
家庭菜園の初心者の方向けに、ニラの栽培方法を紹介します。
基本情報

ネギの仲間で特有の香りをもち、ビタミンAを豊富に含む健康野菜。
種まきから収穫まで1年掛かりますが、一度植えれば数年収穫することができ、株分けして植え替えるとさらにまた収穫できるので、家庭菜園に植えておくと重宝します。
栽培期間が長いので、植え付け場所は慎重に選びましょう。
- 1年目は収穫せずに株を大きくして、2年目、3年目に収穫するといい
- 株元を残して収穫すると、また次々と葉が伸びる
- 収穫3年ごとに株分けして植え替える
栽培時期
ニラの栽培スケジュールです。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
3月に種まきして6月に植え付け。1年目は収穫せずに株を大きくし、2年目の春〜夏にかけて収穫します。(以降、2〜3年収穫を繰り返し。)
収穫3年ごとを目安に、根株を掘り起こして株分けし、また苗の植え付けから同じように育てていきます。
栽培方法
ニラの栽培は、次のような流れになります。
種まき・育苗
苗床を作る
ニラの種をまいて苗を育てるための、苗床を作ります。
あらかじめ石灰、元肥を入れて耕し、表面を平にならしておきます。
栽培する量が少量の場合は、プランターや育苗箱に培養土を入れて苗作りをすると手軽です。
種まき・管理
条間15cmでまき溝をつけ、1〜2cm間隔で条播きに。軽く覆土して鎮圧し、たっぷりと水をやります。


土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻をまいたり、不織布をベタ掛けしておきます。


発芽後は不織布を外し、混み合ったところを間引いて、最終的に株間2cmほどにしておきます。
生育状況を見ながら、種まき後30日と60日の2回に分けて条間に追肥を施し、草丈20cmほどの苗に仕上げます。
土作り(本畑準備)
ニラの苗を植え付けて育てるための、畑を準備します。

苗の植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
酸性土壌を嫌うので、pH(酸度)調整をしっかりと行いましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。
肥料
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
植え付け
草丈20cmほどになれば、畑へ定植します。
根を傷めないようにスコップで苗を掘り上げます。


畑に10cmほどの深さの植え溝を掘り、株間30cmで1箇所に3〜5本ずつ置きます。

根が隠れ、株が倒れない程度に覆土します。(浅植えにする)


植え付け後2〜3週間で根が張って、シャキッと起き上がります。
土寄せ・追肥
土寄せ
苗の活着後、土寄せをして植え溝を平らな状態に戻します。



一度に深く土寄せをすると初期育成が緩慢になるため、生育に合わせて、成長点が埋まらないように2〜3回に分けて行います。
分岐しているところが、成長点です。


追肥
生育を見ながら、8月中旬と9月中旬の計2回、条間に追肥を施します。

花茎は摘む
夏になると「とう立ち」して、花茎が出てきます。

そのままにすると株が疲れてしまうため、花はつぼみのうちに摘んでしまいましょう。
1年目は収穫しない
植え付け1年目は収穫せずに株を大きく育てます。
冬になって葉が枯れてきたら、地上部の茎葉を刈り取っておきます。


2年目の春から収穫
冬を越して2年目の春から収穫が始まります。
捨て刈り
まずは春先に、葉の生育や品質を整えるため、伸びていた葉を刈り取ります。(捨て刈り)


収穫には、この後に伸びてくる若い葉を使います。
収穫
草丈が20cm〜25cmになったら、地上部2〜3cmを残して、ハサミで切って収穫します。



収穫したら条間に追肥して中耕しておきます。
そうすると、また新たに葉が出てくるので、秋までに3〜4回収穫することができます。


収穫が遅れると葉先が垂れ下がり、スジが目立ってきます。生長が非常に早いので、収穫のタイミングを逃さないようにしましょう。
冬になって葉が枯れたら地上部の茎葉を刈り取り、翌春からまた同様に収穫します。
3年ごとに株分け
ニラは年数を重ねるごとに分げつして茎数が多くなります。そのため、収穫3年目以降になると株の内部が混み合い、葉が細くなって品質が低下してしまいます。
そこで、収穫3年ごとを目安に株分けを行います。
地際から5cmくらいの高さで葉を刈り取り、根株を掘り起こします。土を落として1株ずつに分け、1年目と同じ要領で植え替えます。



やがて新葉が伸びてきたら土寄せを行い、葉が伸びてきたら同様に収穫することができます。
なお、連作障害を避けるために、植え替え先は別の場所にしましょう。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
ニラは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
ニラの根には、土壌病害を抑える効果のある拮抗菌が共生しているため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。