
家庭菜園の初心者の方向けに、アスパラガスの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
アスパラガス栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
アスパラガス栽培の特徴

アスパラガスは、毎年春〜夏にかけて出てくる若芽を食べる野菜です。
苗を植え付けてから1年目、2年目は収穫をせずに株を生長させ、3年目の春に出た芽から収穫を始めます。その後、10年ほど収穫が可能です。
種まきからでも栽培できますが、市販の苗を購入して栽培を始めるのが一般的です。苗には2〜3年目から収穫できる小苗と、その年から収穫できる大苗(すでに数年間栽培された根株)があります。
収穫まで時間が掛かるため、早く収穫を楽しみたい場合は、「大苗」を購入するのがオススメです。
アスパラガスは根に蓄えた養分をエネルギーにして、萌芽を活発化させる性質を持っています。太くて甘いアスパラガスを採るには、いかに充実した地下茎を養生するかがポイント。

- 一度植えると10年以上栽培が続くので、植え付け場所はよく考えて決める
- 本格的な収穫は植え付けてから3年目以降
- 早く収穫したいなら、大苗を植え付ける
緑・紫・白の色の違い
アスパラガスと言えば緑色が一般的ですが、最近では、紫色の紫アスパラガスや、白色のホワイトアスパラガスなどの品種も流通しています。

紫色の品種は、緑色に比べて甘みが強く、ポリフェノールの一種のアントシアニンが多く含まれています、但し、茹でると色素が抜けて緑色になるので、色を楽しみたい場合は、サラダなど生食に利用します。
ホワイトアスパラガスは、甘みと独特のほろ苦さが特徴で、緑色のアスパラガスを土や遮光フォルムなどで覆って軟白栽培したものです。
アスパラガスの栽培時期
アスパラガスの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
3月〜4月頃に種まきして苗を作り、2年目に植え付け、3年目の春から収穫開始。毎年冬には枯れた茎葉を刈り取ります。

「大苗」(すでに数年間栽培された根株)を植え付けて栽培する場合は、苗が販売される春または晩秋に植え付け、初年度から収穫することができます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
アスパラガスの栽培方法
アスパラガスの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗





プランターに腐葉土を入れ、3cm間隔で条播き。
草丈10cmほどになったら、1本ずつポットに鉢上げし、このまま1年育てます。
夏場は乾燥したら水をやり、冬に葉が枯れたら地上部を切り取ります。
もっと早く収穫を楽しみたい場合は、すぐに植え付けができる「大苗」を購入すれば、育苗の1年間を待たなくて済むのでオススメです。
土作り
2年目の春、苗の植え付け3週間前までに畑を準備します。
このまま10年ほど栽培することになるため、長期で栽培可能な畑の専有面積を考慮した上で、植え付け場所を選びましょう。
30〜40cmの深さの溝を掘り、堆肥と元肥を施して、戻した土と混ざるようにしっかりと耕します。
また、水はけが悪いと根腐れを起こしやすいので、排水性を良くするために畝を立てておきます。株間は50cmほど確保。
酸性土壌を嫌うため、酸度調整も大切です。pHは6.0〜6.5が目安です。
肥料
根を養成するアスパラガスは、肥えた土作りが欠かせません。堆肥と元肥をたっぷり入れて、深く耕すことが大切です。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
アスパラガスは連作障害が出にくいため、同じ場所での連作が可能です。
2年目の春に植え付け
2年目の春(3月中旬〜4月中旬)に、畑に定植します。
株間50cmで植え穴を掘り、苗をポットから外したら根鉢が傷まないようにそっと植え穴に入れ、土を寄せ戻して株元を軽く手で押さえます。
植え付け後にたっぷりと水やりしておきます。
市販の大苗は春・晩秋に植え付け
種まきから始める栽培法とは別に、写真のような、市販の大苗(すでに数年間栽培された根株)を購入して栽培する方法もあります。

アスパラガスの苗は、秋に葉が黄化して休眠期に入ってから掘り上げられ、店先に並ぶのは晩秋または早春。
この場合、植え付け時期は苗を入手次第(晩秋または春頃)となり、初年度から収穫することも可能。少しでも早く収穫したい人にオススメです。
根を広げて埋められる大きさ、苗の上部が5cmほど埋まる深さに穴を掘ります。株は芽を上に向けて、根を放射線状に広げて植え付けます。


