
家庭菜園でのクウシンサイ(空芯菜)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。
気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。
基本情報

サツマイモの茎葉によく似た中国野菜。
茎が空洞のため「クウシンサイ(空芯菜)」と呼ばれますが、種や苗は「エンサイ」「エンツァイ」「ヨウサイ」の名前でも売られています。

熱帯アジア原産のため暑さに強く、真夏でもよく生育するので、葉物野菜が少ない夏の時期に重宝します。
やわらかいツル先を切って収穫します。ツルはよく伸び、わき芽も盛んに出てくるので、夏の間 繰り返し収穫することができます。
病害虫の被害も少なく、手間もほとんど掛かりません。
- わき芽を伸ばして、やわらかい葉茎を繰り返し収穫する
- 肥切れしないよう、元肥をしっかり施し、定期的な追肥を行う
栽培カレンダー
クウシンサイ(空芯菜)の栽培時期は次のようになります。

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。
育苗する場合は4月中旬頃、畑に直播きする場合は5月以降に気温が上がってから種をまきます。
栽培方法
クウシンサイ(空芯菜)の栽培は、次のような流れになります。
種まき・育苗
気温が暖かくなる5月以降であれば、畑に種を直播きすることもできます。直播きの場合
ポット(直径9cmの3号サイズ)に種まき用の培養土を入れ、種を2粒ずつ、指で第一関節まで押しこむくらいの深さに種をまきます。


その上に軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげましょう。
まだ寒い時期は、保温資材を使って暖かい環境で育苗します。

本葉が1〜2枚出た頃に成長の良い苗を選んで1本に間引き、最終的に本葉4〜5枚の苗に仕上げます。


育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
30日前後 | 20〜30℃ | 25〜30℃ |
土作り

苗の植え付け/種まきまでに「土作り」を済ませておきます。
土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

植え付け(定植)
本葉4〜5枚まで苗が育ったら、畑に植え付けましょう。
ポットから苗を優しく取り出し、35cm間隔で植えます。茎葉が伸びて大きく育つので、株間は十分に確保しましょう。


植えた後は、根がしっかり張るように、株のまわりにたっぷり水をあげてください。
植え付け前にポットごと水につけて吸水させておくと、根付きが良くなります。
畑に直播きする場合
畑に直接まく場合は、気温が暖かくなる5月以降まで待ってから種まきをします。
株間35cmの間隔でまき穴をあけ、1つの穴に3粒ずつ、種が重ならないようにまきます(点まき)。その上に軽く土をかぶせ、手で優しく押さえたら、たっぷり水をあげましょう。

本葉2〜3枚が出たところで、間引いて1本立ちにします
敷きワラマルチ

クウシンサイは乾燥を嫌うので、株元に敷きワラや刈草などを敷いて湿度を保つようにします。
土が乾いていたら、たっぷり水やりをしておきましょう。
追肥

植え付け1ヶ月後から、2〜3週間に1回のペースで追肥します。
収穫
草丈が30cmほどの高さになったら、株元から3節を残して、はさみで先端を摘心します。これが最初の収穫となります。


主茎を摘心することで、次々とわき芽が出るようになります。
クウシンサイは、伸びてきたわき芽を次々に収穫する栽培方法をとります。
そのわき芽を伸ばし、20cm〜30cmほどに生長したら、下から1〜2節を残して摘み取っていきます。

大きくなると茎が固くなるので、早め早めに収穫していきましょう。


わき芽を伸ばしては収穫を繰り返すことで、しだいに枝葉が増えて株がこんもりと繁茂し、長期間、茎のやわらかいクウシンサイを収穫することができます。
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
クウシンサイは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。