

そのまま育苗して本葉3〜4枚の苗に仕上げ、2本立ちのまま畑に植え付けます。

MEMO

セルトレイなら96〜128穴に2粒ずつ種をまき、本葉2〜3枚の苗に仕上げ、間引かず2本立ちのまま植え付けます。

育苗日数発芽適温生育適温
30日前後18〜20℃15〜20℃
エンドウの育苗管理

寒さ対策

エンドウは大きくなると寒さに弱くなるので、小さい苗の状態(草丈20cm以下)で冬越しさせるのがポイント。

小さい苗で冬越しをさせると冬の間に根を張って春先からどんどん生長します。冬の寒さに合わせて根の張りが良くなることで花芽のつきも良くなり収量がアップします。

防寒対策として株元にもみ殻をまき、霜除けに不織布や寒冷紗を掛けておきましょう。

エンドウの防寒に籾殻をまく

うちでは、先に支柱を立てておいて、誘引紐に吊るしたワラの束で苗を囲み霜除けをしています。

藁の束で囲んでエンドウの寒さ対策

支柱立て・誘引

エンドウの支柱立て

越冬後、つるが伸び始めた頃に支柱を立ててネットを張り、ツルを絡ませて誘引します。

株が広がってしまう前に、ネットを張っておきましょう。

追肥1回目

エンドウに追肥1回目

冬を越し生長し始める3月上旬に1回目の追肥。

畝の肩にひとつかみずつ撒きます。

追肥2回目

エンドウの花が次々に咲き出したら追肥

生長が盛んで花が次々と咲いている時期に2回目の追肥を行うと、実つきが良くなります。

MEMO

サヤを次々と収穫するので窒素の吸収が多くなり、肥料が不足すると色艶も悪くなり収量も上がらなくなります。

開花後は水やり

収穫期を迎える頃に、乾燥が続くと「うどんこ病」が発生します。

花が咲き始めてから土が乾燥していたら、株全体に水がかかるように水やりをしましょう。

うどんこ病の予防になるほか、実つきも良くなります

収穫

花の後には小さな実がつきます。

エンドウの花の後に小さな実がつく

収穫期には次々と実がなるので、種類に応じた適期に収穫を行います。

収穫適期のスナップエンドウ

スナップエンドウは、サヤが丸々と太り、爽やかな緑色の頃に収穫。(開花から約20-25日)

採り遅れるとサヤも豆も固くなって風味も落ちます。サヤがみずみずしいうちに収穫しましょう。

収穫適期の絹さやエンドウ

キヌサヤは、サヤが十分に成長した頃に収穫。(開花から約15日)

日が透けて豆がうっすら見えるくらいが適期です。

グリーンピース

グリーンピースは、サヤの光沢がなくなる頃に収穫。(開花から約1ヶ月)

サヤをつまみ、軸の付け根からポキっと摘み取って収穫します。

適期を過ぎると固くなり風味も落ちてしまいます。また、早めの収穫を心掛けることで株が疲れず、次々とサヤができるため、収穫期間も長く楽しめます。

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

エンドウは連作障害が起きやすく、連作するとうまく発芽しなかったり、根がしだいに褐変して腐る「根腐れ病」などの病気が発生します。

同じ場所での栽培間隔を4〜5年あけるようにしましょう。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

エンドウには、マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があるため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。