
家庭菜園の初心者の方向けに、ニンニクの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ニンニク栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ニンニク栽培の特徴

病害虫の心配も少なく、手間を掛けなくても育ってくれるニンニク。
風味と香りが立つ大きな球を育てるには、秋の肥沃な土作りとタイミングのよい追肥がポイントです。
長期保存もできるので、大量に栽培して保存しておくと便利です。
- 1株から複数の芽が出たら、芽かきをして1本にする
- 越冬前と春先の2回の追肥を行う
ニンニクの栽培時期
ニンニクの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
秋に植え付け、春先に葉が伸びる頃ニンニクの根塊も成長し、5月下旬から6月頃が収穫時期です。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ニンニクの栽培方法
ニンニクの栽培方法は、次のような流れになります。
種球の準備

ニンニクの種球は、植え付け時期になると種苗店やホームセンターで販売されます。
土作り
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
pHは5.5〜6.0が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、株間15cm、条間15cmを確保して畝を立てておきます。
また、マルチングしておくと雑草抑制になり、後々の管理に手間が掛かりません。
その際は、タマネギ用の穴あきマルチ(株間のサイズも同じ15cm)を利用すると、穴をあける手間が省けて便利です。
肥料
冬越しで栽培するニンニクは、肥料分を多めに施し肥沃な土を作っておきます。
肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ニンニクは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。
また、ニンニクには「青枯病」や「立枯病」などの病原菌を抑える微生物が共生しているため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
植え付け
ニンニクの表皮を剥がして、種球を1片ずつに分けます。ばらした分球を包んでいる薄皮は、むかずにそのままにしておきます。
大きな種球ほど大球になりやすいので、傷や歪みのあるものを避け、大きくて形が整ったものを選びます。
また、干からびたり、カビが生えたり、病斑があるものは避けましょう。種球がウイルスに感染していると、葉がよじれて伸びない「モザイク病」になってしまいます。


株間15cmで、深さ5cmほどの穴をあけ、芽(尖った方)を上にして1片ずつ植えつけます。


植え付けた後は、たっぷりと水をやります。
薄皮をむいて植え付ける方法も

最近では、薄皮をむいて植え付ける栽培方法も行われています。
皮は水分をはじくため、保存時には種球を保護してくれます。ところが、皮を付けたまま植え付けると、土中の水分を吸いにくいため発芽が遅くなります。
薄皮をむいて植え付けると、発芽が早くなり、その後も生育が早く、充実した株で冬を迎えることができるため、最終的に収穫する球も大きく育ちます。
尚、りん片(種球)の乾燥を防ぐため、皮をむくのは植え付けの直前に行いましょう。
芽かき


植え付け後30日ほどで、発芽します。
草丈10cm〜15cmの頃、1株から2本の芽が出ていたら、勢いの弱い方の芽をかき取って1本にします。
一緒に抜けてしまわないように、残す方の芽の生え際をしっかり押さえてかき取るようにします。
追肥


秋に植え付けてから、収穫までに2回の追肥を行います。
1回目の追肥は12月頃、株元にボカシ肥や鶏ふんをまきます。
2回目の追肥は春先の2月中旬頃、1回目と同様に施肥します。
光合成によって葉で作られる養分が、冬の間に根と茎に蓄えられ、春になって鱗茎に転流されるので、越冬前に地上部を十分に生育させておく必要があります。そのために、追肥をしっかりと行っておくことが大切です。
花芽は摘み取る


春になると「とう立ち」して花芽が伸び出します。
放っておくと球が太らず、株が早く枯れてしまうため、花芽が出てきたら早めに摘み取るようにします。手でポキッと折るか、掴んで引っ張るとスポッと抜けます。
摘み取った花芽は「ニンニクの芽」として食べられます。
収穫
ニンニクは、球が熟成するとふたたび休眠に入って生育を止めます。下葉が黄変し始めたら休眠に入ったサイン。
収穫適期は、5月中旬から6月頃、地上部の葉が全体の8割ほど枯れたら収穫します。


株元の茎を手で握り、真上に引き抜いて収穫します。
簡単に抜けない場合は、まだ根が生長している証拠。球はもう少し大きくなるので様子を見ましょう。
また、土が湿っているときに収穫すると保存中の球が傷みやすいので、2〜3日晴天が続いたときに収穫しましょう。


収穫後、2〜3日ほど畑や軒下に並べて乾かしておきます。
尚、収穫が早過ぎると球の肥大化が十分でなく、また、とり遅れると球割れが発生するので、適期を逃さないようにしましょう。
貯蔵

茎が乾燥したら葉と根を切り落とし、3、4個ずつ茎のつけ根をヒモで縛って束ねます。さらに2束ずつヒモで縛って吊るせるようにします。
風通しがよく、雨と直射日光が当たらない軒下などに吊るしておくと、長期保存ができます。
尚、あまり長くおくと休眠から覚めてしまうので、芽が出る前に食べてしまうか、スライスして冷凍保存しておくと便利です。
乾燥せずに腐る場合

写真は収穫後2週間ほど干していたにも関わらず、中は湿って柔らかくなりかけているニンニク。
これは収穫時期が早すぎたために、まだ生育期で水分が多く含まれていたのが原因と考えられます。
保存には向かないので、腐ってしまう前にはやく食べてしまいましょう。
発生しやすい病害虫
ニンニクに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
さび病
オレンジ色の楕円形で、やや膨らんだ小さな斑点ができます。
モザイク病
葉脈に沿った緑色濃淡のモザイク模様が現れ、葉に萎縮・ねじれが生じます。
原因ウイルスをアブラムシが媒介したり、種球がすでに感染している場合があります。
その他の病気 | |
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葉枯病 | 葉に淡褐色の病斑ができ黒色のすす状のカビが発生します。 |
害虫
ネギアブラムシ
体長1.8〜2mm、黒色で小さな虫が葉に群がって、吸汁加害します。
その他の害虫 | |
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チューリップサビダニ | 球茎、茎葉に寄生し、サビついたように褐色になります。(フシダニ/サビダニ類) |
ロビンネダニ | 根に寄生して食害します。(コナダニ類) |