ハクサイ(白菜)の育て方と栽培のコツ

ハクサイ(白菜)の育て方・栽培のコツ -家庭菜園ガイド-

家庭菜園でのハクサイ(白菜)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。

気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。

基本情報

ハクサイ栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
アブラナ科、苗15〜20℃6.0〜6.5あり:2〜3年あける

鍋料理や漬け物に欠かせない秋冬野菜の代表格、ハクサイ(白菜)

冷涼な気候を好み、比較的適温の幅が狭いため、キャベツなどに比べて種まきの時期は限定されます。

結球開始時の株の大きさ(外葉の育ち具合)に比例して球の大きさが決まるため、種まきや定植、追肥のタイミングが非常に重要です。

収穫までの日数によって早生(わせ)〜中生(なかて)〜晩生(おくて)の品種があり、それぞれに適した栽培期間があります。初心者の方には、栽培期間が短く、手間が少なくてすむ早生品種がオススメです。

栽培のポイント
  • 適期の種まき時期を守る。早すぎると病害虫が発生しやすく、遅すぎると結球しない。
  • 結球開始前に適切な追肥を行う
  • 防虫ネットを活用し、早めの害虫防除を心がける

栽培カレンダー

ハクサイ(白菜)の栽培時期は次のようになります。

ハクサイ(白菜)の栽培時期・栽培カレンダー

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。

ハクサイは種まき適期が5〜7日と短く、早いと暑さに遭い、遅いと結球しません。そのため、品種に適応した地域ごとの種まき適期を守ることが大切です。

収穫までの日数によって早生(わせ)〜中生(なかて)〜晩生(おくて)の品種があります。早生品種は種まきから約60日〜70日で収穫可能です。

栽培方法

ハクサイ(白菜)の栽培は、次のような流れになります。

種まき・育苗

ポット(直径9cmの3号サイズ)に種まき用の培養土を入れ、3〜4粒ずつ種が重ならないようにまきます。

その上に軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげましょう。

発芽したら順次間引いて、本葉出始めの頃に2本立ち、本葉2〜3枚の頃に1本立ちに。最終的に本葉4〜5枚の苗に仕上げます。

MEMO

セルトレイなら128穴に1粒ずつ種をまき、本葉2〜3枚でポットに鉢上げして育苗。または、本葉3〜4枚のセル苗で定植することもできます。

育苗日数発芽適温生育適温
約35日20〜25℃15〜20℃
ハクサイの育苗管理

土作り

野菜栽培のための畑の土作り作業

苗の植え付けまでに「土作り」を済ませておきます。

作付けの2〜3週間前
石灰を入れる詳細

野菜が育ちやすい土壌酸度(pH)に調整するため、石灰を施します。

土壌が酸性だと「根こぶ病」が出やすくなるので、しっかりと調整しておきましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。

作付けの2〜3週間前
堆肥を入れる詳細

ふかふかの土を作るために、堆肥を入れて耕します。

作付けの1週間前
元肥を入れる詳細

作物の初期育成に必要な養分を補うため、肥料を施します。

大きな球を収穫するためには、初期育成を促し、外葉を大きく育てるのがポイント。しっかりと元肥を入れましょう。ハクサイの根は比較的浅く広く張るので、元肥は全面にばら撒いて土に混ぜ込んでおきます。

肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

元肥を入れた直後〜作付けの2-3日前
畝を立てる詳細

排水性・通気性を確保するため、畝を立てます。

土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

野菜を育てるための土作り 野菜を育てるための土作り

植え付け

本葉4〜5枚まで苗が育ったら、畑に植え付けましょう。

ポットから苗を優しく取り出し、品種に応じて40〜50cm間隔で植えます。

MEMO

早生種の株間は40cm、中生・晩生種は大きく育つので50cmあけます。

植えた後は、根がしっかり張るように、株のまわりにたっぷり水をあげてください。

植え付け前にポットごと水につけて吸水させておくと、根付きが良くなります。

防虫ネットを掛ける

ハクサイには「アオムシ」や「コナガ」などの害虫がつきやすいので、植え付け直後に「防虫ネット」を掛けて予防します。

白菜の若苗に防虫ネットを掛ける

また、収穫期には虫害の心配はなくなりますが、そのままトンネルを掛けておくことで霜よけにもなります。

追肥

ハクサイは外葉が大きくならないと結球しないため、成長に応じた追肥で外葉を十分に育てます。

1回目の追肥は定植から2〜3週間後。株のまわりに施し、除草を兼ねて中耕しておきます。

2回目の追肥はその2〜3週間後、葉が立ち上がり始めた頃に。この頃には畝全体が葉で覆われているため、葉を傷つけないよう注意しながら、畝の肩に施します。

結球し始める

外葉が15枚くらいになると、結球し始めます。

白菜の結球し始め

この頃から水分要求量が増えるので、雨が降らない時は水やりをしておきます。

MEMO

本葉が20枚以上に育っているのに葉が巻いていなければ、結球は諦めたほうがいいです。原因は、植え付けの遅れや、肥料不足が考えられます。結球しなくても食べられます(あまり美味しくありませんが)。

収穫

ハクサイの頭を手のひらで押さえてみて、かたく締まっていたら収穫適期です。

外葉を押し広げて結球部分を傾け、株元を包丁で切り取って収穫します。

霜や寒風にさらされると、球の頂部や外葉がカサカサになり、そこから腐ったりしてくるため、初霜が降りる前に収穫を終えるようにしましょう。

収穫期の防寒対策

12月に入り霜が降りると、寒さでハクサイが傷んでしまいます。

すぐに収穫しない場合は、結球部分を外葉で包み込むように、上部を紐で縛っておきます。

白菜の葉を縛って防寒対策

こうすると外葉が枯れるだけで中の葉は守られるので、しばらく畑に置いておくことができます。

春が近づくと、とう立ち(花茎が伸びること)してしまうため、それまでには収穫を終えるようにしましょう。

とう立ちして花が咲いた白菜
とう立ちしたハクサイ

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

ハクサイは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

ハクサイと相性のいい野菜には次のようなものがあります。

コンパニオンプランツ効果
キク科の野菜(シュンギクレタス独特の香りが、アブラナ科につく「アオムシ」「コナガ」などの害虫を防除する
エンバクエンバクの根が出す抗菌物質で、「根こぶ病」の発生を防ぐ
ハクサイと相性の良い野菜

栽培Q&A

結球しなかった白菜

葉が巻かなかったのは、定植時期が遅かったか、肥料が少なかったのが原因です。

結球には、初秋の成長期に一定の葉数が育っている必要があります。そのためには、適期の種まきと定植、元肥をしっかり与え、生長に応じて追肥することで、健全な株に育てることが大切です。

本格的な寒さがくる前に、外葉が大きく広がり、しっかり育っていれば、放っておいても巻き始めます。

生長が遅れているようであれば、ビニールトンネルを設置して保温し、生長の遅れを取り戻しましょう。

MEMO

結球しなかった葉はやや硬いものの、食べることができます。また、春先まで収穫せずにおいておき、とう立ちした菜の花を摘んで食べるのもひとつ。

虫食いで葉が穴だらけの白菜
虫食いで葉が穴だらけの白菜

ハクサイは害虫がつきやすく、特に「アオムシ」「コナガ」「ヨトウムシ」に食害されると、あっという間に葉が穴だらけのボロボロになります。

まずはこれら害虫の産卵を防ぐべく、苗を植え付けたらすぐに防虫ネットのトンネル掛けを。

虫食いの穴やふんを見つけたら、早めの対応が肝心。中心の新葉の間や葉の裏に潜んでいることが多いので、ていねいに観察して、見つけたら箸などでつまんで取り除きましょう。