
家庭菜園の初心者の方向けに、ネギ(白ネギ・長ネギ・根深ネギ)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ネギ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、発生しやすい病害虫と対策など。
目次
ネギ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ネギ | ネギ科 | 6.0〜6.5 | あり:輪作年限1〜2年 |
ネギ(白ネギ・長ネギ・根深ネギ)は生長に合わせて土寄せすることで、葉鞘部を白く長く育てるのが特徴です。
ネギの根は酸素の要求量が大きいため、植え付けるときに土を盛りすぎると生育が悪くなるので注意。
地方ごとに多数の在来品種があるので、いろいろ食べ比べてみるのもオススメです。
- 畑で苗を育てて、植え付けのときに半熟堆肥やワラを掛けて病害虫を予防する
- 土寄せをしっかりして、軟白部分を長くする
ネギの種類(白ネギ・青ネギ)
野菜として栽培されるネギは、「白ネギ」と「青ネギ」に大別されます。
このページでは、「白ネギ」の栽培について紹介しています。
白ネギ(長ネギ、根深ネギ)
茎を包んだ葉の部分である葉鞘が白く長いネギ。白い部分を食します。「下仁田ネギ」などが有名。
株元へ土を寄せて、葉鞘部を白く長く育てて収穫します。
青ネギ(葉ネギ、万能ネギ)
緑の部分が長く枝分かれしていて、葉の先まで食べられるネギ。刻んで薬味などとして食します。「九条ネギ」などが有名。
土寄せの必要がないので、プランターなどでも簡単に栽培できます。
似たものに「アサツキ(浅葱)・ワケギ(分葱)」もありますが、これらは球根から育てるもので青ネギとは別物です。
ネギの栽培時期
ネギの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
春まきと秋まきができ、それぞれ畑に直播きして苗を作り、育った苗を植え替えて栽培します。

基本作型は、春まき(春に種をまいて、夏に苗を植えつけ、冬に収穫)です。
上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ネギの栽培方法
ネギの栽培方法は、次のような流れになります。
苗床を作る
ネギの種をまいて苗を育てるための、苗床を作ります。
種まきの2週間前までに、堆肥と元肥を鋤き込み、表面を平にならしておきます。(ネギは肥料焼けを起こしやすいので、元肥は少なめ。)
栽培する量が少量の場合は、プランターや育苗箱に培養土を入れて苗作りをすると手軽です。
種まき・育苗
条間15cmでまき溝をつけ、1〜2cm間隔で条播きに。軽く覆土して鎮圧し、たっぷりと水をやります。


土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻をまいたり、「不織布」をベタ掛けしておきます。


発芽後は不織布を外し、混み合ったところを間引いて最終株間3cmにします。
種まきから1ヶ月後を目安に追肥を施し、草丈40〜50cmまで育てます。
また、苗の植え付け時期が近づくと、市販の苗が出回ります。植え付ける本数が少ない場合は、育苗の手間が省けるので便利です。
但し、市販苗だと品種が限られてしまうため、好みの品種を育てたい場合は、種から育てましょう。
土作り
ネギの苗を植え付けて育てるための、畑を準備します。
苗の植え付け3週間前に堆肥を鋤き込んでよく耕し、畝を立てておきます。(元肥は定植の際に溝施肥にします。)
ネギは過湿に弱いので、水はけのいい場所を選びましょう。
また、酸性土壌を嫌うので、石灰を入れてpH(酸度)調整をしておきます。pHは6.0〜6.5が目安です。
肥料
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ネギは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を1〜2年あけるようにします。
また、ネギの根には、土壌病害を抑える効果のある拮抗菌が共生しているため、コンパニオンプランツとしての利用もオススメです。
植え付け
草丈40〜50cmが植え替えの目安です。
根を傷めないように移植ゴテで苗を掘り起こして、1本ずつに分けます。


畝の中央に深さ30cmほどの植え溝を掘り、溝に堆肥と肥料を入れて土を被せます。(クワで掘るとちょうど良い幅の植え溝ができます。)


