水浸状の病斑ができ、やがて腐敗して灰色のカビに覆われる病気「灰色かび病」。
その症状と発生原因、対策・予防法をまとめています。
症状と被害
茎葉、蕾、花、果実など地上部のあらゆる場所に発生し、さまざまな野菜に発生します。
はじめは水がしみたような淡褐色の斑点ができ、その後急激に斑点が大きくなり腐敗します。さらに症状が進行すると、病変部が灰色のカビに覆れます。
主な原因と伝染経路
病原菌は「ボトリチス・シネリア」という糸状菌(カビ)の一種。
被害植物上で菌糸や菌核の状態で越冬し、20℃前後の雨の多い時期に胞子を発生させ、風によって飛散・伝染します。
植物の残渣などを腐敗させるカビなので、土の上に収穫残渣を置いておくと、そこで繁殖して胞子を飛ばします。
健全な植物であれば病原菌が侵入することはできませんが、傷があったり衰弱した組織には容易に侵入して発病します。特につきやすいのが、枯れた下葉や花がら。
防除方法
対処法
発病した部分は切り取って、焼却処分します。
有効な薬剤(農薬)
薬剤防除に有効な農薬には、次のようなものがあります。
「STダコニール1000」は、葉が変色するタイプの広範囲の病気に効果がある総合殺菌剤です。
「カリグリーン」は、有機JAS規格(オーガニック栽培)にも使える殺菌剤で、炭酸水素カリウムを主成分としているので、散布後、副次的にカリ肥料にもなります。
予防法
多湿環境で多発するため、密植を避け、繁茂しすぎたつるや葉は間引いて風通しの良い環境を作ります。
また、菌に侵入されないよう、枯れた下葉や花がらは取り除きます。
野菜の残渣がたくさん出たときは畝や通路に残さないようにしましょう。畑の隅に積んでおくと灰色かび病菌の数が抑えられます。
病害虫の参考リンク