タバコガ|被害の特徴・生態と防除方法

オオタバコガに食害されたトマト

タバコガ」は、植物の花や果実を食害して、作物の品質と収量を低下させる蛾の幼虫です。

本記事では、被害の特徴から生態、効果的な防除方法までを写真付きで解説します。

被害の特徴

タバコガ類(蛾の一種)の幼虫が、蕾や果実、茎などを食害し、花が咲かなかったり、果実ができないなどの被害が出ます。

幼虫が小さいうちは新芽や柔らかい葉を食べ、大きくなると茎や果実に穴をあけて入り込み内部も食害します。

トマトに穴が空いている場合、中にオオタバコガが侵入して内部を食害しています。

他のイモムシと比べ、タバコガ類の幼虫は背中に刺毛(トゲ状の毛)が出ているのが特徴。オオタバコガとタバコガの幼虫は、大きさに違いもほぼなく、見分けることは困難です。

MEMO

畑には似たイモムシが多いので、種類の特定にはこちらが参考になります。

生態

蛾の仲間で、ナス科の植物を加害する「タバコガ」と、加害植物が広く、花きや野菜など多くの植物を加害する「オオタバコガ」がいます。

土の中で蛹で越冬し、6月頃に成虫が現れて葉裏などに産卵します。孵化した幼虫はそのまま葉や蕾を食害し、大きくなった幼虫は果実内に入って内部を食害します。老齢幼虫になると果実などから出て、土に潜って蛹になります。

幼虫は、体長20〜40mm、緑色から淡いオレンジ色の体をしています。

防除方法

対処法

幼虫を見つけしだい手で捕まえて駆除します。

果実の中に侵入してしまうと、薬剤では対応できません。

被害を受けた果実は切り取り、中にいる幼虫を退治。中にいない場合は、新しい果実に入っている可能性があるので、周りの果実も注意して調べましょう。

実に侵入される前の若齢幼虫を退治するには、天然成分で有機JAS規格(オーガニック栽培)にも使える殺虫剤「STゼンターリ顆粒水和剤」などが有効です。天然微生物(B.t.菌)が作る有効成分が、チョウ目害虫に効果をあらわします。

トマトを食害するオオタバコガには、スプレータイプで手軽な「ベニカナチュラルスプレー」も。3つの天然力(B.t.菌・植物油・水あめ)で幅広い効果があり、食べる直前まで使えます。

注意

農薬は「使用できる作物」が決められており、それ以外の作物には使用できません。農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、作物にあった薬剤を選びましょう。

予防法

窒素分が豊富で肥料過多の株に産卵しやすいので、適切な施肥量で育てることが大切です。

株のまわりに支柱を立て、「防虫ネット」で全体を覆うことも有効です。これで成虫が産卵するのに飛来するのを防ぎます。

また、タバコガ類の成虫は赤い色に誘引されて、黄色を嫌います。

野菜の周りに赤い花を植えたり、赤いものを置かないようにしましょう。また、マリーゴールドなどの黄色の花を株元に植えると忌避に役立ちます。

MEMO

植物の様子がおかしいと思っても、症状から見分けるのは難しいもの。

そんな場合は、写真から自動で病害虫診断してくれるサービスもあります。

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