トマトの基礎知識、美味しく食べるコツを紹介します。
トマトの産地や旬、良品の選び方、主な品種、保存方法、調理の豆知識など。
トマトの基本情報
科目 | 原産地 | 英名 | 漢字表記 |
---|---|---|---|
ナス科 | 中央・南アメリカ | tomato | 小金瓜、蕃茄、赤茄子、六月柿 |
特徴
トマトは鮮やかな色で料理を引き立てるナス科の西洋野菜で、中南米のアンデス高地が原産。
日本では生で食べることが多く、特に糖度が高くコクのある中玉タイプがフルーツ感覚で人気。他にもカットの手間がないミニトマトや、イタリア料理に使う加熱調理用の品種なども。
ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養豊富で、赤い色素成分であるリコピンには抗酸化作用があります。
トマト・ミニトマトの栽培方法・育て方のコツ分類
トマトは様々な品種がありますが、大きくは次のように分類されます。
大きさ
- 大玉トマト・・・重さ100g以上のトマト
- 中玉トマト・・・重さ50g前後、食べきりサイズのトマト
- ミニトマト・・・重さ10g〜30g、一口サイズのトマト
他に、直径5〜10mmと極小サイズのマイクロミニトマトもあります。
色
トマトをサラダ用野菜とする日本では、桃太郎を代表とするピンク系トマトを好んで食しています。
ピンク系は皮が薄くて果肉が柔らかいので生食には向いていますが、味はどちらかというと薄味。
一方、海外品種に多いのは赤系トマト。
赤系は味が濃厚で加熱調理に向いており、果肉が厚くゼリー部が少ないものが多く、加熱すると旨味成分が増すのが特徴です。
他に、黄色やオレンジ、緑、紫など変わった色のトマトもあります。
その他
大きさや色以外に、用途や栽培法による分類。
加工用トマト
主にトマトソースなどの加熱調理に使われる赤系トマト。
果皮が固く、果肉が厚めで水分が少ないため貯蔵性にも優れています。
フルーツトマト
フルーツトマトは特定の品種ではなく、特別な栽培方法(水や肥料を制限するなど)によって作られた高糖度トマトのことを指します。
従来のものよりサイズは小さいですが、1.2〜1.5倍の糖度があり、果物のように甘いのが特徴です。
フルーツトマトの元祖は、熊本県八代地域などの土壌塩分濃度が高い干拓地で栽培されている「塩トマト」。糖度が高く、しっかりとした歯応えが特徴。
他に、高知県徳谷地区で栽培されている「徳谷トマト」は、最高級のフルーツトマトとして有名です。
産地
熊本 | 19.16% |
北海道 | 9.38% |
愛知 | 6.13% |
茨城 | 5.91% |
栃木 | 4.46% |
その他 | 54.96% |
トマトの生産量が一番多いのは熊本県、次いで北海道となっています。
一般的には夏野菜として夏に栽培されるトマトですが、冬は暖地、夏は高冷地と産地リレーにより周年供給されています。
旬
露地栽培のものでは7〜8月がトマトの旬。量が多く出回るので、安い価格で手に入ります。
周年出荷されているトマトですが、トマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきます。そのため、時期に応じてその時、旬の産地のものを選ぶと、美味しいトマトを食べることができます。
栄養素
ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養価の高い野菜として有名なトマト。
中でも、赤い色素成分であるリコピンは、ポリフェノールの一種でトマト特有のもの。完熟するにつれ含有量が増加します。
リコピンには抗酸化作用があり、脂溶性のビタミンEとともに摂取すると吸収が高まるため、オリーブオイルとの相性がいい。
他に、体内でビタミンAに変換されるβカロテン、ビタミンC、カリウムも比較的多く含まれます。
エネルギー(kcal) | 20 |
水分(g) | 94.0 |
たんぱく質(g) | 0.7 |
脂質(g) | 0.1 |
炭水化物(g) | 4.7 |
カリウム(mg) | 210 |
カルシウム(mg) | 7 |
鉄(mg) | 0.2 |
亜鉛(mg) | 0.1 |
βカロテン当量(μg) | 540 |
ビタミンK(μg) | 4 |
ビタミンB1(mg) | 0.05 |
ビタミンB2(mg) | 0.02 |
ビタミンB6(mg) | 0.08 |
ビタミンC(mg) | 15 |
食物繊維総量(g) | 1.0 |
参考:文部科学省 食品成分データベース
良品の選び方
- 色ムラがなく、皮にツヤとハリがあるもの
- 持った時にずっしりと重いもの
- 全体に硬くしまり、丸みがあるもの。(角張っているものは空洞果のものが多い)
- ヘタが緑色でピンとした、しおれていないもの
- ヘタの近くがひび割れていないもの
- 先端部に星状の線が出ているもの
スターマーク
果実の先端部分から出る、星のように見える白い筋をスターマークと言います。
スターマークがあるトマトは、甘いと言われています。
緑色が残るトマトは常温で追熟させる
店頭に並ぶトマトの多くは、日持ちを考慮して緑色が残る状態で収穫されたものです。店頭に並ぶ頃には赤くなっていますが、中には緑色が残っていることもあります。
そんな場合は、トマトを追熟させることで、真っ赤な完熟トマトにすることができます。
