葉や花に寄生して吸汁加害し、ウイルス病を媒介するものもいる害虫「アザミウマ」。
その被害症状と生態、対策・予防法をまとめています。
症状と被害
花の害虫といわれるように花の被害が目立ちますが、葉や果実も被害を受けます。
成虫も幼虫も野菜のいたるところを吸汁加害し、被害にあった箇所は、傷がついてカスリ状に色が抜けます。
ひどいと株全体に蔓延して枯れてしまうほどの被害になります。
また、種類によっては「黄化えそ病」のウイルスを媒介するため、注意が必要です。
生態
「スリップス」(ギリシャ語の”木の虫”)とも呼ばれます。
アザミウマの種類は多く、確認されているだけでも200種類以上もいます。
成虫は体長1〜2mmの細長い虫で、4枚の翅をもち自由に飛び回ります。花の中や葉の付け根など見つけにくい場所にいます。
葉の内部に卵を産み、孵化した幼虫は葉の表面を吸汁加害します。孵化して1週間ほどで地上へ落下して地中浅くで蛹になります。
多くは気温が高く雨の少ない夏の時期を好み、7月〜9月の高温乾燥期に多発します。
防除方法
対処法
花などに入り込む性質上、駆除するのは難しいです。葉や新芽に症状が現れたら、こまめに摘み取っていくのが上策。
有効な薬剤(農薬)
薬剤防除に有効な農薬には、次のようなものがあります。
「ベニカ水溶剤」は、有効成分が植物体内に吸収され効果が持続する浸透移行性の殺虫剤です。植物の汁を吸う害虫はもとより、葉を食害する害虫や甲虫類にも優れた防除効果を発揮します。
予防法
発生源となる雑草の除草を徹底します。
成虫は反射光を嫌うので、シルバーマルチを敷いたり、銀色の光反射テープを周囲に張ったりするのも効果的です。
小さい虫なので、防虫ネットを使う場合は網目が0.5mm以下の細かい目合いの防虫ネットでないと防除できません。
また、アザミウマは青色に誘引される性質を利用して、青色の粘着板や粘着テープを株の周囲に設置すると効果的です。
アザミウマは花を好むので、周囲に花を植えつけるのも一つです。青色に誘引されるので、青い花を植えるとより効果が高まります。
他に、コンパニオンプランツとしてマメ科の緑肥作物「クリムソンクローバー」を一緒に植えることで、アザミウマをクリムソンクローバーが引き受けてくれ、天敵も呼び寄せてくれます。
コンパニオンプランツの組み合わせと効果