
家庭菜園の初心者の方向けに、オクラの栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
オクラ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
オクラ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
オクラ | アオイ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限2〜3年 |
アフリカ原産のオクラは高温を好むため、植え付けや種まきは気温が十分に上がってから行います。
初期の生長はゆっくりですが、ひとたび開花し着果し始めると、毎日実が大きくなり、どんどん採れるようになります。
場所を取らず長く収穫できるので、家庭菜園にもオススメの野菜です。
尚、オクラには、実の断面が五角形や六角形などの品種と、角がない丸さやの品種があります。丸オクラは実が大きくなっても固くなりにくく、おいしく食べられます。
- 寒さに弱く10度以下で畑に植えると低温障害を起こすため、早まきは避ける
- 草丈が高くなるので、株間と畝間は十分にとる
- 採り頃がとても短く、遅れるとすぐに固くなるので、こまめに収穫する
オクラの栽培時期
オクラの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
育苗する場合は4月中旬頃、直播きする場合は5月中旬〜6月中旬頃が種まき時期です。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
オクラの栽培方法
オクラの栽培方法は、次のような流れになります。
種まき・育苗




9cmポットに3粒ずつ、指で1cmの深さに押し込んで種をまき、たっぷりと水をやります。
発芽してから成長の良い苗を選んで、1本に間引きします。
ポット苗は、ビニール温室などの暖かい環境で育苗します。
- 日光には充分当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意
- 夜に水分が多いと徒長の原因になるため、水やりは朝に行う
また、畑に直播きするのであれば、苗を定植するのと同じ5月中旬から6月中旬までに種まきをします。早すぎると温度が低く、遅すぎると真夏までに成長が間に合わずに収量が減ってしまいます。
土作り
植え付け3週間前に堆肥を、2週間前に石灰を入れて耕しておきます。
pHは6.0〜6.5が目安です。
その後、植え付け1週間前に元肥を入れ、畝を立てます。
草丈が高くなるので、株間は十分にとります。株間40〜50cm、畝幅90cmが目安です。
また、オクラは高温を好むので、畝を立てた後に透明マルチを張っておいて、地温を上げておくと良いです。
肥料
オクラは吸肥力が強いので、元肥を施しすぎると茎葉ばかり育って実つきが悪くなります。そのため、堆肥と元肥は適度に施し、後はコンスタントに追肥で調整します。
茎葉を伸ばしながら実をつけるので、栽培期間を通して、窒素・リン酸・カリをバランスよく施します。「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害
オクラは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
植え付け


本葉が2〜3枚くらいの若い苗のうちに定植します。
草丈が高くなるので、株間40〜50cmほどあけます。
定植の前にポットごと水を吸わせておくか、定植後たっぷりと水をやります。
尚、初期育成ではとくに低温を嫌うので、気温が十分高くなってから植え付けるか、トンネルで保温しておいた方が良いです。
また、若葉の頃はアブラムシが付きやすいので、寒冷紗や不織布を掛けておくのも有効です。防寒対策にもなります。
畑に直播きする場合
直接、畑に種をまく場合も、苗の植え付けと同じタイミングで、気温が暖かくなってから行います。
株間40〜50cmほどで1箇所3粒に点蒔きし、本葉2〜3枚の頃に間引いて1本立ちにします。
追肥・土寄せ


植え付け後から2週間に1回のペースで追肥します。畝の肩か株間にまいていきます。
また、オクラは草丈が大きくなるので、株が倒れないように追肥と同時に土寄せをしておきます。
肥料切れをおこすと写真のように葉が細るので、追肥の目安に。


開花

初夏にはオクラの花が咲き始めます。
花がしぼんだ後から、実が成長していきます。
オクラは節ごとに花を咲かせるので、節間の数が収穫量を決定します。
収穫


開花から4〜5日ほど、長さ6〜7cmの頃が収穫適期です。
収穫タイミングは品種にもよるので、手で触ってみて柔らかい内にどんどん収穫していきましょう。
花梗をハサミで切り取って収穫します。
収穫が早過ぎると種が入らず、ネバネバがありません。また、収穫が遅れると、皮が固くなって食用に向きません。
収穫と同時に下葉取り

また、1本収穫するごとに、2段下の葉を切り取ります。
摘葉することで、養水分を上の若い葉の方に回すことができ、次々と実をつけて収穫が長く続きます。
また、風通しもよくなって病害虫の予防にもつながります。
適期に収穫しきれない場合
オクラの成長は早いので、毎日畑に通えないような場合は、収穫が遅れてさやが固くなってしまいます。
そんな場合は、種まきを1箇所に4粒以上にし、そのまま間引かず育てます。(1ヶ所に4株ほどが目安)
そうすることで樹勢が弱まって生育が遅くなり、草丈も小ぶり、さやの成長もゆっくりになるため、やわらかいまま収穫できる期間が長くなります。
尚、樹勢が弱くなるため、1株当たりの収穫量は減りますが、本数が多いので、トータルでの収量は上がります。
トラブル・生育不良
オクラ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。
曲がり果・いぼ果
果実が曲がるものを「曲がり果」、果実の表面に小突起が見られるものを「いぼ果」といいます。
養水分の不足が主な原因ですが、逆に肥料や水の過剰によっても発生します。
特に収穫中盤以降になると発生しやすくなります。
食べる際にネバネバがない
収穫タイミングが適切でないことが考えられます。
品種などにもよりますが、開花から1週間程度が収穫期。早すぎると種が入らずネバネバがない、遅すぎると固くなります。
発生しやすい病害虫
オクラに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
苗立枯病(なえたちがれびょう)
地ぎわ付近の茎や根が腐敗し、やがて株全体が枯れます。
モザイク病
葉に濃淡のモザイク模様が現れ、ひどくなると葉は縮れて奇形化します。
原因ウイルスをアブラムシが媒介します。
その他の病気 | |
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うどんこ病 | 葉の表面に、薄く白い粉状のカビが発生します。 |
半身萎凋病 | 株の片側の葉が下から黄化してしおれます。 |
輪紋病 | 葉に暗褐色の病斑、果実に暗緑色の斑点ができます。 |
害虫
ワタアブラムシ
体長1〜2mmの小さな虫が葉裏や茎、果実に群棲し、吸汁加害します。
モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要。
マメハモグリバエ
乳白色の幼虫が葉肉の中から葉を食害し、葉の表面に絵を描いたような白い筋状の食痕を残します。
ワタノメイガ


体長20mmほど、緑色をしたイモムシ状の幼虫が葉を巻いて、中に潜んで葉を食害します。
フタトガリコヤガ
体長35〜40mm、緑の体色に黄色の縦線、黒斑点が特徴の毛虫状の幼虫が、葉を食害します。
その他の害虫 | |
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カメムシ | 亀のような形をした昆虫が、つぼみや果実を吸汁加害します。 |
オオタバコガ | イモムシ状の幼虫が、茎や果実に潜り込んで食害します。 |
ハスモンヨトウ | 夜間にイモムシ状の幼虫が葉を食害します。 |