トマトは、収穫後も20℃以上の環境であれば色づく性質があるため、常温で数日放置しておきます(様子を見ながら熟しすぎないように気を付ける)。その際、トマトが自重で傷まないよう、ヘタを下にして置いておきましょう。
主な品種
日本で生産されるトマトの品種はとても多く、120種類以上あると言われています。
大きく分けると、生で食べられる品種と、加工用の品種がありますが、店頭で販売されているのは生食用が中心。
大きさで見分けると、大玉、中玉、ミニ、マイクロミニの4種類に分けられます。
大玉トマト
桃太郎
ピンク系大玉トマトの代表で、日本で最もポピュラーな品種。
果肉部よりゼリー部が多い。完熟しても果肉がしっかりとしていて、ほどよい酸味。
ファースト
春先になると出回る、果実の先が尖ったトマト。
肉質がしっかりしていて、甘味と酸味のバランスが良い。生産量は減ったものの、”昔の味のトマト”として愛知県で根強い人気。
中玉トマト(ミディトマト)
シシリアンルージュ
地中海シシリア島生まれ、楕円形の中玉トマト。
濃厚で水っぽさがないので、ドライ加工や加熱に向きます。
フルティカ
糖度が高めの中玉トマト。
皮が薄めで食感がよく、生にも加熱にも向きます。
ミニトマト(プチトマト)
アイコ
細長いプラム形のミニトマト。果肉があつく、中のゼリーが少ないのが特徴。
皮が固めで完熟しても崩れにくく家庭菜園用にも人気。
アメーラルビンズ
皮がしっかりとして、パキッという弾んだ歯応えがあり、甘味が強くフルーツのようなミニトマト。
形は楕円形で、赤色(ルビンズ)、黄色(ゴールド)、チョコレート色(ショコラ)があります。
マイクロミニトマト
マイクロトマト
1個が5mm~1cmほどの極小粒のトマト。房つきで販売されます。
小さくてもしっかりとしたトマトの味。
他にもこんな品種
サンマルツァーノ | 大玉 | 果肉が詰まった赤系トマトで、イタリアのトマトの代表品種。 ゼリー部が少なく、うま味成分を多く含む。トマトソースなどの加熱調理向け。 |
桃太郎ゴールド | 大玉 | 黄色の桃太郎トマト。果肉はしっかりしていて、独特の風味。ピンク系トマトに含まれるリコピンより、体内に吸収されやすいとされているシス型リコピンを多く含見ます。 |
黄寿(おうじゅ) | 大玉 | 黄色の大玉トマト。酸味が少なく糖度が高い。独特の風味を持っています。 |
麗夏(れいか) | 大玉 | 「王様トマト」の名前でも知られる大玉トマト。しっかりした果肉で、甘味と酸味のバランスが良い。 |
グリーンゼブラ | 中玉 | 緑のゼブラ模様が特徴。果肉は固く、ソテーやピクルスなどに良い。 |
シンディスイート | 中玉 | 甘さ、コク、酸味のバランスがとれた濃厚な味で、使い勝手のよいトマト。色も鮮やか。 |
アメーラ | 中玉 | 静岡で開発された高糖度のブランドトマト。水やりを控えることで、味が濃く、甘くなるように育てられています。 |
カンパリ | 中玉 | お酒の「カンパリ」から名付けられた中玉種で、甘くてフルーティー。オランダ原産種。 |
ピッコラカナリア | ミニ | 黄色のミニトマト。高い糖度とカロテンを含むのが特徴。濃厚でとろけるような食感。 |
ピッコラルージュ | ミニ | シシリアンルージュと同系統の品種で、甘味と旨味が強く、生でも加熱しても良い。 |
トスカーナバイオレット | ミニ | 完熟するとブドウのような色になるトマト。目に良いと言われるアントシアニンを含みます。 |
トマトベリー | ミニ | イチゴのようなかわいいハート形をしたミニトマト。甘さと酸味のバランスが良い。 |
保存方法
トマトは低温障害を起こすので、冷やし過ぎに注意。低温障害を起こすと、実がブヨブヨに柔らかくなってしまします。
トマトの最適保存温度は7〜10℃。
冷蔵保存
冷やしすぎると甘みが減って味が低下してしまうので、冷蔵庫の野菜室(冷蔵室よりも温度が高い)に保存します。
冷気が直接当たると傷みやすいので、1つずつペーパータオルに包んで、ポリ袋に入れて保存しましょう。
この時、ヘタの部分を下にして重ならないようにしておくと、長持ちします。
冷蔵保存での保存期間は2週間まで。
冷凍保存
トマトは冷凍保存が可能です。
冷凍した場合、食感は変わりますが甘みと旨みが増すので、煮込み料理などに活用できます。
丸ごと冷凍する場合は、トマトのヘタを取り除き、皮付きのまま保存袋に入れて冷凍します。取り出して水に浸けると、皮がツルリと剥けます。
カットして保存する場合は、粗みじんに切って、保存袋に入れて冷凍。平らにして凍らせておくと、使いたい分だけ折って使えるので便利です。
冷凍保存での保存期間は1ヶ月。
調理のコツ
加熱すると美味しさアップ
トマトは加熱することで甘みや旨味が増します。
また、赤系トマトに多く含まれるリコピンは加熱することで細胞壁が壊れ、油に溶けやすい性質も相まって吸収率が約4倍にアップします。
皮の剥き方
トマトの皮の剥き方は大きさに合わせて次の2通りあります。
大玉トマトは、皮に十字の切れ目を入れてヘタにフォークを刺し、直火にかざして皮を炙ると、スルッと剥けやすくなります。
中玉・ミニトマトは、ヘタを取り除いて皮に十字の切れ目を入れ、沸騰したお湯に5〜10秒ほど浸した後、冷水にとって皮を剥きます。
ドライトマト
オーブンなどでドライトマトにすると、スープやソースの隠し味など調味料として利用できます。
乾燥により、甘みや旨味成分のグルタミン酸やグアニル酸が増加します。