
家庭菜園の初心者の方向けに、ピーマン・パプリカの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ピーマン・パプリカ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ピーマン・パプリカ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ピーマン | ナス科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限3〜4年 |
緑色のピーマンは多少の苦味もありますが、赤や黄色に完熟して甘みがでるカラーピーマン、肉厚なパプリカも人気。
苗作りは温度管理が難しいので、家庭菜園など小規模なものでは、市販の苗を利用するのがオススメです。
上手に育てれば、夏から秋にかけて1株40〜50個も採れるので、肥料を切らさないよう定期的な追肥が大切です。
- 過湿にも乾燥にも弱いため、高畝で水はけをよくする
- 定期的に追肥を施しながら育てる
- カラーピーマン・パプリカは、完熟してから収穫する
カラーピーマンとパプリカの違い
ピーマンもパプリカも、どちらもトウガラシの甘味種です。
ピーマンは緑色ですが、これは未成熟のものを収穫しているため。ピーマンは完熟すると赤色や黄色、オレンジなどに色付き、その完熟果がカラーピーマンです。
パプリカは、カラーピーマンの中で大型で肉厚な品種のものを指します。
ピーマン・パプリカの栽培時期
ピーマン・パプリカの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
2月中旬に種をまいてポットで育てた苗は、5月上旬に植え付け、6月下旬から10月いっぱいまで長期間収穫できます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ピーマン・パプリカの栽培方法
ピーマン・パプリカの栽培方法は同じで、次のような流れになります。
種まき・育苗


セルトレイに種まきし、発芽して本葉2枚の頃にポットに移植。
定植まで暖かい環境で育てます。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
尚、種から育てると育苗期間が長くなり管理が難しくなるため、市販の苗を購入して育てるのが手軽でオススメです。
土作り
過湿にも乾燥にも弱いため、高畝にして水はけをよくしてやります。
また、ピーマン・パプリカは肥料好きなので、堆肥と十分な元肥を入れて耕します。
株間50cm、畝幅60cmほどの広さを確保し、高さ20cm〜30cmの畝を立てておきます。
pHは6.0〜6.5が目安です。
肥料
茎葉を伸ばしながら次々と実をつけていくので、栽培期間を通じて肥料切れを起こさせないように、定期的に追肥します。
初期からリン酸を効かせることで、実付きがよくなります。肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ピーマン・パプリカは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を3〜4年あけるようにします。
また、「コンパニオンプランツ」として、マメ科の「ラッカセイ」と一緒に植えるのもオススメです。
ラッカセイの根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、また、根に付く菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があります。
植え付け

本葉13〜14枚で、一番花が咲き始めたら定植時期です。
ピーマンもパプリカも高温を好むため、晴天の午前中に定植して活着を促進させます。
苗のポットを外し、根を崩さずに浅めに植え付けます。株間は50cmほど。
茎が弱くて風で折れやすいので、定植と同時に仮支柱を立てて支えておきます。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。
一番花は摘み取る

1番花は、株を大きくするために摘み取ります。
摘み取らないと栄養分が実に転流する生殖成長が進み、株全体への栄養の配分が少なくなる(栄養成長ができなくなる)ため、株がうまく育たなくなります。
支柱立て・マルチング

主茎が伸びたら垂直に立てた支柱に誘引します。
株ごとに高さ120〜150cmの支柱を立てて主茎を紐で固定し、さらに支柱を横に渡して補強しておきます。
また、株元に稲わらなどを敷いて「マルチング」しておきます。乾燥を防ぎ、夏場の雑草対策にもなります。
整枝・摘芯

1番花のすぐ下で分かれる2本の側枝を伸ばし、その下のわき芽を全て摘み取って3本仕立てにします。

その後も、茎がV字型に2つに分かれ、その茎がまた2つに分かれて、どんどん茎をふやしていきます。果実はその分岐点に付きます。
放っておくと過繁茂になり、風通しが悪く病害虫の被害を受けやすくなります。また、実がつきすぎて樹が弱ってきます。
そのため、葉が茂りすぎると枝を間引いたり、収穫の時に内側に向かって伸びる茎を摘芯して花の数を減らしてやります。
追肥・水やり
植え付けの1ヶ月後から2週間に1度のペースで追肥します。
また、乾燥が続くと奇形果やカルシウム不足による尻腐れ果ができるため、少雨の夏はしっかりと水やりをします。(過湿にも弱いので、水やりは乾燥した時だけ。)
どんどん実がつく


