家庭菜園の初心者の方向けに、シュンギク(春菊)の栽培方法を紹介します。
基本情報
独特の香りが人気の葉物野菜で、摘み取り収穫で長期間収穫できるので家庭菜園にもオススメ。
関東以北では「春菊(シュンギク)」、関西では「菊菜(キクナ)」と呼ばれています。
品種により葉の形や茎の太さに違いがあり、葉の大きさによって大葉種・中葉種・小葉種に大別されます。国内でよく栽培されているのは中葉種で、大きく分けて二つのタイプがあります。
- 茎が伸びやすく摘み取り収穫に向く「株立ち型」
- 株元から側枝がたくさん出る「株張り型」(抜き取り収穫向き)
株張り型は関西で多く栽培されており、葉柄がやわらかく、葉が厚めで日持ちがよいのが特徴。先端を摘み取ってもわき芽が出にくいので、ある程度の大きさに育ったら株元から抜き取って収穫します。
また、シュンギクは病害虫が少なく作りやすいキク科の野菜。アブラナ科の野菜に発生する害虫を防ぐ効果もあるため、コンパニオンプランツとしてもオススメです。
- 株立ち型と株張り型で収穫方法が異なる
- 春の遅まきは日照の長さと高温でとう立ちする場合があるので注意
- 肥料が好きなので、元肥となる堆肥は多めに鋤き込んでおく
栽培時期
シュンギク(春菊)の栽培カレンダーです。
中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
春まきと秋まきができますが、冷涼な気候を好むので、育てやすいのは秋まきです。
高温、長日条件でとう立ちするので、春まきは遅くならないように注意。
栽培方法
シュンギク(春菊)の栽培は、次のような流れになります。
土作り
種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
シュンギクは酸性土壌を嫌うので、土壌酸性度(pH)を適正に調整しておきましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。
肥料
シュンギクは、多めの肥料を好むので、元肥を多めに入れます。
「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
種まき
条間20〜30cmでまき溝を切り、種が均等になるように条播き。発芽率が悪いので多めに撒きます。
シュンギクの種は発芽の時に光が必要な「好光性種子」なので、覆土はできるだけ薄くし、しっかりと鎮圧しておきます。
また、覆土が薄いと乾燥しやすいため、種蒔き前に水やりして土を十分に湿らせておきましょう。
春まきは育苗して植え付けも可能
シュンギクは、育苗してから畑への植え付けも可能です。
種をポットにばら撒きして、本葉が出たら1、2本に間引き。(または、育苗箱に条まきして2〜3cm間隔に間引き。)
本葉4〜5枚の頃に、苗を1本ずつ畑に定植します。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
25日前後 | 15〜20℃ | 15〜20℃ |
間引き
発芽したら生育に応じて順次間引きし、最終的に株間15cmにします。
- 1回目:本葉1〜2枚のとき、株間3cmに間引き
- 2回目:本葉3〜4枚のとき、株間6cmに間引き(抜き取り収穫する場合はここまで)
- 3回目:本葉7〜8枚のとき、株間15cmに間引き(摘み取り収穫する場合)
追肥・土寄せ
2回目、3回目の間引きのとき、中耕しながら溝を掘って追肥し、株元に土寄せをします。
摘み取り収穫の場合は、収穫中も2週間に1度のペースで追肥を続けます。
防寒
シュンギクは5℃以下になると生育が衰え、葉が傷みやすくなります。
冬季の間は、不織布のベタ掛けやトンネル栽培で防寒しておきましょう。
収穫
摘み取り収穫
摘み取り収穫する場合、草丈20cmほどになったら、下の葉4〜5枚を残して主枝の先端を摘心します。(これが最初の収穫になります。)
こうすることで主枝の生長が止まり、次々と「わき芽」が出てくるようになるので、その「わき芽」を摘み取って収穫します。
わき芽が伸びてきたら、葉を1〜2枚ほど残して摘み取って収穫します。この方法で収穫を繰り返します。
抜き取り収穫
抜き取り収穫の場合は、地際から側枝が次々と伸びだすので、草丈20cmほどになったら、根から株ごと抜き取って収穫します。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
シュンギクは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
シュンギクは、キク科特有の香りがアブラナ科につく害虫を防ぐ効果があるため、アブラナ科野菜へのコンパニオンプランツにもオススメです。