
蒸したサツマイモを天日干しで乾燥させた「干し芋」。
ねっとりした噛み応えと自然な甘み、食物繊維を多く含み、ビタミンB1、ビタミンC、カリウムが豊富で栄養面でも優れもの。
炊飯器と干し網を使って、自宅で簡単にできる「干し芋」の作り方を紹介します。
干し芋の材料
干し芋を作るのに必要な材料は次の通り。
干し芋に最適なサツマイモの品種
サツマイモの品種によって、干し芋の出来栄え、特徴は大きく異なります。
ねっとりした噛み応えの干し芋を作るなら、「鳴門金時」などホクホク系よりも、しっとり・ねっとり系のサツマイモ品種を選びます。
干し芋の代表的な品種は「玉豊」「いずみ」「玉乙女」などで、全国の9割の干し芋が茨城県で生産されています。しかし、一般家庭で干し芋を作るなら、入手しやすい次のような品種がオススメです。

本命として挙げるのは「紅はるか(写真右)」。うちも今年初で栽培したのですが、しっとり食感で安納芋にも匹敵する甘さ。焼き芋・蒸し芋・干し芋と、どれにしても最高に美味しいです。
次に挙げるのは「安納芋(写真左)」。蜜芋と呼ばれるほど甘みが強く、水分多めのねっとり食感。干し芋にしてもカラカラになりにくく、しっとり柔らかに仕上がります。しかし、身崩れしやすいので細切れの干し芋になってしまいがち。
また、この品種は様々な土地・気候に適応して育てることができるので、自分で栽培してみるのもオススメです。

干し網があると便利
天日干しをするのに、「干し網(干し野菜ネット)」があると便利です。

干し網を使うメリットとしては、
- 衛生的:ファスナー付きのネットが、虫やホコリ、鳥などから守ってくれる
- 風通し抜群:全方向から風が当たるので、効率よく乾燥でき、カビの発生を防ぐ
- 省スペース:吊り下げタイプなら、ベランダなどの狭いスペースでも場所を取らない
干し芋の作り方
まずは動画で流れを確認。
サツマイモを蒸す
さつまいもをよく洗い、表面の土や汚れをきれいに落としたら、じっくりと加熱して甘みを引き出します。
ここが一番のポイント!さつまいもに含まれるデンプンは、低温でじっくり加熱することで、甘み成分である麦芽糖に変化します。
加熱方法はいくつかありますが、ここでは一番簡単な炊飯器を使います。
- 蒸す
蒸し器にさつまいもを入れ、竹串がスッと通るまで40分~60分ほどじっくり蒸します。ふっくらと、均一に熱が通るため、さつまいもの甘みを最大限に引き出せます。 - 茹でる
大きな鍋にさつまいもと、かぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして30分~50分ほど茹でます。手軽ですが、水っぽくなりやすいので、茹で上がったらすぐにザルにあけましょう。 - 炊飯器(ほったらかしでOK!一番簡単)
炊飯器を使えば、火加減の心配もなく、スイッチひとつで簡単に蒸し上がります。
炊飯器の内釜に、洗ったサツマイモと、サツマイモが1/3浸かるくらいの水(200cc程度)を注ぎ入れます。

炊飯器の「玄米モード」で炊飯スイッチをON。

炊き上がったら、竹串を刺して火の通り具合を確認してください。硬いようなら、追加で「早炊きモード」で10分ほど加熱しましょう。

熱いうちに皮をむく
蒸しあがったら、火傷に注意しながら熱いうちに皮をむきます。冷めると皮がむきにくくなるので、頑張って手早く済ませましょう。

竹串やバターナイフを使うとキレイに剥けます。

好みの厚さにスライス
1cm程度の厚さに切ります。繊維を切らないように、縦に切るのがコツ。

少し冷ましてから切ると、身崩れせず切りやすくなります。

天日で干す
スライスしたさつまいもが重ならないように干し網やザルに並べたら、日当たりと風通しの良い場所で天日干しにします。

日中は外に干し、夜は夜露を避けるため室内に取り込みましょう。時々裏返しながら、3日~1週間ほど干してお好みの硬さになったら完成です。
ゆっくりと水分が抜けたほうが美味しくなるので、寒い季節に干すのがオススメです。
完成
天日干し3日目。少しねっとり食感が残っている感じで、個人的にはこの干し加減が好き。

5日目になると噛みごたえのある硬さに。外カラカラ、中は若干しっとり。

よくある質問
カビが生えてしまったら?
残念ながら、カビが生えてしまった部分は食べられません。湿度が高い日に干したり、さつまいも同士がくっついていると発生しやすくなります。
一度、天日干し2日目から雨が続き、その間室内で干していたら写真のようにカビが発生したこともあります。

このような失敗を避けるため、特に表面が乾燥するまでの天日干し3日目くらいまでは、晴天が続く日を狙った方がいいです。
表面に出てきた白い粉は何?
これはカビではなく、さつまいもの糖分(麦芽糖)が結晶化したものです。
甘くて美味しい証拠なので、安心してお召し上がりください。
美味しく食べるポイント
収穫後の「追熟」で糖度をアップさせる
収穫したてのサツマイモよりも、1ヶ月ほど貯蔵したサツマイモの方が甘みが増します。
購入したサツマイモも、新聞紙にくるんで冷暗所(13℃前後が理想)に2週間ほど置いておくだけで「追熟」され、甘みがグッと増します。
袋に入れて冷蔵庫で保存
干し加減にもよりますが、水分を多めに残した場合は、室温保存だとカビが発生しやすいです。そのため、ジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫で保存します。

また、冷凍庫に入れておくと、長期保存(1ヶ月ほど)も可能です。食べるときは、自然解凍するか、トースターで温めると甘味と香りが引き立ちます。
一工夫でさらに美味しく
そのまま食べても美味しい干し芋ですが、さらに美味しく食べるのに一工夫。
火で炙ると柔らかく甘みも増す
干し芋をトースターなどで温める(火で炙る)と、外カリカリ中ねっとりと柔らかくなり、甘みも増します。

簡単お菓子「チョコ干し芋」
湯煎して溶かしたチョコレートを干し芋に掛け、冷蔵庫で冷やすだけの簡単お菓子。

チョコレートと干し芋の相性バツグンで、我が家でおやつに出したら一瞬でなくなりました。
紅はるかと安納芋の干し芋食べ比べ
「紅はるか」と「安納芋」、2種類のサツマイモで作った干し芋を食べ比べしてみました。
まずは、紅はるか。

歯応えもあり、甘みも十分。市販の干し芋に負けないレベル。少し乾燥させすぎた感はあり、もう半日干すのを短くするともっと良かったかも。
次に、安納芋。

切断時に身崩れするかと思いきや、意外にキレイに加工できました。紅はるかよりもしっとり感は多く残っており、程よい歯応えと甘みも強い。しっとり系の干し芋が好みなら、安納芋の干し芋もイイですね。