
家庭菜園の初心者の方向けに、スイカの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
スイカ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、トラブルQ&Aなど。

スイカ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
スイカ | ウリ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限4〜5年 |
スイカはツルが旺盛に伸びるので、栽培するには広い面積が必要です。また、強い日光を好むので日当たりの良い場所を選びましょう。
家庭菜園で作るなら、植え付けから収穫までの期間が短く、食べ切りサイズがたくさんできる小玉スイカがオススメです。
連作すると「つる割れ病」が出やすいため輪作年限はしっかり守りましょう。連作障害対策として接木苗を使うことも有効です。
定植後は、摘芯やわき芽かきなど、一手間かけると実つきが良くなります。
- 高温と強い光を好むので、日当たりの良い場所に植え付ける
- 実つきを良くするため、摘芯と芽かきを行う
スイカの栽培時期
スイカの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
4月初旬にポットに種を蒔いて育苗し、5月中旬に畑に定植、8月頃の収穫です。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
スイカの栽培方法
スイカの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗
ポット(9〜12cmサイズ)に2粒ずつ、厚さ1cmほどの覆土をして、たっぷりと水をやります。


まだ寒い時期の育苗となるため、保温資材を使って暖かい環境で育苗します。

本葉が出たら間引いて1本立ちにし、最終的に本葉4〜5枚の苗に仕上げます。


育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
40〜45日 | 25〜30℃ | 25℃前後 |
土作り

スイカは乾燥した環境を好むため、日当たりと水はけのいい場所を選びましょう。
植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
土壌酸度(pH)の目安は6.0〜6.5です。
肥料
スイカは、生育初期に肥料が多すぎると「つるぼけ」を起こして果実が付きにくくなります。
そのため、元肥は控えめに、着果後の追肥で調整しましょう。
肥料は「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害
スイカは連作障害が出やすいため、同じ場所での栽培間隔を4〜5年あけるようにします。
心配な場合は、接木苗を利用すると安心です。
また、コンパニオンプランツとして「長ネギ」を一緒に植えると、土壌病害の発生を抑えることができます。

スイカの植え付け時、植え穴を大きめにしてネギを2本底に置き、その上にスイカを植えます。ネギの根に病原菌を防ぐ拮抗菌が繁殖してスイカの病原菌を防ぐ効果があります。
植え付け
本葉が4〜5枚出たら畑に定植します。
育つとツルが広がるので株間は100cm以上あけるようにし、定植後たっぷりと水をやります。


尚、スイカは高温を好むので、植え付けは気温が十分に高くなってから。必要であれば穴あきビニールトンネルを掛けて保温しておきましょう。

整枝・摘芯
スイカは次のようにツルを整枝し、子づるを3本仕立てにします。

- 親づるは、5〜6節目で先端を摘心
- 子づるは、勢いのよい3本を残して取り除く
- 孫づるは、全て取り除く(目標果が着果した後は放任で構わない)


ツルの整枝が遅れると、次々にツルが発生してわからなくなるので、適時行うようにしましょう。

敷きワラマルチ
葉が茂ってきたら、株元からツルが伸びる方向に敷きワラをします。

ツルがワラに巻きヒゲを絡ませて伸長するので、地表に固定されて風雨にも強くなります。
また、実がなってから収穫まで、実の下にワラや刈草などを敷いておくことで、だんご虫が皮を食害し、そこからカビが侵入するのを防ぐ効果もあります。
敷きワラの代わりとなるマルチシートも販売されており、手軽でオススメです。
人工授粉

スイカは、受粉しないと果実が肥大しません。
ハチやアブなどの昆虫によって放っておいても自然に受粉しますが、虫の飛来が少ない家庭菜園などでは、確実に着果させるために人工授粉しておきます。
晴天の早朝、雄花をとり、雌花に雄しべをこすりつけて受粉させます。(花のガクの下に膨らみがあるのが雌花、ないのが雄花です。)


尚、早い時期に子づるの低節につく雌花はいい果実にならないので早めに摘花しておき、摘花した節から5〜10節目についた雌花に人工授粉させます。
追肥

スイカの追肥は1回だけ。
果実が鶏卵大になった頃、株元の周りに追肥を施します。
摘果

実がついてきたら、1本のツルに2個の実を残して摘果します。
さらに、実がソフトボール程度に肥大した頃、形の良い方を1個残して摘果します。(小玉スイカの場合は2個とも残します。)
着果以降に咲いた雌花は、受粉しないように摘み取っておきましょう。
玉直し
玉直しは、実の色むらを防ぎ、実の形をよくするための作業です。
スイカは地面に這って成長するため、実が地面に接している部分には日が当たらず、色がまだらになってしまうことがあります。

実がソフトボール大くらいになったら、実の位置を変える「玉直し」を行いましょう。
また、実が土に触れていると病気や害虫発生の一因になるため、土に触れていたら実の下にワラを敷き直しておきましょう。
尚、勢いよく動かすとヘタが取れてしまうので慎重に行いましょう。
地這栽培果実用の台座/マットを使うと、色むら防止・土との接地面腐敗防止にもなり便利です。
収穫

品種にもよりますが、大玉は開花から40〜45日、小玉は30〜35日が収穫の目安。(写真は小玉スイカ)
スイカの実が十分な大きさになったら、次のように収穫タイミングを判断します。
- 実の肩(ツルに近い上の方)を叩いて低い音がする(コンコンと高い音だとまだ早く、ベンベンと低くて鈍い音がします)
- 実がなっている節から出た巻きひげが根元まですっかり枯れている


収穫時期になれば、ツルをハサミで切って収穫します。
トラブルQ&A
スイカ栽培でよくあるトラブル・質問などをまとめています。
実の形がいびつ
受粉が不完全なことが原因です。人工授粉することで確実に受粉させましょう。
また、実が大きくなってきたら、2週間に1回ほど位置を変えてまんべんなく日を当てる(玉直し)と、全体が緑色に色づいた。形の良いスイカになります。
果肉が崩れ、粉っぽい
収穫が遅すぎたことが原因です。
スイカは収穫時期を見極めることが難しいため、人工授粉した日をラベルに書く、叩いて音を聞く、巻きひげの枯れ具合を見るなどして、採り遅れのないようにしましょう。
割果・裂果(スイカが割れている)

スイカの実に亀裂が入る「割果・裂果」。
主な原因は、土壌水分の急激な変化にあります。
乾燥が続いたあとに急な降雨があると、実が内側から一気に肥大するのに、果皮の成長がついていけず、亀裂が入ります。
また、肥料が急に効き始めた、日中温度の上昇などでも同様に、果実が急生長することで裂果してしまうことがあります。