ヤマイモ(山芋・長芋・自然薯)の栽培方法・育て方のコツ

ヤマイモ(山芋・長芋・自然薯)の栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、ヤマイモ(山芋・長芋・自然薯)の栽培方法を紹介します。

クレバーパイプを使った、初心者にも簡単な栽培方法です。

基本情報

ヤマイモ(山芋・長芋・自然薯)栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
ヤマノイモ科種芋むかご17〜27℃6.0〜6.5あり:3〜4年あける

長芋・大和芋・自然薯など、ヤマノイモ科の芋を総称して「山芋(ヤマイモ)」といいます。

自然薯などは山菜の王様と呼ばれる高級野菜で、家庭菜園でも挑戦する人が増えていますが、収量が少なかったり、先端が割れたり… また、地中深くに長く伸びるため収穫するのが大変で、収穫時に折れたり傷ついたりと、難易度の高いものでした。

しかし、クレバーパイプの登場で、初心者でも簡単に栽培することが可能となりました。

MEMO

長芋(105cm)、自然薯(135cm)でパイプのサイズが異なります。

クレバーパイプを使ったヤマイモの栽培方法は次のようになります。

クレバーパイプで山芋・長芋・自然薯栽培

ヤマイモは、種イモの先端にある発芽点の真下から新しいイモが育ちます。

パイプの受け皿に合わせて種イモを植え付けることで新生イモをパイプ内に誘導し、収穫時にはパイプごと掘り起こすことで、イモを傷つけることなく簡単に収穫することが可能となります。

また、本来は深い耕土が必要なヤマイモ栽培ですが、パイプを斜めに埋めることで耕土が浅くなり収穫も楽チン。イモもまっすぐになって一石二鳥です。

パイプには水分量の調整穴や、ヤマイモの生育に合わせて拡張するための背割りなど、ヤマイモ栽培のための工夫が施されています。

ヤマイモは浅い部分に伸ばした根から養水分を吸収し、イモから生えた根は養分を吸収しません。むしろ肥料分があると品質が悪くなります。そのため、パイプ内の土は無肥料、地表面にだけ肥料を含ませるのが栽培のポイント。

栽培のポイント
  • パイプ内の用土は無菌・無肥料にする
  • 種イモ先端の発芽点をパイプの受け皿に合わせる

栽培時期

ヤマイモ(山芋)の栽培カレンダーです。

ヤマイモ(山芋・長芋)の栽培時期・栽培カレンダー

中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

4月頃に種イモを植え付け、11月頃に収穫できます。

栽培方法

ヤマイモ(山芋)の栽培は、次のような流れになります。

クレバーパイプへ土入れ

各サイズ(長芋:105cm、自然薯:135cm)のクレバーパイプを準備します。

クレバーパイプへ土入れ

パイプの中に、肥料分のない山土(真砂土または赤土でもOK)を入れます。

パイプの中に入れる土の量は、パイプの中が一杯になるまで。肥料、有機質は入れないように。

MEMO

ヤマイモは連作障害が出やすいのですが、クレバーパイプの栽培ではパイプ内の土を入れ替えるため連作可能といわれています。(私は一応、栽培場所は変えるようにしています。)

クレバーパイプを埋める

図のように、クレバーパイプを土中に埋めます。

クレバーパイプの埋め方

まずは、クレーバーパイプを埋めるための溝(幅25cm、深さ30〜40cm)を掘ります。

クレバーパイプの角度が10〜15°、受け口の間隔が30cmになるよう、溝にパイプを重ねて並べます。

クレバーパイプを並べる
MEMO

受け皿が同じ高さに並ぶようにするのがポイント。

受け皿の上に、パイプの土と同じ土を盛り、中心に目印となる棒を立てます。

クレバーパイプの受け皿に目印の棒を立てる
MEMO

種イモ植え付けの目印となるため、棒は受け皿の真ん中に垂直に立ててください。

パイプの上に20cmほど土を盛り、かまぼこ型の畝を作ります。

パイプの上に土を盛って畝を立てる

種芋の準備

ヤマイモの種イモ(とっくり型)

