パクチー(コリアンダー)の育て方と栽培のコツ

パクチー(コリアンダー)の育て方・栽培のコツ -家庭菜園ガイド-

家庭菜園でのパクチー(コリアンダー)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。

気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。

基本情報

パクチー(コリアンダー)栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
セリ科、苗18〜25℃6.0〜6.5あり:1〜2年あける

タイではパクチー、中国ではシャンツァイ(香菜)、英語ではコリアンダーと呼ばれ、独特の強い香りでエスニック料理には欠かせないハーブ。

大きく育った葉を必要な分だけ摘み取って収穫します。

葉だけでなく、開花後に結実した種子はスパイス・香辛料としても利用できます。

丈夫で育てやすいので、家庭菜園にもオススメです。

栽培のポイント
  • 乾燥に弱いので、土が乾きすぎないようにする
  • 暑さと寒さにさほど強くないので、盛夏や冬には被覆資材で保護する

栽培カレンダー

パクチーの栽培時期は次のようになります。

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。

近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。

春まきと秋まきができます。暑さに弱いので真夏は被覆資材で防暑を、冬はトンネル栽培で防寒して育てます。

暖かくなると花が咲いて枯れてしまうので、種まき時期を何回かに分けて撒くと長く収穫することができます。

栽培方法

パクチーの栽培は、次のような流れになります。

土作り

野菜栽培のための畑の土作り作業

種まきまでに「土作り」を済ませておきます。

作付けの2〜3週間前
石灰を入れる詳細

野菜が育ちやすい土壌酸度(pH)に調整するため、石灰を施します。

パクチーは酸性土壌を嫌うため、しっかりと調整しておきましょう。pHの目安は6.0〜6.5です。

作付けの2〜3週間前
堆肥を入れる詳細

ふかふかの土を作るために、堆肥を入れて耕します。

作付けの1週間前
元肥を入れる詳細

作物の初期育成に必要な養分を補うため、肥料を施します。

葉を収穫する野菜なので、生育初期から窒素を切らさないようにします。

肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

元肥を入れた直後〜作付けの2-3日前
畝を立てる詳細

排水性・通気性を確保するため、畝を立てます。

土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

野菜を育てるための土作り 野菜を育てるための土作り

種まき

種は畑に直接まきます。

20cm間隔でまき溝を作り、その溝に均等になるように種をまきます。(すじまき

パクチーの種は発芽の時に光が必要な好光性種子です。そのため、土はできるだけ薄くかぶせ、手で優しく押さえたら、たっぷり水をあげましょう。

発芽しやすくするために

パクチーの種は硬い殻に覆われているため、なかなか芽が出ません。

そこで、種を擦り合わせて殻を割り、一晩水に浸けてからまくと発芽しやすくなります。(コップなど固いものを殻に当てて転がすと割りやすいです。)

MEMO

1つの殻の中に2粒の種が入っています。擦り合わせると殻が2つにパカっと割れます。

殻を割る際に、中に入っている種を傷つけないよう注意しましょう。

育苗して植え付けも可能

パクチーは直根性で直播きに向きますが、ポットで育苗してから畑への植え付けも可能です。(移植栽培

ポット(直径9cmの3号サイズ)に種まき用の培養土を入れ、2〜3粒ずつ種をまきます。その上に軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげましょう。

本葉が出たら適宜間引いて最終的に1本立ちにし、本葉4〜5枚の苗に育ったら畑に植え付けます。

根が傷つくと生育が悪くなるので、植え付けの際に根をあまり触らないように気をつけましょう。

育苗日数発芽適温生育適温
25日前後20〜25℃18〜25℃
パクチーの育苗管理

間引き

発芽したら生育に応じて順次間引きをし、適切な株間に広げます。

本葉2〜3枚で株間5cm、本葉4〜5枚で株間10cm、本葉7〜8枚で最終株間15cmにします。

追肥

本葉5〜6枚の頃、株元に追肥を施します。

パクチー(コリアンダー)に追肥

その後は様子を見ながら、葉の色が薄かったり黄色っぽくなっていたら、適宜追肥していきます。

敷きワラマルチ

パクチーは乾燥を嫌うので、株元に敷きワラや刈草などを敷いて湿度を保つようにします。

パクチー(コリアンダー)に敷き藁マルチ

土が乾いていたら、水やりをしておきましょう。

敷きワラマルチ」は冬場の保温、泥跳ねによる病気も防ぐので、敷いておくと安心です。

暑さ・寒さ対策

パクチーは意外と暑さに弱く、また真夏の直射日光にさらされ続けると葉が固くなるため、盛夏には「遮光ネット」を掛けて防暑します。(裾はあけておきます。)

真夏はパクチーを遮光ネットで覆う

また、寒さに強いパクチーは秋まき冬採り栽培も可能です。冬に入ったら防寒のためビニールで覆ってトンネル栽培にします。

収穫

草丈が20cm以上になったら、葉をハサミや手で摘み取って収穫します。

収穫後に追肥しておくと生育が衰えずに長く収穫できます。

MEMO

株元から根ごと抜き取って収穫することもできます。根の部分は香りが強く、パクチー好きな人には根付きパクチーが喜ばれます。

パクチーは暖かくなってくると花を咲かせます。花が咲いて実がなると、枯れて収穫できなくなります。

パクチー(コリアンダー)の花

長い期間、葉を収穫したい場合は、花芽を見つけたらこまめに切り取っておきましょう。

種の収穫

種を収穫する場合は、花を摘まずにそのまま咲かせて結実させます。

パクチーの種が茶色くなったら種採り

全体的に枯れて種も茶色く乾燥したら、手で扱きとって収穫します。

収穫した種は、翌年の播種に。また料理の香辛料として使うことができます。

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

パクチーは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。