ニンニクの栽培方法・育て方のコツ

ニンニクの栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、ニンニクの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。

ニンニク栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツなど。

ニンニクの病害虫ニンニクの病気と害虫

ニンニク栽培の特徴

ニンニク栽培の様子
種類科目好適土壌pH連作障害
ニンニクネギ科5.5〜6.0連作可能

病害虫の心配も少なく、手間を掛けなくても育ってくれるニンニク。

風味と香りが立つ大きな球を育てるには、秋の肥沃な土作りとタイミングのよい追肥がポイントです。

長期保存もできるので、大量に栽培して保存しておくと便利です。

栽培のポイント
  • 1株から複数の芽が出たら、芽かきをして1本にする
  • 越冬前と春先の2回の追肥を行う

ニンニクの栽培時期

ニンニクの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。

秋に植え付け、春先に葉が伸びる頃ニンニクの根塊も成長し、6月頃が収穫時期です。

ニンニクの栽培時期・栽培スケジュール

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。

ニンニクの栽培方法

ニンニクの栽培方法は、次のような流れになります。

種球の準備

ニンニクの種球(ホワイト六片)

ニンニクの種球は、植え付け時期になると種苗店やホームセンターで販売されます。

土作り

耕運機で耕して土作り作業

植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。

土壌酸度(pH)の目安は5.5〜6.0です。

また、マルチングしておくと雑草抑制になり、後々の管理に手間が掛かりません。

ニンニクのマルチ栽培

その際は、タマネギ用の穴あきマルチ(株間のサイズも同じ15cm)を利用すると、穴をあける手間が省けて便利です。

肥料

冬越しで栽培するニンニクは、肥料分を多めに施し肥沃な土を作っておきます。

肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

連作障害・コンパニオンプランツ

ニンニクは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。

また、ニンニクには「青枯病」や「立枯病」などの病原菌を抑える微生物が共生しているため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。

植え付け

ニンニクの植え付け時期は、夏の暑さがしっかりと落ち着いた頃。

暑すぎると発芽する前に土中で腐ってしまう場合があります。また、植え付けが遅れて寒くなり過ぎると根の張りが不十分になり、ニンニクの太りが悪くなってしまいます。

ニンニクの表皮を剥がして、種球を1片ずつに分けます。ばらした分球を包んでいる薄皮は、むかずにそのままにしておきます。

大きな種球ほど大球になりやすいので、傷や歪みのあるものを避け、大きくて形が整ったものを選びます。

また、干からびたり、カビが生えたり、病斑があるものは避けましょう。種球がウイルスに感染していると、葉がよじれて伸びない「モザイク病」になってしまいます。

株間15cmで、深さ5cmほどの穴をあけ、芽(尖った方)を上にして1片ずつ植えつけます。

植え付けた後は、たっぷりと水をやります。

薄皮をむいて植え付ける方法も

最近では、薄皮をむいて植え付ける栽培方法も行われています。

ニンニクの薄皮を剥いてから植え付ける

皮は水分をはじくため、保存時には種球を保護してくれます。ところが、皮を付けたまま植え付けると、土中の水分を吸いにくいため発芽が遅くなります。

薄皮をむいて植え付けると、発芽が早くなり、その後も生育が早く、充実した株で冬を迎えることができるため、最終的に収穫する球も大きく育ちます。

尚、りん片(種球)の乾燥を防ぐため、皮をむくのは植え付けの直前に行いましょう。

芽かき

植え付け後30日ほどで、発芽します。

草丈10cm〜15cmの頃、1株から2本の芽が出ていたら、勢いの弱い方の芽をかき取って1本にします。

一緒に抜けてしまわないように、残す方の芽の生え際をしっかり押さえてかき取るようにします。

追肥

秋に植え付けてから、収穫までに2回の追肥を行います。

1回目の追肥は12月頃、株元にボカシ肥や鶏ふんをまきます。

2回目の追肥は休眠から覚める2月中旬頃、1回目と同様に施肥します。

越冬前の追肥が肝心

光合成によって葉で作られる養分が、冬の間に根と茎に蓄えられ、春になって鱗茎に転流されるので、越冬前に地上部を十分に生育させておく必要があります。そのために、追肥をしっかりと行っておくことが大切です。

花芽は摘み取る

4〜5月になると「とう立ち」して花芽が伸び出します。

そのまま放っておくと、花の方に栄養が取られ地下部の球が太らなくなるため、適当な時期に摘み取ります。手でポキッと折るか、掴んで引っ張るとスポッと抜けます。

摘み取るタイミングは、外葉と同じくらいの高さになったとき。早すぎると球が分かれてしまい、遅すぎると花芽に栄養が取られて風味が落ちてしまいます。

摘み取った花芽は「ニンニクの芽」として食べられます。

収穫

ニンニクは、球が熟成するとふたたび休眠に入って生育を止めます。下葉が黄変し始めたら休眠に入ったサイン。

収穫適期は6月頃、地上部の葉が全体の2/3ほど枯れたら収穫します。

株元の茎を手で握り、真上に引き抜いて収穫します。

簡単に抜けない場合は、まだ根が生長している証拠。球はもう少し大きくなるので様子を見ましょう。

また、土が湿っているときに収穫すると保存中の球が傷みやすいので、2〜3日晴天が続いたときに収穫しましょう。

収穫後、2〜3日ほど畑や軒下に並べて乾かしておきます。

尚、収穫が早過ぎると球の肥大化が十分でなく、また、とり遅れると球割れが発生するので、適期を逃さないようにしましょう。

貯蔵

茎が乾燥したら葉と根を切り落とし、3、4個ずつ茎のつけ根をヒモで縛って束ねます。さらに2束ずつヒモで縛って吊るせるようにします。

縛ったニンニクを吊るして貯蔵

風通しがよく、雨と直射日光が当たらない軒下などに吊るしておくと、長期保存ができます。

尚、あまり長くおくと休眠から覚めてしまうので、芽が出る前に食べてしまうか、スライスして冷凍保存しておくと便利です。

乾燥せずに腐る場合

写真は収穫後2週間ほど干していたにも関わらず、中は湿って柔らかくなりかけているニンニク。

乾燥できず湿って腐りそうなニンニク

これは収穫時期が早すぎたために、まだ生育期で水分が多く含まれていたのが原因と考えられます。

保存には向かないので、腐ってしまう前にはやく食べてしまいましょう。