家庭菜園の初心者の方向けに、ショウガ(生姜)の栽培方法を紹介します。
基本情報
収穫時期をずらすことで、いろいろな大きさを楽しむことができるショウガ(生姜)。
収穫時期によって、次のように呼び名が変わります。
- 筆ショウガ・・・葉が3〜4枚開いた頃、種ショウガを残して茎から折り取ったもの
- 葉ショウガ・・・葉が7〜8枚ついて新しい根が少し肥大した頃に抜き取ったもの
- 根ショウガ・・・晩秋になり、根が十分に肥大してから掘り上げたもの
新ショウガは、収穫直後の根ショウガのことを指します。
筆ショウガや葉ショウガは水分を含んでいて辛みが少ないので、生のまま味噌をつけて食べたり、甘酢漬けにしたりします。収穫直後の根ショウガ(新ショウガ)は、ハチミツ漬けや甘酢漬けなどで楽しめます。
「根ショウガ」を数ヶ月保管して寝かせることで、繊維質で辛みの強い「ひねショウガ(老成生姜・古根生姜)」として、薬味などに利用できます。保存方法
病害虫が少なく育てやすい野菜ですが、乾燥には注意が必要です。
- 低温では生育しないので、地温が15度以上になってから畑に定植する
- 日当たりは必要だが強い光は嫌うので、適度な日陰ができる場所がいい
- 種ショウガの良し悪しで初期育成が決まるので、充実したものを購入する
栽培時期
ショウガ(生姜)の栽培カレンダーです。
中間地を基本とした目安です。地域や品種によって時期に幅があります。
4月下旬頃に種ショウガを植え付け、8月頃の若い内に収穫すれば葉ショウガを、10月下旬〜11月頃には株が大きく育った根ショウガを収穫できます。
栽培方法
ショウガ(生姜)の栽培は、次のような流れになります。
土作り
ショウガは有機質豊かで保湿性に優れた土壌でよく育ちます。
植え付けまでに堆肥・石灰・元肥を入れて土作りを済ませておきます。
土壌酸度(pH)の目安は5.5〜6.0です。
肥料
元肥はやや控えめに、追肥でしっかりと施します。
肥料には「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。
種ショウガの準備
種ショウガは、4月頃になると種苗店やホームセンターで販売されます。
品種によって塊茎の大きさや辛みの強さが異なります。塊茎の大きさによって、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガに区別されます。
種ショウガに蓄えられた栄養で生長する期間は2ヶ月ほどと長いので、充実した無病の種ショウガを購入することが大切です。みずみずしくて色つやが良い、黒い病害痕がない、白く伸び始めた芽がついている種ショウガを選びましょう。
植え付け
ショウガの植え付け適期は気温が高くなる4月下旬〜5月上旬、地温が15度以上になってから行います。
種ショウガは、大きいものは1片が50g前後の大きさになるように手で割ります。(写真の大きさくらい)
株間30cmで深さ10cmの植え穴を掘り、芽を上にして種ショウガを植え付けます。
種ショウガの上に5〜10cmの覆土をし、手のひらでしっかり押さえて鎮圧して、水を適度に与えます。
発芽まで時間が掛かる
ショウガは、萌芽するのに15度以上の地温が必要なので、露地栽培では40〜50日も芽が出ないことがあります。
早く萌芽させたい場合は、黒マルチを敷いて地温を上げ、芽が出たらマルチに穴をあけて芽を外に出してやりましょう。
マルチシートの種類とマルチの張り方マルチング・日除け
ショウガは乾燥を嫌うので、夏は株元に稲ワラや刈草で「敷わらマルチ」をして土の乾燥を防ぎます。
夏場に乾燥が続くと、食用部分が太りません。
また、適度な日陰を好むため、真夏の強い日差しがある時期は「遮光ネット」で日除けをして直射日光から守ります。
追肥・土寄せ
追肥と土寄せをセットで、夏までに計3回行います。
1回めは草丈15cmくらい、2回目は草丈30cmくらい、3回目はさらに1か月後に。表面が隠れるように、土を被せます。
ショウガは地中の下にまっすぐ根を伸ばしていくので、追肥は株元に施します。
収穫
夏から秋にかけて、好みによっていろいろな収穫が楽しめます。
初夏、本葉が2〜3枚開いた頃、茎を手で掴んで種ショウガから折り取って「筆ショウガ」を収穫。
