
家庭菜園の初心者の方向けに、 ラッカセイ(落花生)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ラッカセイ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツなど。

ラッカセイ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ラッカセイ | マメ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限2〜3年 |
ラッカセイ(落花生)は他のマメと違い、地中にマメができるのが特徴です。
花が落ちて実が生まれることから落花生と呼ばれるように、ラッカセイの花は受粉後、枯れた花のつけ根から子房柄(しぼうへい)が下向きに伸び、土の中に潜っていきます。
そして、深さ3〜5cmに達すると、子房柄の先が膨らみ始め、そこにさや(鞘)ができ、そのさやの中で豆が育ちます。

土中で育つさやを大きく大量にならせるには、花の咲き始めに株元へこんもりと土を盛る「土寄せ」がポイント。
収穫したラッカセイは、採りたてを茹でてホクホク食感を楽しみ、さやごと乾燥させて保存したものをピーナッツとして楽しめます。
- 根粒菌が栄養分を作り出すので、肥料(窒素)は少なめにする
- 子房柄が土の中に潜りやすくなるよう、しっかりと土寄せをする
ラッカセイの栽培時期
ラッカセイの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。

5月頃に種まきをし、9月以降に収穫です。
上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ラッカセイの栽培方法
ラッカセイの栽培方法は、次のような流れになります。
土作り

種蒔きまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
土壌酸度(pH)の目安は6.0〜6.5です。
ラッカセイは、水はけのよいふかふかの土を好みます。
また、背丈が低く栽培期間が長いので、周囲の野菜が生長しても日陰にならない場所を選びましょう。
肥料
マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出します。(根に形成された粒が、根粒菌のコロニー)


そのため、元肥は控えめにします。
肥料が多すぎると、枝葉ばかり茂って実付きが悪くなります。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
また、カルシウム分が不足すると空さやが多くなるため、「石灰」を適量施しておきましょう。
連作障害
ラッカセイは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。
また、ラッカセイには、マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にし、菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする効果があるため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
特に、長期に渡って養分を必要とする「トマト」「ナス」「ピーマン」との混植は相性が良く、私もよく一緒に育てています。
種まき
株間30cmで、1ヶ所に3粒ずつ、深さ3cmに点蒔きします。
雨の直後や、種まき後すぐに雨が降って過湿になると種が腐りやすいので、天気を見極めてから種まきしましょう。


また、種まき直後はカラスやハトが豆や芽を食べてしまうことが多いので、本葉が出るまで「不織布」やネットを掛けておくと安心です。
本葉が2〜3枚の頃、形の悪い株を間引いて1本立ちにします。


土寄せ・追肥

ラッカセイは受粉すると、花のつけ根にある子房柄が伸びて土の中に潜り、そこにさや(鞘)をつけます。
このとき、花の位置から地面までが遠かったり、土そのものが固いと、子房柄はしっかり土に入ることができず、ラッカセイのさやがつきません。
それを助けるために、株元にたっぷりと土寄せしておきます。
追肥・土寄せ(1回目)
花が咲き始めたら、1回目の土寄せを行います。


その際、周辺の土を軽く耕しておきます。雑草があると子房柄が土に入る邪魔になるので、除草もしておきましょう。
また、このタイミングで、株元に追肥を施します。
窒素が効きすぎると「つるぼけ」になってしまうため、肥料は窒素を少なめ・カリを多めに施します。(元肥で石灰を十分に入れてない場合は、ここで石灰も施しておきましょう。)
土寄せ(2回目)
1回目の土寄せから15日〜20日後、2回目の土寄せを行います。


開花は断続的に続き、子房柄が出る範囲も広がるので、やわらかな土をまんべんなく寄せ集めて、しっかり土の中へ伸びていくのを手助けします。
土中に潜り込んだ子房柄を切ってしまわないよう注意して行いましょう。
ここでは中耕・追肥は行いません。
収穫
下葉が黄色く枯れ始めたら、子房柄の先をさぐって試し掘りをしてみましょう。
網目模様がはっきりして、さやが膨らみきっていれば収穫適期です。


株のまわりにスコップを入れ、株全体を持ち上げるように掘り取ります。
収穫が遅れると、さやのつけ根が傷んで、引き抜いた時にさやが土中に残ってしまうため、採り遅れのないように注意しましょう。
茹で豆はすぐに調理
茹で豆にする場合は、採りたての鮮度の良いものを茹でます。
収穫後すぐにさやをもぎ取って水洗いし、たっぷりのお湯に塩(水に対して3〜4%)と一緒に入れて柔らかくなるまで茹でます。(ゆで時間は40分が目安。)
エダマメに似たほくほくと甘い味わいです。
収穫後の乾燥・保存
収穫したままの生落花生は水分を含んでいるので、保存がききません。
落花生を長期保存するには、次のようにじっくりと乾燥させます。
落花生の乾燥方法
収穫後は土を払い落とし、さやの付いた方を上に向けた状態で1週間ほど天日干しします。
畑で天日干しする場合、カラスなどに食べられないよう、ネットを被せておくと安心です。

乾燥が進むと豆の水分が抜けて実が小さくなります。落花生を手に持って揺すり、カラカラと音がしたらさやを切り離します。
その後、殻付きのまま風通しの良いところに並べて、1ヶ月ほどじっくりと乾燥させます。

時間を掛けて乾燥させることで、渋みを抜き、甘みと風味が増します。これで半年〜1年ほどの長期保存が可能です。
種用に残す場合
収穫したラッカセイを来年の種用に残す場合は、乾燥させた後、殻ごと保存するようにします。
殻から種を取り出すと発芽率が落ちてしまいます。
落花生の簡単な煎り方

乾燥させた落花生を食べるのに、フライパンで煎るのが面倒な場合は、電子レンジでチンすると簡単です。

茶封筒に殻つきのまま落花生を入れる(重ならない程度の量)


これだけで、カリッと香ばしいピーナッツの出来上がりです。