やがて、ピーマンの花がたくさん咲き、それぞれ結実して小さな実がつきだします。
パプリカには雨よけ
パプリカは実がついてから完熟して収穫できるまで1ヶ月ほど掛かります。
その間に雨が降ると腐って実が落ちたり、痛みやすいので、雨よけをしてやると安心です。

収穫



ピーマンは開花から15〜20日、パプリカは40〜50日で収穫適期。
収穫の際、枝が弱くて折れやすいのでハサミで切って収穫します。また、収穫の度に内側のわき芽は摘み取っておきます。
この後、秋まで収穫可能です。株が疲れてきたら実が小さいうちに採ると、また株が元気になります。
カラーピーマン、パプリカは完熟してから収穫



カラーピーマン、パプリカは、ピーマン同様に最初は緑色の実をつけます。
そこからさらに置いておくことで実が熟して色がつき始め、完熟して赤・黄・オレンジになってから収穫します。
尚、ピーマンもパプリカも、採り遅れると果皮のツヤがなくなり、シワが寄ってしまうので、光沢とハリのあるうちに収穫しましょう。
トラブル・生育不良
ピーマン・パプリカ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
落花して実がつかない
ピーマンは1株で100以上の花をつけますが、実になるのは5〜6割程度なので、多少の落花は心配ありません。
しかし、一度に大量の落花があるときは、なり疲れの可能性があります。
対策としては、すぐに追肥する、中耕して通気性を改善する、水やりする、また、実を若採りして株の回復を図ります。
尻腐れ病(しりくされびょう)
ピーマンのお尻が黒くなって腐ります。
土のカルシウム不足や、高温や土の乾燥、窒素肥料の過剰摂取によりカルシウムの吸収が抑えられたときに発生します。
発生しやすい病害虫
ピーマン・パプリカに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
青枯病(あおがれびょう)
元気だった株が急にしおれ、青みを残したまま枯れてしまいます。
疫病(えきびょう)
葉に水がしみたような暗緑色の病斑が現れ、裏面には白いカビが発生、やがて枯れます。
モザイク病
葉に濃淡のモザイク模様が現れ、ひどくなると葉は縮れて奇形化します。
原因ウイルスをアブラムシが媒介します。
その他の病気 | |
---|---|
萎凋病 | 下葉から黄化してしおれ、生育不良となり枯れてしまいます。 |
黄化えそ病 | 葉が黄化してえそ斑点を生じ、症状が激しいと株全体が枯れてしまいます。原因ウイルスをミナミキイロアザミウマが媒介します。 |
白絹病 | 株の地ぎわや周辺の土壌に白い糸状のカビが発生します。 |
苗立枯病 | 地ぎわ付近の茎や根が腐敗し、やがて株全体が枯れます。 |
害虫
モモアカアブラムシ
体長1〜4mmの小さな虫が集団で棲みつき、吸汁加害します。
モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要。
ホオズキカメムシ
亀のような形をした昆虫が、つぼみや果実を吸汁加害します。
タバコガ
緑色をしたイモムシ状の幼虫が、ピーマンの果実に潜り込んで食害します。
ハスモンヨトウ
イモムシ状の幼虫が、葉肉を裏側から食害します。
その他の害虫 | |
---|---|
ミナミキイロアザミウマ | 新芽や新葉のすき間に小さな虫が寄生し吸汁加害します。黄化えそ病のウイルスを媒介するため注意。 |
チャノホコリダニ | 肉眼で見えないほど小さい虫が葉に吸汁加害し、被害部がすすけたようになります。 |
テントウムシダマシ | 益虫のテントウムシと違い、黒い斑点が28個と多いのは害虫のテントウムシダマシ。葉を食害します。(別名:ニジュウヤホシテントウ) |
ハモグリバエ | 乳白色の幼虫が葉肉の中から葉を食害し、葉の表面に絵を描いたような白い筋状の食痕を残します。 |