その後、本葉が7〜8枚ついて新しい根が少し肥大した頃、葉つきのまま抜き取って収穫するのが「葉ショウガ」です。
そして、葉先が黄色く枯れ始めた頃(11月上旬)になると、根が十分に肥大した、みずみずしい「根ショウガ」を収穫できます。
収穫直後の根ショウガのことを、新ショウガと呼びます。
収穫は、株元の周囲を少しずつ手で掘り、根を十分に露出させてから一気に掘り上げます。
低温にあたると傷むので、霜が降りる前までに収穫を終わらせましょう。
種ショウガも食べられる
ショウガを収穫すると、植え付けた種ショウガ(親)の上に、新しいショウガ(子供)ができているのがわかります。
この種ショウガも、しっかりした状態で残っているものは「ひねショウガ」として食べることができます。辛みが強いので、薬味にピッタリ。
収穫後数ヶ月保管すると辛みを増す
普段スーパーなどで売っている薬味として使うショウガは、収穫したてのみずみずしい根ショウガに比べ、固くて繊維質で辛味の強いもの。
これは、根ショウガを数ヶ月保管して寝かせたもので、「ひねショウガ(老成生姜・古根生姜)」とも呼ばれます。
ショウガの保存にはコツがいるのですが、2ヶ月以上保管すれば、薬味に最適な「ひねショウガ」として利用することができます。保存方法
ショウガの保存・貯蔵方法
収穫したショウガを保存・貯蔵するには、次のポイントに注意します。
- 生姜の保管に最適な温度は13~15度
- 茎と根は切り落とす
- 土がついたまま保管する(できるだけ割らずに塊のまま)
- 保管温度が高いと芽が出て、低いと傷んでしまう
- 乾燥にも弱いため湿度は高く保つ
これらを踏まえて、次のような保存方法があります。
土に埋める
20cmほど土を掘り下げてもみ殻を敷き、その上にショウガ同士が触れないように横倒しに並べ、土を2cm以上かぶせます。
その上にショウガを並べて繰り返し、最後にもみ殻をかぶせたら、土を10cm以上盛り上げ、雨よけを兼ねてワラや落ち葉、枯れ草で覆っておきます。
発泡スチロール箱に密封
発泡スチロール箱に新聞を敷き詰め、ショウガ1塊ずつを新聞紙に包んで水に濡らします。
それを発泡スチロール箱に並べて、蓋をガムテープで密封し、涼しい部屋で保管します。
2ヶ月ほどして開封すると色が若干黒くなり、薬味として使える「ひねショウガ」に。
土に埋めるよりも手間が掛からないので、うちではこの方法を利用しています。
ショウガの保存は温度・湿度などの条件がシビアで、ベテラン農家でさえ失敗してしまうことがあります。
来年の種生姜として使う場合は、植え付け時期までの長期間保存することになるのですが、うちでも半分は腐らせてしまうため残りの種は購入しています。
連作障害とコンパニオンプランツ
連作障害
同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。
ショウガは連作を嫌う野菜です。同じ場所での栽培間隔を4〜5年あけるようにします。
コンパニオンプランツ
違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。
ショウガと相性のいい野菜には次のようなものがあります。
栽培Q&A
スーパーで販売されている食用のショウガでも、水で洗っていない土つきのものなら、そのまま植えても育てることができます。
但し、栽培用ではなく食用として管理されていたものなので、芽が削られている、冷蔵保管で弱っているなど、栽培用には適していない状態が考えられます。
また、品種によって育てやすい環境が異なるため、確実に育てるのであれば、地域に合った栽培用の種ショウガを使うことをオススメします。
ショウガは高温性の作物で、生育適温は25〜30度、発芽するのに15度以上の地温が必要。そのため、露地栽培では40〜50日も芽が出ないことがあります。
早く萌芽させたい場合は、黒マルチを敷いて地温を上げ、芽が出たらマルチに穴をあけて芽を外に出してやりましょう。
それでも発芽しない場合は、早く植え過ぎたか、質の良くない種ショウガを植え付けたため、土中で腐ってしまった可能性があります。
収穫した根ショウガを貯蔵・越冬させれば、来年の種ショウガとして使うことができます。
しかし、ショウガの保存には技術を要し、専用の貯蔵庫がなければ難易度は高め。
挑戦する場合は、「ショウガの保存・貯蔵方法」を参考に。