夜間に活動して葉を食害する、イモムシ状の幼虫「ヨトウムシ(夜盗虫)」。
その被害症状と生態、対策・予防法をまとめています。
症状と被害
イモムシ状の幼虫が葉を食害します。
昼間は株元や敷きわらの下に隠れ、夜間に活動します。
特に老齢幼虫の摂食量は多く、夜が明けて畑の野菜を見ると、葉脈だけを残して一晩のうちに食い荒らされているなんてことも。
夜中に野菜を盗み食いすることから「ヨトウムシ = 夜盗虫」と呼ばれています。
ヨトウムシの写真
幼虫の体色は、緑色や褐色、黒色など変化が多く、生長すると体長3〜5cmになります。
畑にはヨトウムシ類に似たイモムシがたくさんいます。種類を特定するのに、コチラが参考になります。
生態
「ヨトウムシ」はヨトウガの幼虫のことを指しますが、夜間活動して葉を食害する種類、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウなども含めて「ヨトウムシ」といいます。
野菜につくのは主にヨトウガとハスモンヨトウで、それぞれ発生時期が異なります。猛暑になるとシロイチモジヨトウが発生しやすくなります。
ヨトウガは4〜6月と9〜11月に、ハスモンヨトウは7月〜10月に発生。
卵は葉の裏に塊で産み付けられ、孵化するとそのまま葉の裏に群生して葉を食害します。大きくなるにつれてしだいに分散し、昼の間は土中に隠れ、夜間に食害するようになります。蛹の状態になって土の中で越冬します。
防除方法
対処法
昼間は地面浅くに潜んでいることが多いので、被害株の近くを軽く掘って探し、見つけたら手で捕まえて駆除します。
ただ、隠れて見つけにくいので、孵化直後、葉裏に群棲しているときに防除するのがポイントです。
老齢幼虫になると薬剤が効きにくくなるので、農薬を使う場合は早期散布が基本。
有効な薬剤(農薬)
薬剤防除に有効な農薬には、次のようなものがあります。
「ベニカS乳剤」は、チョウ目害虫に優れた効果がある殺虫剤。速効性と持続性があり、害虫を効果的に退治します。
「STゼンターリ顆粒水和剤」は、有機JAS規格(オーガニック栽培)にも使える天然成分の殺虫剤。天然微生物(B.t.菌)が作る有効成分が、チョウ目害虫に効果をあらわします。
「ベニカナチュラルスプレー」は、3つの天然由来成分(B.t.菌・植物油・水あめ)で、食べる直前まで使える殺虫殺菌スプレー。B.t.菌の力で、ヨトウムシの食害を停止させます。
予防法
野菜を植え付けたあと、すぐに防虫ネットや寒冷紗でトンネル掛けしておけば、産卵を防ぐことができます。
被覆資材の種類とトンネルの掛け方ただ、トンネル内に入り込まれることもあるため、トンネルを掛けたあとも安心せず、葉裏に卵を見つけたら潰しておくようにしましょう。
特定防除資材「ピュアベニカ」を葉面散布しておくと、ハスモンヨトウに忌避効果があり、食害を抑制することができます。有機JAS規格(オーガニック栽培)にも使える食品成分(食酢)100%のスプレーなので、あらゆる植物に、食べる直前まで使えます。
ヨトウガ類の成虫は赤い色に誘引されて、黄色を嫌います。
野菜の周りに赤い花を植えたり、赤いものを置かないようにしましょう。また、マリーゴールドなどの黄色の花を株元に植えると忌避に役立ちます。