
家庭菜園でのパクチー(コリアンダー)の育て方や栽培のコツを農家が分かりやすく解説します。
気になる項目があれば、目次をクリックしてすぐに確認できます。
基本情報

タイではパクチー、中国ではシャンツァイ(香菜)、英語ではコリアンダーと呼ばれ、独特の強い香りでエスニック料理には欠かせないハーブ。
大きく育った葉を必要な分だけ摘み取って収穫します。
葉だけでなく、開花後に結実した種子はスパイス・香辛料としても利用できます。
丈夫で育てやすいので、家庭菜園にもオススメです。
- 乾燥に弱いので、土が乾きすぎないようにする
- 暑さと寒さにさほど強くないので、盛夏や冬には被覆資材で保護する
栽培カレンダー
パクチーの栽培時期は次のようになります。

中間地を基準とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
近年の気候変動による高温や大雨などで、従来の栽培時期が合わないことがあります。状況に応じて、時期をずらす、品種を変えるなどの対応も必要。
春まきと秋まきができます。暑さに弱いので真夏は被覆資材で防暑を、冬はトンネル栽培で防寒して育てます。
暖かくなると花が咲いて枯れてしまうので、種まき時期を何回かに分けて撒くと長く収穫することができます。
栽培方法
パクチーの栽培は、次のような流れになります。
土作り

種まきまでに「土作り」を済ませておきます。
土作りのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

種まき
種は畑に直接まきます。
20cm間隔でまき溝を作り、その溝に均等になるように種をまきます。(すじまき)


パクチーの種は発芽の時に光が必要な好光性種子です。そのため、土はできるだけ薄くかぶせ、手で優しく押さえたら、たっぷり水をあげましょう。
発芽しやすくするために
パクチーの種は硬い殻に覆われているため、なかなか芽が出ません。
そこで、種を擦り合わせて殻を割り、一晩水に浸けてからまくと発芽しやすくなります。(コップなど固いものを殻に当てて転がすと割りやすいです。)


殻を割る際に、中に入っている種を傷つけないよう注意しましょう。
育苗して植え付けも可能
パクチーは直根性で直播きに向きますが、ポットで育苗してから畑への植え付けも可能です。(移植栽培)
ポット(直径9cmの3号サイズ)に種まき用の培養土を入れ、2〜3粒ずつ種をまきます。その上に軽く土をかぶせ、たっぷり水をあげましょう。


本葉が出たら適宜間引いて最終的に1本立ちにし、本葉4〜5枚の苗に育ったら畑に植え付けます。
根が傷つくと生育が悪くなるので、植え付けの際に根をあまり触らないように気をつけましょう。
育苗日数 | 発芽適温 | 生育適温 |
---|---|---|
25日前後 | 20〜25℃ | 18〜25℃ |
間引き
発芽したら生育に応じて順次間引きをし、適切な株間に広げます。


本葉2〜3枚で株間5cm、本葉4〜5枚で株間10cm、本葉7〜8枚で最終株間15cmにします。
追肥
本葉5〜6枚の頃、株元に追肥を施します。

その後は様子を見ながら、葉の色が薄かったり黄色っぽくなっていたら、適宜追肥していきます。
敷きワラマルチ
パクチーは乾燥を嫌うので、株元に敷きワラや刈草などを敷いて湿度を保つようにします。

土が乾いていたら、水やりをしておきましょう。
「敷きワラマルチ」は冬場の保温、泥跳ねによる病気も防ぐので、敷いておくと安心です。
暑さ・寒さ対策
パクチーは意外と暑さに弱く、また真夏の直射日光にさらされ続けると葉が固くなるため、盛夏には「遮光ネット」を掛けて防暑します。(裾はあけておきます。)

また、寒さに強いパクチーは秋まき冬採り栽培も可能です。冬に入ったら防寒のためビニールで覆ってトンネル栽培にします。
収穫
草丈が20cm以上になったら、葉をハサミや手で摘み取って収穫します。


収穫後に追肥しておくと生育が衰えずに長く収穫できます。
パクチーは暖かくなってくると花を咲かせます。花が咲いて実がなると、枯れて収穫できなくなります。

長い期間、葉を収穫したい場合は、花芽を見つけたらこまめに切り取っておきましょう。
種の収穫
種を収穫する場合は、花を摘まずにそのまま咲かせて結実させます。

全体的に枯れて種も茶色く乾燥したら、手で扱きとって収穫します。
収穫した種は、翌年の播種に。また料理の香辛料として使うことができます。
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
パクチーは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。