カブ(蕪)の栽培方法・育て方のコツ

カブ(蕪)の栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、カブ(蕪)の栽培方法を紹介します。

基本情報

カブ栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
アブラナ科15〜20℃5.5〜6.5あり:1〜2年あける

カブ(蕪)は、日本での栽培の歴史が最も古い野菜の一つ。それだけに、色・形・大きさに特徴のある多彩な地方品種があります。

かぶら」「すずな(春の七草の一つ)」などの別名もあります。

大きさで分けると、小カブ(直径5〜6cm)、中カブ(10cm前後)、大カブ(15cm以上)の3つに分類されます。

涼しい気候を好むカブは、真夏を避けた春まきと秋まきで年に2回の旬を楽しめます(トンネル被覆をすれば冬でも栽培可能)。小カブは栽培日数も短いので、初心者にもオススメ。

種を畑に直播きし、成長に合わせて間引きをしながら太らせます。標準サイズより大きくなると味が落ちるので、採り遅れないように収穫適期を守ることが大切です。

栽培のポイント
  • 適期に間引き、品種に応じた株間をあける
  • 生育に応じて追肥し、肥切れしないように管理する

栽培時期

カブ(蕪)の栽培カレンダーです。

カブ(蕪)の栽培時期・栽培カレンダー

中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

涼しい気候を好むカブは、真夏を避けた春まきと秋まきで年に2回の旬を楽しめます。

トンネル被覆をすれば冬でも栽培可能です。

栽培方法

カブ(蕪)の栽培は、次のような流れになります。

土作り

耕運機で耕して土作り作業

種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。

土壌酸度(pH)の目安は5.5〜6.5です。

連作障害による「根こぶ病」の発生を防ぐため、高畝にして水はけをよくしておきましょう。

また、土が固く、土の塊や残渣があると玉の形がゆがむ原因になるため、よく耕しておきます。

肥料

カブは、小さいのに肥料好き。生育初期からリン酸をよく効かせると肥大がよくなります。

肥料は、窒素・リン酸・カリをバランスよく施します。「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

種まき

種は畑に直播きします。

条間20cmでまき溝をつけ、1.5cm間隔で条播きに。厚さ1cmほど覆土して、たっぷりと水をやります。

MEMO

大カブの場合は、株間30cmで4〜5粒ほど点まきにします。

種まきは条播きの方が良い

条播きにすると競い合って根を伸ばすため、発芽とその後の生育がよくなります。

また、カブは胚軸(茎と根の中間部分)が肥大したものなので、肥大すると割れやすい性質があります。しかし、条播きにすることで、胚軸の伸長と肥大を見極めながら質の良いものを残して間引くことができるので、都合が良いというのも理由です。

防虫ネット

カブ(蕪)に防虫ネット

気温の高い時期は特に害虫がつきやすく、生育初期に葉を食害されると根の成長にも影響します。

種まき後すぐに防虫ネットを掛けて予防しましょう。

間引き

3回の間引きで1本立ちにします。

本葉が出たところで1回目の間引き、本葉3枚で2回目、本葉5枚で3回目の間引きをし、最終株間を小カブ10cm、中カブ20cmほどにします。

MEMO

大カブの場合は、同様のタイミングで1回目に3本立ち、2回目に2本立ち、3回目に1本立ちにします。

1回で間引いてしまうと早く肥大しすぎて実割れを起こす場合があります。また、間引きが遅れると胚軸が徒長して、これも割れの原因となるため、3回に分けてタイミングよく間引くことが大切です。

追肥・土寄せ

2回目と3回目の間引きの後、条間に追肥を施します。

MEMO

小カブの場合は、元肥のみで栽培できます。

また、土が固くなると生育が悪くなるため、中耕を兼ねて肥料と土を混ぜ合わせ、株元に土寄せしておきます。

MEMO

カブは根の張りが浅く、土からせり上がるように育ちます。根がぐらついていると形が悪くなるので、土寄せはしっかりと行いましょう。

収穫

それぞれの品種の収穫サイズになったら、間引くようにして収穫していきます。

大きさの目安は、小カブ:5〜6cm、中カブ:7〜19cm、大カブ:12〜15cm

葉を手でまとめて、株元をつかんで引き抜きます。

収穫適期を過ぎると、玉が割れたり、スが入ったりして味が落ちてしまうため、適期を逃さないようにしましょう。

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

カブは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

カブと相性の良い野菜には次のようなものがあります。

コンパニオンプランツ効果
キク科の野菜(シュンギクレタス独特の香りが、アブラナ科につく「モンシロチョウ」「コナガ」などの害虫を防除する
ニンジンニンジンのセリ科とアブラナ科との異なる組み合わせで、お互いの害虫を忌避する。
葉ネギ病害虫の発生が抑えられる。葉ネギが過剰な養分を吸収することで、苦みがなく甘いカブになる。
エンバクエンバクの根が出す抗菌物質で、「根こぶ病」の発生を防ぐ
カブと相性の良い野菜
カブ×シュンギクの混植(コンパニオンプランツ)
カブ×シュンギクの混植

栽培Q&A

生長に応じて間引きながら育て上げるのが一般的なカブの育て方ですが、間引きを忘れてしまうことも…

しかし、ダイコンニンジンと違い、カブは地上で肥大部を形成するので、たくさんのカブが押し合いながら育ち、小ぶりですが収穫することができます。

引き抜くと根が割れていた(実割れ/玉割れ)は、割れ方によって原因が異なります。

カブの裂根(実割れ・玉割れ)

地際の根に同心円状の亀裂が入るのは、根の肥大期に寒さに遭ったことが原因です。

尻部が避けるのは、乾燥が続いたあとに大雨が降ったりするなど、土壌水分の変化が激しいことが原因です。

また、採り遅れも実割れの原因となるため、収穫適期を逃さないようにしましょう。

カブは真っ白でつややかな肌が持ち味です。

ざらざらとした肌になるのは、主に「キスジノミハムシ」の幼虫による食害が原因です。

収穫してみると、奇妙な形をしていたり、大小さまざまなこぶがついている場合、「根こぶ病」が原因です。

アブラナ科野菜の代表的な連作障害です。

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