
ウイルスを病原菌とし、さまざまな症状を引き起こす「ウイスル・モザイク病」。
その症状と発生原因、対策・予防法をまとめています。
ウイルス・モザイク病の症状
さまざまな種類のウイルスが関与し、単独または混合感染により発生するるウイルス病。
ウイルスの種類や植物によって異なりますが、分類すると次の症状になります。
- 萎黄病・・・葉・茎が黄変する
- 萎縮病・・・葉・茎が成長せずに萎縮する
- モザイク病・・・葉に濃淡のモザイク状(まだら模様)の病斑が現れる
- 葉巻病・・・葉が巻いて委縮する
- 輪紋病・・・黄色〜黄緑色の輪紋が現れる
比較的雨の少ない年の9月から11月に発生しやすい傾向があります。
発症すると、成長が阻害され、収穫量や品質が低下します。
主な原因と伝染経路
多くのウイルスは、植物同士の接触、農作業に伴う汚染された道具(ハサミなど)や人の手、衣服の接触、吸汁性昆虫(汁を吸う害虫)の媒介で感染します。
モザイク病を引き起こす一般的な原因は、アブラムシによる伝染経路が挙げられます。アブラムシは病株の汁液を吸うことで感染し、次に健全株の汁液を吸うことでウイルスを媒介します。

他のウイルス病では、「黄化えそ病」は「アザミウマ類」が、「黄化葉巻病」は「タバココナジラミ」が、「えそ斑点病」は「菌類」によりそれぞれ媒介されます。
モザイク病被害の様子
ジャガイモに発生したモザイク病


病原ウイルスや品種により症状は異なりますが、葉にモザイク状の模様が現れる、黒褐色の斑点が現れる、葉が縮れて小さいなどの症状が見られます。
栽培したジャガイモの種芋を使う場合は、既にウイルス病に掛かっていることもあるため、無病の種芋(検定イモ)を使う方が無難です。
ニンニクに発生したモザイク病

葉脈に沿った緑色濃淡のモザイク模様が現れ、葉に萎縮・ねじれが見られます。
アブラムシが媒介する以外に、植えつけた種球がすでに感染している場合があります。
ウリ科野菜に発生したモザイク病


ウイルス・モザイク病の対策・予防法
対策
ウイルス病に感染すると治療する薬剤はありません。
他の株へ伝染するのを防ぐため、発病株は抜き取り焼却処分します。
その際、作業に使ったハサミなどはウイルスに汚染されているので、手指なども含めてしっかりと消毒しておきます。
ウイルス病の予防として手指・器具の消毒をするには「レンテミン液剤」などが効果的です。
予防法
主にアブラムシがウイルスを伝播するので、アブラムシの防除を徹底します。
防虫ネットのトンネルを掛けたり、シルバーマルチを敷いて飛来を防ぐなどが有効です。

ダイコンやハクサイなどには、抵抗性品種もあります。