
家庭菜園の初心者の方向けに、ニラの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ニラ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ニラ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ニラ | ネギ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限1〜2年 |
ニラは多年草で冬越しができるので、春から夏の生育がいい時期に葉だけを収穫し、冬は休眠させるようにします。
一度植え付ければ2〜3年収穫でき、株分けして植え替えれば、さらにまた収穫できるようになります。
生長が早いので、収穫のタイミングが重要。また、収穫後はしっかりと株を休ませます。
葉を収穫するときに地上部を2〜3cm残しておくと、また新たな葉が伸び出してくる(分けつ/分げつ)ので、一株で何度も収穫することができます。
- 1年目は収穫せずに株を大きくして、2年目、3年目に収穫するといい
- 株元を残して収穫すると、また次々と葉が伸びる
ニラの栽培時期
ニラの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
3月に種まきして6月に植え付け。1年目は収穫せずに株を大きくし、2年目の春〜夏にかけて収穫します。
3年目の4月または9月に掘り起こして株分けし、また苗の植え付けから同じように育てていきます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ニラの栽培方法
ニラの栽培方法は、次のような流れになります。
苗床を作る
ニラの種をまいて苗を育てるための、苗床を作ります。
種まきの3週間前までに、堆肥を鋤き込み、表面を平にならしておきます。
栽培する量が少量の場合は、プランターや育苗箱に培養土を入れて苗作りをすると手軽です。
種まき・育苗




条間10〜15cmでまき溝をつけ、2cm間隔で条播きにします。
軽く覆土して鎮圧し、たっぷりと水をやります。
土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻をまいたり、「不織布」をベタ掛けしておきます。
発芽後は、2〜3回に分けて間引きをして、最終的に草丈20cmほどの苗に育てます。
土作り
ニラは酸性度を嫌い、pH6以下だと育ちが悪くなるので、土作りはpH(酸度)調整を含めて行います。
苗の植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
pHは6.0〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、株間20cm、条間30cmを確保して畝を立てます。
肥料
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ニラは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。
また、ニラの根には、土壌病害を抑える効果のある拮抗菌が共生しているため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
植え付け
草丈20cmほどになれば、畑へ定植します。
根を傷めないように移植ゴテで苗を掘り起こして、3本ずつに分けます。


畑に植え溝を切り、株間20cm、条間30cmで、1箇所に3本ずつ置きます。
横から苗に土をかけ、茎の下の部分まで埋まるくらい、深めに植えます。


植え付け後は、たっぷりと水をやります。
土寄せ


苗が根付いたら、成長点の下を目安に、株元に土寄せを行います。
分岐しているところが、成長点です。
1年目は収穫しない
1年目は追肥も収穫もせず、土寄せだけをして株を大きく育てます。(冬に枯れますが、そのまま放置)

1年目から収穫するのであれば、夏の間は株を十分に育てて鱗茎に栄養分を蓄えさせ、10月頃に繁茂して固くなった葉を一度刈り取り(捨て刈り)、再び伸びてきた柔らかい茎葉を収穫します。

2年目から収穫・追肥
2年目の春、草丈が20cm以上になったら、秋まで収穫することができます。
地上部2〜3cmを残して、ハサミで切って収穫します。



収穫したら、お礼肥えとして、ボカシ肥や鶏糞を畝間に追肥して中耕しておきます。


そうすると、また新たに葉が出てくるので、秋までに3、4回収穫することができます。その都度、追肥・中耕を忘れずに。
尚、収穫が遅れると葉先が垂れ下がり、スジが目立ってきます。生長が非常に早いので、収穫のタイミングを逃さないようにしましょう。
花芽は摘む

夏になると、花茎が出てきます。
そのままにすると株が疲れてしまうため、花はつぼみのうちに摘んでしまいましょう。
3年目に株分け
定植してから2年以上経つと、分げつして茎数が多くなり、葉幅が細くなります。そこで、株分けして植え直します。
株分けの時期は、3年目の4月、または9月が目安。
根ごと掘り起こして根元から株分けをし、成長点より上で葉を切った後、苗の植え付けと同じように植え替えます。



やがて新葉が伸びてきたら、成長点の下を目安に、株元に土寄せをしておきましょう。
発生しやすい病害虫
ニラに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
萎縮病(いしゅくびょう)
葉の先端が外側に巻いてモザイクを現します。
新葉ではこの症状が強く出て、株も萎縮します。
さび病
オレンジ色の楕円形で、やや膨らんだ小さな斑点ができます。
害虫
ネギアブラムシ
体長1.8〜2mm、黒色で小さな虫が葉に群がって、吸汁加害します。
アザミウマ
体長1〜2mmの小さな成虫や幼虫が葉を食害して、かすり状の白斑にします。
ネギコガ
体長7〜9mm、淡緑色で褐色の条斑がある小さな幼虫が葉を食害します。