植え溝に株間5cm間隔で、1本ずつ壁に立てかけるように苗を置いていきます。


根が隠れ、株が倒れない程度に覆土します。(浅植えにする)
根元にはワラを敷いておきます。ワラを敷くことで適度な水分を維持し、また、通気が良くなることで病害虫を防ぐ効果があります。
尚、植え付け後の水やりは不要です。
追肥・土寄せ




植え付けから1ヶ月後、追肥と土寄せを行います。
ネギと反対側の畝の肩に追肥を施して、土と混ぜながら溝に土を入れ、分けつ部(葉が分岐するところ)の下まで土寄せします。
以降、生長に合わせて計4回、同様に追肥と土寄せを行います。(4回目の土寄せは収穫の30〜40日前。追肥は不要です。)
また、ネギは雑草に弱いので、土寄せの際に限らず、こまめに除草してやりましょう。
白ネギは生長に合わせて土寄せすることで、葉鞘部が白く長くなります。土寄せをきっちり行って軟白部分を伸ばしていくことが、品質の高い長ネギを育てるポイント。
ネギ坊主は摘み取る

ネギは、一定の大きさの苗が一定期間低温に当たると「とう立ち」する性質があります。そしてその後、気温が上がり、日が長くなるとネギ坊主が伸びてきて花を咲かせます。
春まき・夏植え栽培では寒さに遭うのが収穫期なので問題になりませんが、秋まき・春植え栽培では植える前の苗がすでに花芽を持っている可能性があるので、植え付けた苗からネギ坊主が伸びてきたらすぐに摘み取りましょう。
収穫


最後の土寄せから約1ヶ月後を目安に、太いものから順に収穫します。
ワラを入れたほうの盛り土を崩し、スコップを差し込んで掘り起したら、株元を手でつかんで抜き取ります。力任せに抜くと折れてしまうので気を付けましょう。
収穫後すぐに食べないときは、泥付きのまま新聞紙に包み、冷暗所で保存しておきます。
発生しやすい病害虫
ネギに発生しやすい代表的な病害虫と、その対策・予防法をまとめています。
病気
黒斑病(こくはんびょう)
葉に淡褐色〜黒色で大きな楕円形の病斑ができます。
さび病
葉の表面に、オレンジ色の楕円形で、やや膨らんだ小さな斑点が多数形成されます。
小斑点はしばらくすると破れて、オレンジ色で粉状の胞子が飛散します。
べと病
葉に黃白色のぼやけた退色病斑ができ、灰白色の薄いカビが発生します。
その他の病気 | |
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萎縮病 | ウイルス病の一種。葉に濃淡のモザイク症状が現れます。 |
萎凋病 | 下葉から黄化してしおれ、生育不良となり枯れてしまいます。 |
ウイルス病 | 葉に黄緑色の筋状の斑点や黄緑色と緑色のモザイク症状が現れます。原因ウイルスをアブラムシやアザミウマが媒介します。 |
軟腐病 | 葉身基部の地ぎわ部が軟化し腐敗します。 |
黒腐菌核病 | 葉が黄化してしおれ、地ぎわは暗褐色に腐敗、表面に小黒粒が多数形成されます。 |
害虫
ネギアザミウマ
体長1〜2mmの小さな成虫や幼虫が葉を食害。葉に白い小斑点ができ、被害が進むと葉全体がかすり状に白くなります。
ウイルス病のウイルスを媒介するため、注意が必要。
ネギアブラムシ
体長1.8〜2mm、黒色で小さな虫が葉に群がって吸汁加害します。
ウイルス病のウイルスを媒介するため、注意が必要。
ナメクジ
湿気を好んで土の中などに潜み、柔らかい葉を舐めるように食害します。
シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ
体長3〜4cmほど、淡緑〜褐色をしたイモムシ状の幼虫が、夜間に葉を食害します。
その他の害虫 | |
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ネギコガ | 体長7〜9mmの蛾の幼虫が葉を食害。葉の表面に白い斑点、白い筋がつきます。 |
ネキリムシ | 夜間に、褐色の幼虫が、植えたばかりの苗の根元を噛み切ります。 |