
家庭菜園の初心者の方向けに、ハクサイ(白菜)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ハクサイ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
ハクサイ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ハクサイ | アブラナ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限2〜3年 |
中国が原産地のハクサイは、冷涼な気候を好む、秋まき野菜の代表格です。
外葉の育ち具合が球のできを左右します。
甘くてみずみずしい大玉のハクサイを採るには、外葉を大きく育てる、タイミングの合った追肥がポイントです。
播種(種まき)から収穫までの日数は、約60日〜120日となります。(品種・作型によって異なります)
- 秋まきの時期が早過ぎると病害虫が発生しやすく、遅すぎると結球しないので、種まきの時期が大切
- 苗が小さいうちは、害虫対策をしっかりと
- 元肥を多めに入れ、こまめに追肥して外葉を十分に育てる
ハクサイの栽培時期
ハクサイの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
秋まきの時期が早過ぎると病害虫が発生し、遅すぎると結球しないので、種まきの時期が大切です。

畑に直播きする場合は、育苗より遅めの9月上旬に畑に種をまき、間引いて育てます。
上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ハクサイの栽培方法
ハクサイの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




ポットに3〜4粒ずつ種をまき、軽く覆土して、たっぷりと水をやります。
双葉が開いたら2〜3本に間引き、本葉2枚の頃に1本立ちにします。
苗は、そのまま暖かい環境で育てます。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
土作り
ハクサイの根は細いですが広く分布するので、耕土が深く、排水性、通気性、保水性にすぐれた土壌を用意します。
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
酸性土だと「根こぶ病」が発生しやすくなるので、土壌の酸度調整(pH)はしっかりと行いましょう。
pHは6.0〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、株間40〜50cm、畝幅50cmを確保して畝を立てます。
肥料
ハクサイは肥沃な土を好むため、肥料切れさせないように、窒素・リン酸・カリをバランスよく施します。「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
大きな球を収穫するためには、初期育成を促し、外葉を大きく育てるのがポイント。
連作障害・コンパニオンプランツ
ハクサイは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
また、アブラナ科野菜のハクサイには、「モンシロチョウ」や「コナガ」の幼虫が寄生して葉を食害します。
そこで「コンパニオンプランツ」として、これらが嫌うキク科の野菜(シュンギク、レタスなど)を近くに植えることで、害虫がつくのを防ぐ効果があります。
植え付け

本葉4〜5枚が出た頃が定植時期です。
株間40〜50cmほどで、畑に定植します。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
直播きの場合
畑に直播きする場合は、育苗する場合より遅めの9月上旬に畑にまきます。
株間40〜50cmほどで、1穴に5〜6粒ずつ種まき。
本葉2〜3枚から間引きし、本葉5〜6枚で最終間引きして1本にします。
防虫ネットを掛ける

苗が小さいうちは害虫がつきやすいので、植え付け直後に防虫ネットを掛けておくと安心です。
また、収穫期には虫害の心配はなくなりますが、そのままトンネルを掛けておくことで霜よけにもなります。
追肥

ハクサイは外葉が大きくならないと結球しないため、こまめに追肥して外葉を十分に育てます。
1回目の追肥は、定植から2週間後。除草を兼ねて中耕しておきます。
その後、2〜3週間おきに合計1〜2回の追肥を行います。
結球し始める

外葉が15枚くらいになると、結球し始めます。
この頃から水分要求量が増えるので、雨が降らない時は水やりをしておきます。
収穫



植え付けから約60日後、ハクサイの頭を手で押さえてみて、かたく締まっていたら収穫できます。
外葉を開いて結球部分を横に倒し、根元を切り取って収穫します。
霜や寒風にさらされると、球の頂部や外葉がカサカサになり、そこから腐ったりしてくるため、初霜が降りる前に収穫を終えるようにしましょう。
冬越しする場合

12月に入り霜が降りると、寒さでハクサイが傷んでしまいます。
越冬する場合は、結球部分を外皮で包み込むように、上部を紐で縛っておきます。
こうすると外葉が枯れるだけで中の葉は守られるので、2月頃まで畑に置いておくことができます。
トラブル・生育不良
ハクサイ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
結球しない
葉が巻かなかったのは、定植時期が遅かったか、肥料が少なかったのが原因です。
結球には、初秋の成長期に一定の葉数が育っている必要があります。
そのためには、適期の種まきと定植、元肥をしっかり与え、生長に応じて追肥することで、健全な株に育てることが大切です。
本格的な寒さがくる前に、外葉が大きく広がり、しっかり育っていれば、放っておいても巻き始めます。
生長が遅れているようであれば、ビニールトンネルを設置して保温し、生長の遅れを取り戻しましょう。
発生しやすい病害虫
ハクサイに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
軟腐病(なんぷびょう)
組織が水浸状になり、軟化して独特の悪臭を放ち腐敗します。
根こぶ病
茎葉がしおれては回復を繰り返し、根に大小のこぶができます。
白斑病(はくはんびょう)
葉に灰白色の病斑ができます。
その他の病気 | |
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黄化病 | 葉が全体に黄化してしおれ、結球せずハボタン状になります。 |
黒腐病 | 葉の縁に黄色いV字型の黄斑ができます。 |
黒斑病 | 葉に淡褐色〜黒色の病斑ができます。 |
べと病 | 葉に淡黄色の病斑ができ、葉裏にカビが発生します。 |
モザイク病 | 葉に濃淡のモザイク模様が現れ、ひどくなると生育不良で結球も不良になりやすくなります。原因ウイルスをアブラムシが媒介します。 |
害虫
アオムシ(モンシロチョウ)
緑色の細かい毛がうっすらと生えた小さなイモムシが、葉を食害します。
ダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ)
体長1cmに満たない、黒色の幼虫、成虫(丸い形をした甲虫)が、葉を食害します。
ヨトウムシ
イモムシ状の幼虫が葉を食害します。
主に、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ。
その他の害虫 | |
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アブラムシ | 小さな虫が集団で棲みつき、吸汁加害します。モザイク病のウイルスを媒介するため注意。(主に、ニセダイコンアブラムシ、モモアカアブラムシ) |
コナガ | 体長10mmほど、淡緑色の幼虫が葉を食害します。 |
ナメクジ | 新芽や若葉などの柔らかい葉を舐めるように食害します。大きく育った株は食害しませんが、結球した葉と葉の間に潜んでいることも。 |