クウシンサイ(空芯菜)の育て方と栽培のコツ

クウシンサイ(空芯菜)の育て方・栽培のコツ -家庭菜園ガイド-

家庭菜園でのクウシンサイ(空芯菜)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。

気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。

基本情報

クウシンサイ(空芯菜)の栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
ヒルガオ科25〜30℃6.0〜6.5連作可能

サツマイモの茎葉によく似た中国野菜。

茎が空洞のため「クウシンサイ(空芯菜)」と呼ばれますが、種や苗は「エンサイ」「エンツァイ」「ヨウサイ」の名前でも売られています。

空芯菜の茎は空洞になっている

熱帯アジア原産のため暑さに強く、真夏でもよく生育するので、葉物野菜が少ない夏の時期に重宝します。

やわらかいツル先を切って収穫します。ツルはよく伸び、わき芽も盛んに出てくるので、夏の間 繰り返し収穫することができます。

病害虫の被害も少なく、手間もほとんど掛かりません。

栽培のポイント
  • わき芽を伸ばして、やわらかい葉茎を繰り返し収穫する
  • 肥切れしないよう、元肥をしっかり施し、定期的な追肥を行う

栽培カレンダー

クウシンサイ(空芯菜)の栽培時期は次のようになります。

クウシンサイ(空芯菜)の栽培時期・栽培カレンダー

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。

育苗する場合は4月中旬頃、畑に直播きする場合は5月以降に気温が上がってから種をまきます。

MEMO

クウシンサイは固有の品種が少なく、クウシンサイ、エンサイ、エンツァイ、ヨウサイなど、野菜名をそのまま品種名として売られています。

栽培方法

クウシンサイ(空芯菜)の栽培は、次のような流れになります。

種まき・育苗

気温が暖かくなる5月以降であれば、畑に種を直播きすることもできます。直播きの場合

ポット(直径9cmの3号サイズ)に種まき用の培養土を入れ、種を2粒ずつ、指で第一関節まで押しこむくらいの深さに種をまきます。

その上に軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげましょう。

まだ寒い時期は、保温資材を使って暖かい環境で育苗します。

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本葉が1〜2枚出た頃に成長の良い苗を選んで1本に間引き、最終的に本葉4〜5枚の苗に仕上げます。

MEMO

サツマイモのように、ツル先を切って、挿し芽にして増やすこともできます。

育苗日数発芽適温生育適温
30日前後20〜30℃25〜30℃
クウシンサイの育苗管理

土作り

野菜栽培のための畑の土作り作業

苗の植え付け/種まきまでに「土作り」を済ませておきます。

作付けの2〜3週間前
石灰を入れる詳細

野菜が育ちやすい土壌酸度(pH)に調整するため、石灰を施します。

クウシンサイに適したpHの目安は6.0〜6.5です。

作付けの2〜3週間前
堆肥を入れる詳細

クウシンサイは肥料好きなので、堆肥とたっぷりの元肥を鋤き込んで耕しておきます。

作付けの1週間前
元肥を入れる詳細

作物の初期育成に必要な養分を補うため、肥料を施します。

サツマイモと同じヒルガオ科ですが、イモはできないので、窒素を多めに施します。

肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

元肥を入れた直後〜作付けの2-3日前
畝を立てる詳細

排水性・通気性を確保するため、畝を立てます。

土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

野菜を育てるための土作り 野菜を育てるための土作り

植え付け(定植)

本葉4〜5枚まで苗が育ったら、畑に植え付けましょう。

ポットから苗を優しく取り出し、35cm間隔で植えます。茎葉が伸びて大きく育つので、株間は十分に確保しましょう。

植えた後は、根がしっかり張るように、株のまわりにたっぷり水をあげてください。

植え付け前にポットごと水につけて吸水させておくと、根付きが良くなります。

畑に直播きする場合

畑に直接まく場合は、気温が暖かくなる5月以降まで待ってから種まきをします。

株間35cmの間隔でまき穴をあけ、1つの穴に3粒ずつ、種が重ならないようにまきます(点まき)。その上に軽く土をかぶせ、手で優しく押さえたら、たっぷり水をあげましょう。

種を直播きした空芯菜の発芽

本葉2〜3枚が出たところで、間引いて1本立ちにします

敷きワラマルチ

クウシンサイに敷きワラマルチ

クウシンサイは乾燥を嫌うので、株元に敷きワラや刈草などを敷いて湿度を保つようにします。

土が乾いていたら、たっぷり水やりをしておきましょう。

追肥

空芯菜へ追肥

植え付け1ヶ月後から、2〜3週間に1回のペースで追肥します。

追肥と同時に、株元に軽く土寄せをしておきましょう。

収穫

草丈が30cmほどの高さになったら、株元から3節を残して、はさみで先端を摘心します。これが最初の収穫となります。

主茎を摘心することで、次々とわき芽が出るようになります。

クウシンサイは、伸びてきたわき芽を次々に収穫する栽培方法をとります。

そのわき芽を伸ばし、20cm〜30cmほどに生長したら、下から1〜2節を残して摘み取っていきます。

空芯菜はわき芽を収穫する

大きくなると茎が固くなるので、早め早めに収穫していきましょう。

わき芽を伸ばしては収穫を繰り返すことで、しだいに枝葉が増えて株がこんもりと繁茂し、長期間、茎のやわらかいクウシンサイを収穫することができます。

MEMO

ツルが混み合いすぎると軟弱な芽しか採れなくなるので、密になったところは刈り取って整理し、ツル立ちをまばらにしてやりましょう。

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

クウシンサイは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。