
家庭菜園の初心者の方向けに、ゴーヤ(ニガウリ)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ゴーヤ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ゴーヤ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ゴーヤ | ウリ科 | 5.5〜6.5 | あり:輪作年限2〜3年 |
沖縄地方の代表野菜ゴーヤ(ニガウリ)は、苗作りのときの温度に気をつければ、南の地方でなくても簡単に栽培できます。
真夏の日差しを遮るためのグリーンカーテンとしても活躍。
ゴーヤチャンプルのような炒めものだけでなく、天ぷらや揚げもの、サラダにしても美味しく食べられます。
- 苗作りは暖かい環境で行い、気温が高くなってから畑に定植する
- つるが伸びるので、支柱は高さがあるものを、風にあおられないようにしっかり立てる
ゴーヤの栽培時期
ゴーヤの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
4月頃にポットに種をまいて育苗し、5月中旬頃に畑に定植、真夏〜9月いっぱいまで収穫できます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ゴーヤの栽培方法
ゴーヤの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




ポットに3粒ずつ、種を指の第一関節の深さまで押し込んで種をまき、軽く土をかけて、たっぷりと水をやります。
ポット苗は、ビニール温室などの暖かい環境で育苗します。
発芽したら、本葉2枚の頃に間引いて1本立ちにし、本葉5〜6枚までポットで育てます。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
発芽率を上げるコツ
ゴーヤの種は、種皮が固くて発芽しにくいため、ペンチや爪切りなどで皮の一部を傷つけ、吸水しやすくします。

そして種を布に包み、一晩水に浸けて休眠打破しておきます。(種の中には大事な胚があるため、種皮以外は傷つけないように注意)
土作り
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
pHは5.5〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、株間90cm,畝幅90cmで畝を立てておきます。
肥料
ゴーヤは継続的に肥料を必要としますが、与え過ぎると葉ばかりが茂って花芽が付かなくなるため、施肥量はほどほどに。
肥料は「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ゴーヤは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
また、コンパニオンプランツとして、ニラやネギを一緒に植えるのがオススメです。植え穴の底に、ニラ/ネギを両側から敷くように置き、その上にゴーヤの苗を植え付けます。
双方の根圏に棲む微生物が、それぞれに老廃物を分解し合うので、ともに根が活性化され、生育が促進されるとともに、土壌病害が出にくくなる効果が得られます。
植え付け


ゴーヤは高温を好むので、植付けは気温が十分に高くなってから行います。
本葉が5〜6枚出たら畑に定植します。株間90cmほど。つるの先が風で傷まないよう、仮支柱を立てて誘引しておきます。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
晴天の暖かい日の午前中に植え付けると、活着がよくなります。
支柱立て・誘引


定植から2週間くらいで、支柱を立ててネットを張ります。
はじめのうちはツルが細く株元に絡み込んでしまうため、ヒモで誘引してやります。
その後は巻きヒゲを伸ばしてどんどん生育するので、放任で構いません。(葉があまり重ならないように適時誘引してやりましょう)
ちなみに、気温が高くなるとともに、どんどん成長し、ゆうに3m以上の高さになります。(写真は3株でこの大きさ)

また、ネットからツルが飛び出してブラブラすると樹が弱るので、飛び出したツルの先端は摘心しておきましょう。
親づるを摘心

ゴーヤの親づるは子づるに比べると実がつきにくい傾向にあります。
そこで、本葉6〜7枚で親づるを摘心して、子づるを伸ばします。
つるを放任すると過繁茂になり、実がつきすぎて大きくならないため、できるだけ上の方にある元気のいい子づるを2本伸ばし、それ以外のわき芽は摘み取ります。
追肥
植え付けから20日ほどしたら、1回目の追肥を施します。
その後も生育状況を見て、3週間に1回のペースで追肥をします。
1回目は株元に、2回目は畝の肩に施す、というように根の成長に合わせて追肥の場所を変えてやります。
受粉・結実



ゴーヤは、同じ株に雄花と雌花がつき、自然に受粉して結実します。
実付きが悪い場合は、朝のうちに雄しべの花粉を雌しべにこすりつけて、人工授粉させると確実です。
収穫


開花から15〜20日くらい、イボイボが盛り上がり、ツヤがある成熟直前のもを収穫します。
ツルを傷めないように、ハサミで切り取って収穫しましょう。
尚、採り遅れると、次の写真のように黄色くなって、いづれ果皮が裂けてしまいます。また、株が疲れる原因になるため、種とりで残す以外は、若採りを心掛けましょう。
種とり



実を株につけたままにしておくと、完熟して黄色くなり種をとることができます。
フカフカに柔らかくなった実を剥がして、種のまわりの赤い果肉を水洗いし、干して乾燥させてから保存するれば、次の種まきに使うことができます。
ちなみに、完熟したゴーヤは苦味が消え、特に種のまわりの赤いゼリーは同じウリ科のメロンのように、甘い珍味で食べられます。
トラブル・生育不良
ゴーヤ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
雌花がつかない
生育初期は雄花が多く咲いて雌花は少ないですが、雌花は短日条件でつく性質があるため心配いりません。
6月下旬の夏至を境に短日になりますが、実際は8月頃から盛んにつくようになります。
また、雌花は子づるに多くつくので、親づるを本葉6〜7枚で摘心して子づるを伸ばすとより多く収穫できます。
実がならない
実がならないのは、授粉していないためです。
つるや葉ばかりが茂っているのに実がならないのは、肥料の与えすぎによるツルボケが原因です。施肥量を控えましょう。
また、葉が重なりすぎて花が隠れているようだと、飛んできた昆虫が花を発見できず、授粉のチャンスを逃しているかもしれません。つるを丁寧に誘引してあげましょう。
発生しやすい病害虫
ゴーヤに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
うどんこ病
葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。
炭疽病(たんそびょう)
葉、茎、果実に発生し、葉では水浸状の斑点が灰褐色、灰白色になり、同心輪紋状になります。
その他の病気 | |
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つる枯病 | 茎の地ぎわが黄褐色になり病斑部が軟化腐敗します。 |
つる割病 | 日中に下葉がしおれ夜に回復することを繰り返しながら、しおれが株全体に広がっていきます。 |
害虫
オオタバコガ
暗緑色〜茶褐色のイモムシ状の幼虫が、蕾や果実を食害します。
ハスモンヨトウ
茶色でイモムシ状の幼虫が葉を食害します。
その他の害虫 | |
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ワタアブラムシ | 体長1.5mmほどで緑色の小さな虫が、葉裏に群生して吸汁加害します。 |
ウリハムシ | オレンジ色の甲虫が葉を食害します。 |