また、もみ殻を敷いておくと、乾燥防止、雑草抑制になるのでオススメです。

芽が出る前の早春に追肥(1回目)
気温が下がって冬に向かうと、生育が一時的に停止して休眠に入ります。そして、春になって気温が上昇してくると休眠が解かれ、若茎が伸び始めます。
ここで、休眠後の芽出しを助ける目的で、3〜4月頃に追肥を行います。
肥料は、株元から30cmほど離れたところに施します。
2年目は収穫せずに株を充実させる


春になると萌芽しますが、2年目(植え付けた年)は収穫せずに親茎として伸ばし、光合成を活発に行わせて育てます。
この時期に、根茎を太くさせて、養分をたっぷりと蓄えさせます。
倒伏防止


茎葉が茂ってくると、1.5mほどの高さまで育ちます。
倒伏しないように、草丈60cmほどになったら、四隅に支柱を立ててヒモを張り、茎が倒れないようにします。
伸長にあわせて、ヒモを2〜3段張りにしていきます。
追肥(2回目)
親茎が盛んに伸びる5〜6月頃を目安に、2回目の追肥を行います。
敷きワラを敷く
アスパラガスは夏場の乾燥が苦手で、土が乾くと根が弱って極端に生育が悪くなります。
そこで、梅雨が明けたら畝全体にワラを敷いて、乾燥を防ぐようにします。
また、敷きワラは雑草対策にもなるので、一石二鳥の効果が期待できます。
うちでは、ワラの代わりにもみ殻を敷いています。

枯れ茎の刈り取り・追肥(3回目)
晩秋になると地上部が枯れてきます。

地上部の8割〜9割が枯れたら、枯れた茎葉を株元から刈り取ります。


その際、3回目の追肥を施し、中耕して土寄せしておきます。
以降、早春の追肥から工程繰り返し
以降、早春の追肥(1回目)から枯れ茎の刈り取り・追肥(3回目)まで、毎年この工程を繰り返します。
10年くらいで株が疲れてくるので、一度掘り起こし、植え替えると良いです。
3年目の春より収穫
3年目の春から収穫し始めます。(5月〜6月頃が収穫期)
穂先がかたく締まっているアスパラガスを根元から切り取って収穫(または、地際の近くを手で折り取って収穫)。高さ20〜25cmが収穫の目安です。

育ちすぎると穂先が開いて食味が落ちるので、採り遅れないようにしましょう。
また、株を弱らせずに上手に管理すれば、年々大株になり収穫量も増えていきます。
細い芽は残しておく
全ての芽を収穫してしまうと、株が弱って翌年以降の収穫量が減ってしまいます。
6月以降に出る芽や細い芽は収穫せずに残しておいて、株に養分を蓄えさせるようにしましょう。
発生しやすい病害虫
アスパラガスに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
茎枯病(くきがれびょう)
アスパラガスで最も被害の多い病気。
茎に褐色の斑点ができて、しだいに茎全体に広がり枯れてしまいます。
土中のカビが原因で起こる病気なので、マルチや敷きワラで泥跳ねを防ぎ、風通しよく、茎が混み合わないように管理しましょう。雨よけ屋根なども有効です。
⇛ トマトの雨よけハウス(トマトの屋根)で実割れ・疫病を防ぐ
予防としては土壌消毒を行う、また、早期発見による処分が大切です。
その他の病気 | |
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斑点病 | 茎・葉に赤褐色の病斑ができます。 |
紫紋羽病 | 葉が黄化し枯れます。地下の根や茎は腐敗し内部が空洞になります。 |
害虫
ジュウシホシクビナガハムシ
テントウムシのような色をした、赤い体に黒い水玉模様の甲虫。
収穫期に発生し、伸び始めた新芽や茎を食害します。
その他の害虫 | |
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ネギアザミウマ | 体長1〜2mmの小さな虫が葉を食害し、かすり状の白斑にします。 |
ハスモンヨトウ | 幼虫が若い茎はを食害します。 |
ヨモギエダシャク | シャクトリムシ状に動く幼虫が、新葉を食害します。 |