
家庭菜園の初心者の方向けに、マクワウリの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
マクワウリ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
マクワウリ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
マクワウリ | ウリ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限2〜3年 |
マクワウリは、メロンの仲間で、プリンスメロンの交配の元になっているウリ。
熟したものを冷やしてそのまま食べるのですが、さわやかな甘味で美味しいので、うちでは夏の果物の定番になっています。

マクワウリにはさまざまな品種があり、メロンのような甘みがある「駒マクワウリ」(写真の緑色)、さっぱり甘くてシャキシャキ食感の「黄金マクワウリ」(写真の黄色)、他にも未熟果を漬物にするものなどがあります。
ネットメロンなどに比べて栽培が簡単で育てやすく、家庭菜園にもオススメです。
- 高温生なので早まきは避け、温度管理をして苗づくりをする
- 孫づるに実がつくので、タイミングよく、親づる・子づるの摘心をして実つきを良くする
マクワウリの栽培時期
マクワウリの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
4月中下旬にポットに種を蒔いて育苗し、6月上旬に定植、8月頃の収穫です。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
マクワウリの栽培方法
マクワウリの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




9cmポットに3粒ずつ種をまき、厚さ1cmほどの覆土をして、たっぷりと水をやります。
本葉1〜2枚で2本に間引き、本葉2〜3枚で1本立ちにします。
ポット苗は、ビニール温室などの暖かい環境で育苗します。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
土作り
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
マクワウリは酸性に弱いので、土壌酸性度(pH)を適正に調整しておきましょう。
pHは6.0〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、株間75cm以上を確保して畝を立てます。
肥料
肥料は「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害
マクワウリは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
植え付け


本葉が4〜5枚出たら畑に定植します。
育つとツルが広がるので株間は75cm以上あけるようにし、定植後たっぷりと水をやります。
敷きワラマルチ

葉が茂ってきたら、株元からツルが伸びる方向に敷きワラをします。
ツルがワラに巻きヒゲを絡ませて伸長するので、地表に固定されて風雨にも強くなります。
また、実がなってから熟すまで、実の下にワラや刈草などを敷いておくことで、だんご虫が皮を食害し、そこからカビが侵入するのを防ぐ効果もあります。
敷きワラの代わりとなるマルチシートも販売されており、手軽でオススメです。
整枝・摘芯


マクワウリは孫づるに雌花をつける性質があります。そのため、果実をたくさん収穫するには、つるを整枝して孫づるを発生させるのがポイントです。
- 親づるは、本葉5〜6枚で先端を摘心
- 子づるは、勢いのよい3〜4本を残してかく(摘み取る)
- 子づるは、本葉12枚で先端を摘心し、孫づるを発生させる
- 孫づるは、着果したらその先の葉を2枚残して摘心

つるの整枝が遅れると、次々につるが発生してわからなくなるので、適時行うようにしましょう。

追肥
花が咲いたら1回目の追肥、孫づるに実が付いたら2回目の追肥を行います。
それぞれ、株元の周りにパラパラと肥料を施します。
人工授粉

マクワウリは、受粉しないと果実が肥大しません。
ハチやアブなどの昆虫によって放っておいても自然に受粉しますが、虫の飛来が少ない家庭菜園などでは、確実に着果させるために人工授粉しておきます。
晴天の早朝、雄花をとり、雌花に雄しべをこすりつけて受粉させます。(花のガクの下に膨らみがあるのが雌花、ないのが雄花です。)


尚、受粉しないと実が大きくならず、やがて自然落果します。
玉直し
マクワウリは地面に這って成長するため、実が地面に接している部分には日が当たらず、色がまだらになってしまうことがあります。
見た目だけで食味に変わりはありませんが、色・形を整えるため、果皮の色がある程度濃くなってきたら、実の位置を変える「玉直し」で裏面にも日を当て、色をしっかりのせるようにします。
尚、勢いよく動かすとヘタが取れてしまうので慎重に行いましょう。
収穫


開花から40〜45日、実の長さ15cmくらいになったら収穫します。
黄色の黄金マクワウリなら実が黄色く、ほのかに甘い匂いがしてきた頃。緑色の駒マクワウリなら、縦に筋模様が入ってきた頃が、収穫適期です。
つるをハサミで切って収穫します。
完熟マクワウリ

スーパーで見かけるものは熟す前のマクワウリですが、本当に甘くて美味しいのは完熟したマクワウリ。
マクワウリは完熟になると、写真のように、つると繋がっている先端に輪状のひび割れができます。
このタイミングで収穫したマクワウリは、最高に甘みがのっているので、是非お試しあれ。
発生しやすい病害虫
マクワウリに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
うどんこ病
葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。
つる割病
下葉がしおれ黄化します。症状が進行すると株元の茎が縦に割れ、カビが発生します。
べと病
葉に黄色の小さい病斑ができ、裏面にすす状のカビが発生します。
モザイク病
葉に黄色斑点ができ、やがてモザイク模様となります。葉や果実の奇形といった症状も。
原因ウイルスをアブラムシが媒介します。
害虫
アブラムシ
体長1〜4mmの小さな虫が集団で棲みつき、吸汁加害します。
モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要。
ハダニ
肉眼で見えないほど小さい虫が葉裏に寄生して吸汁加害し、葉に白い斑点ができます。