種イモは、栽培時期になると種苗店やホームセンターで販売されます。

植え付け

植え付け時期になれば、種イモを植え付けます。

クレバーパイプでの山芋・長芋・自然薯の植え付け方

深さ5cm、パイプに対して水平になるように、種イモの発芽点を目印の棒に合わせて植え付けます。

注意

種イモの発芽点を目印の棒に合わせないと、パイプ内にヤマイモが入らない場合があります。

施肥

定植後すぐ、(種芋の位置より10cm以上離して)畝の表面に肥料を施して軽く耕します。

MEMO

地表面は肥沃で、深部(パイプ内)は肥料分がない二層構造の土にします。

肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

マルチ張り

地温上昇、雑草抑制、また奇形の原因となる雨水の過剰浸透を防ぐため、黒色マルチを張ります。

ヤマイモの上にマルチング

目印の棒の場所には、芽を出すための切り込みを入れておきます。

定植から1ヶ月ほどで芽が出るので、マルチの外に芽を出しておきましょう。

ヤマイモの芽をマルチから出す

芽かき

一つの種イモから複数のつるが出ている場合、そのままにしておくと芋の肥大が悪くなります。

生育の良いものを1本残して、他のつるは土の中で芽を折るようにして芽かきしておきます。

支柱立て・ネット張り

つるが伸び始めたら支柱を立ててネットを張り、つるを誘引します。

MEMO

つるが垂れ下がると「むかご」ができやすくなって、イモの肥大が抑制されてしまいます。必ず支柱を立てて、つるを上の方へ伸ばしましょう。

支柱は高いほど良いのですが、その分風に弱くなるので、2mくらいの高さが適当です。

茎葉が茂ると結構な重さになるので、支柱とネットはしっかりとした造りにしておきましょう。

追肥

生育当初は種イモの養分で成長しますが、2ヶ月ほどで種イモの養分を使い果たし、種イモはしぼんでしまいます。

このタイミング(定植から2ヶ月後)で、マルチをめくって畝の肩の部分に追肥を施します。

むかごの収穫

7月〜8月頃、花が咲いてムカゴができます。

山芋のムカゴ

ムカゴとは、ヤマイモのツルになる肉芽のことで、土に植えるとそこから芽が出てヤマイモができます。また、完熟したムカゴは収穫して食べることもできます。

ムカゴから種イモを作る

ムカゴから種イモを作るには、次のようにします。(翌々年の種イモになります。)

  1. 収穫したむかごを数日陰干しし、発泡スチロール箱に入れて涼しい室内で保管
  2. 翌春、ポットに培養土を入れて1粒ずつ植え付け
  3. 芽が出て、つるが伸び始めたら畑に定植
  4. 晩秋にイモを掘り上げて保存し、翌春に種イモとして利用

収穫したムカゴを食べる

ムカゴを食べる場合は、完熟したものを収穫します。

収穫時期は9月下旬から11月初旬頃で、指で触っただけでぽろっと落ちる位が目安です。

むかごご飯やお酒のおつまみなんかにして、秋の味覚を楽しむことができます。

山芋のムカゴの収穫 秋の味覚「むかご」のレシピ

尚、地面に落ちたたくさんのむかごを放っておくと、翌年あちこちからヤマイモの芽が出てくるため、できるだけていねいに拾っておいた方が良いです。

地面にたくさん落ちているむかご

収穫

11月に入り、つるが完全に枯れたら収穫です。

ヤマイモのツルが枯れたら収穫時期
MEMO

自然薯は12月に入ってつるが完全に枯れてから2週間後以降に収穫。

畝の土を取り除き、クレバーパイプを掘り出します。

パイプを開いて、ヤマイモを取り出します。

これはとっくり型 長芋の短径品種(長さ50〜60cm)の収穫写真。

パイプ内の土が均一に詰まっていなかったのか?、まっすぐに伸びず、歪な形になってしまいました。

キレイな形のヤマイモが作れるよう、いろいろ試していきたいと思います。

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

ヤマイモは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を3〜4年あけるようにします。

MEMO

クレバーパイプの栽培ではパイプ内の土を入れ替えるため連作可能といわれています。

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