
家庭菜園の初心者の方向けに、ショウガ(生姜)の栽培方法を写真とイラスト付きでまとめています。
ショウガ栽培の特徴、栽培時期、栽培手順・育て方のコツ、保存・貯蔵方法など。

ショウガ栽培の特徴

種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
---|---|---|---|
ショウガ | ショウガ科 | 5.5〜6.0 | あり:輪作年限4〜5年 |
収穫時期をずらすことで、いろいろな大きさを楽しむことができるショウガ。
真夏には「葉ショウガ」を楽しみ、秋が深まる頃には鮮烈な香りの「新ショウガ(根ショウガ)」を収穫できます。
また、「新ショウガ」を数ヶ月保管して寝かせることで、繊維質で辛みの強い「ひねショウガ」として、薬味などに利用できます。保存方法
病害虫が少なく育てやすい野菜ですが、乾燥には注意が必要です。
- 低温では生育しないので、地温が15度以上になってから畑に定植する
- 日当たりは必要だが強い光は嫌うので、適度な日陰ができる場所がいい。多湿は嫌うが乾燥も苦手。
ショウガの栽培時期
ショウガの栽培時期・栽培スケジュールは次のようになります。
4月下旬頃に種ショウガを植え付け、8月頃の若い内に収穫すれば葉ショウガを、10月下旬〜11月頃には株が大きく育った根ショウガを収穫できます。

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。
ショウガの栽培方法
ショウガの栽培方法は、次のような流れになります。
種ショウガの準備
種ショウガは、4月頃になると種苗店やホームセンターで販売されます。


品種によって塊茎の大きさや辛みの強さが異なります。塊茎の大きさによって、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガに区別されます。
ショウガは、種ショウガの良し悪しで初期育成が決まるので、充実したものを購入することが大切です。表皮がみずみずしく、色・ツヤが良く、しっかりした芽がついている種ショウガを選びましょう。
土作り

ショウガは有機質豊かで保湿性に優れた土壌でよく育ちます。
植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
土壌酸度(pH)の目安は5.5〜6.0です。
肥料
元肥はやや控えめに、追肥でしっかりと施します。
肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
連作障害・コンパニオンプランツ
ショウガは、連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を4〜5年あけるようにします。
また、日陰を好むショウガは、「コンパニオンプランツ」として「サトイモ」との混植がオススメです。

どちらも日陰・水分を好む似たもの同士のため同じ場所で育てやすく、サトイモの葉がつくる日陰でショウガがよく育ちます。
植え付け
ショウガの植え付け適期は気温が高くなる4月下旬〜5月上旬、地温が15度以上になってから行います。



種ショウガは、大きいものは1片が50g前後の大きさになるように手で割ります。(写真の大きさくらい)
株間30cmで深さ15cmの植え穴を掘り、種ショウガを横に寝かせて植え付けます。
種ショウガの上に土を盛り、手のひらでしっかり押さえて鎮圧し、たっぷりと水をやります。
発芽まで時間が掛かる

ショウガは低温だと生育しないので、地温が低い場合は、発芽まで時間が掛かる場合があります。
うちの場合でも、4月下旬に植えて6月上旬にようやく発芽など。
早く萌芽させたい場合は、黒マルチを敷いて地温を上げ、芽が出たらマルチに穴をあけて芽を外に出してやりましょう。

マルチング・日除け

ショウガは乾燥を嫌うので、夏は株元に稲ワラや刈草で「敷わらマルチ」をして土の乾燥を防ぎます。
また、適度な日陰を好むため、真夏の強い日差しがある時期は「遮光ネット」で日除けをして直射日光から守ります。
追肥・土寄せ

追肥と土寄せをセットで、夏までに計3回行います。
1回めは草丈15cmくらい、2回目は草丈30cmくらい、3回目はさらに1か月後に。表面が隠れるように、土を被せます。
ショウガは地中の下にまっすぐ根を伸ばしていくので、追肥は株元に施します。
収穫
夏から秋にかけて、好みによっていろいろな収穫が楽しめます。
植え付けから約3ヶ月後(葉が7〜8枚の頃)、新しい根を葉つきのまま収穫する「葉ショウガ」を。

そして、葉先が黄色く枯れた頃(11月上旬)になると、根が十分に肥大した、みずみずしい「新ショウガ(根ショウガ)」を収穫できます。



また、新ショウガの下についている種ショウガも食べることができます。新ショウガよりも固くて辛味が強く、薬味に最適です。

収穫は、株元の周囲を少しずつ手で掘り、根を十分に露出させてから一気に掘り上げます。
低温にあたると傷むので、霜が降りる前までに収穫を終わらせましょう。
新ショウガでハチミツ漬けや酢漬け
新ショウガは料理の食材にはもちろん、ハチミツ漬けや酢漬けなどにもピッタリです。

収穫後数ヶ月保管すると辛みを増す
普段スーパーなどで売っている薬味として使うショウガは、収穫したてのみずみずしい新ショウガに比べ、固くて繊維質で辛味の強いもの。
これは、新ショウガを数ヶ月保管して寝かせたもので、「ひねショウガ」とも呼ばれます。(収穫時の種ショウガをそう呼ぶ地域もあります)
ショウガの保存にはコツがいるのですが、2ヶ月以上保管すれば、薬味に最適な「ひねショウガ」として利用することができます。保存方法
ショウガの保存・貯蔵方法
収穫したショウガを保存・貯蔵するには、次のポイントに注意します。
- 生姜の保管に最適な温度は13~15度
- 茎と根は切り落とす
- 土がついたまま保管する(できるだけ割らずに塊のまま)
- 保管温度が高いと芽が出て、低いと傷んでしまう
- 乾燥にも弱いため湿度は高く保つ
これらを踏まえて、次のような保存方法があります。
土に埋める

20cmほど土を掘り下げてもみ殻を敷き、その上にショウガ同士が触れないように横倒しに並べ、土を2cm以上かぶせます。
その上にショウガを並べて繰り返し、最後にもみ殻をかぶせたら、土を10cm以上盛り上げ、雨よけを兼ねてワラや落ち葉、枯れ草で覆っておきます。
発泡スチロール箱に密封



発泡スチロール箱に新聞を敷き詰め、ショウガ1塊ずつを新聞紙に包んで水に濡らします。
それを発泡スチロール箱に並べて、蓋をガムテープで密封し、涼しい部屋で保管します。
2ヶ月ほどして開封すると色が若干黒くなり、薬味として使える「ひね生姜」に。

土に埋めるよりも手間が掛からないので、うちではこの方法を利用しています。
ショウガの保存は温度・湿度などの条件がシビアで、ベテラン農家でさえ失敗してしまうことがあります。
来年の種生姜として使う場合は、植え付け時期までの長期間保存することになるのですが、うちでも半分は腐らせてしまうため残りの種は購入しています。