塩漬け、赤じそ漬け、土用干しと、たいへん手間が掛かる梅干し作り。
しかし、丹精を込めて作る自家製梅干しは、愛情たっぷりで美味しいもの。
ここでは、梅干し作りに必要な道具・材料と、梅干しの作り方を紹介します。
梅干し作りのスケジュール
梅干し作りは季節の流れに従って進行します。
梅や赤紫蘇の出回る期間は短いので、買い損ねないように注意しましょう。
梅干し作りに必要な道具
梅干し作りに必要な道具は次の通り。
漬けもの容器、おもし、中蓋
梅干しを漬ける容器は、酸と塩分で腐食を起こしにくい、ほうろう容器や漬物用プラスチック容器を用意します。大きさは、梅の量の1.5〜2倍の容量が最適。
おもしは、塩漬けのときと、梅酢が上がってからで重さを調整する必要があります。中蓋は、容器よりも一回り小さいものを用意します。
道具一式を揃えるなら、梅干し作りセットが便利です。
尚、容器や道具は必ず煮沸消毒(または熱湯消毒)し、乾いたら焼酎を絡めておきましょう。
ざる
梅干しを天日干しするざるは、竹製のものが最適です。
水切れがいい、天日干しで熱くならない、抗菌作用があるなどの特徴があります。
梅干し用の梅
梅干し用の梅は完熟のものを選びます。
全体に黄色くなって、指で押して見て柔らかいものが最適です。
粗塩
塩は、にがりを含んだ粗塩を用意します。
粗塩は梅に絡みやすく、早く梅酢が上がってカビが生えにくい、にがりが梅干しの味をまろやかにします。
こちらの塩を使うと美味しい梅干しができると聞いたので、次回使用予定。
赤紫蘇(ちりめんじそ)
赤紫蘇は”ちりめんじそ”と呼ばれる、葉のちぢれたものを用意します。
紫蘇は栽培も簡単なので、家庭菜園で育ててみるのもオススメです。
シソ(紫蘇)の栽培方法・育て方のコツ焼酎/ホワイトリカー(消毒用)
容器の消毒や、梅に塩をまぶす際に湿らせるのに使います。
アルコール度数35度のもので、うちではホワイトリカーを使っています。
梅干しの作り方
梅干し作りは大きく3つの工程に分かれます。
まずは動画で流れを確認。
詳細な手順は次の通り。
塩漬け
梅干し作りの最初の工程は、梅の塩漬け。
ここで必要になる材料・道具は次の通り。
- 梅:2kg
- 塩:360g(梅の重量の18%)
- 焼酎(カップ1/4)
- 漬けもの容器、おもし、中蓋
6月中旬〜下旬に出回る完熟梅を用意します。
下ごしらえ
梅をていねいに水洗いして、なり口のホシ(ヘタ)を取り除き、清潔な布巾で水気をていねいに拭きます。(水分が残っているとカビが生える原因になるので注意。)
塩漬け
梅の重量の18%(梅2kgに対し、塩360g)の粗塩を用意し、分量から一掴みして漬けもの容器(熱湯消毒したもの)の底に振ります。
ボウルに梅を入れ、殺菌と塩を馴染みやくするために焼酎をまぶします。
梅、塩、梅の順番に容器に重ね入れ、塩は上にいくほど多くし、最後は残った塩を全体に振ります。
梅と塩を全部入れたら、中蓋とおもし(熱湯消毒したもの)をのせます。
紙で覆って冷暗所で保存します。
1週間ほどして、白梅酢(塩が溶けて梅から出た汁)が充分に上がったら、おもしを半分くらいに減らします。
このとき梅が白梅酢から顔を出さないように注意。
再度、紙で覆って冷暗所で保存(7日以上)し、時折カビが発生していないか確認して、赤紫蘇が出回るのを待ちます。
赤じそ漬け
次の工程は、梅の赤じそ漬け。
ここで必要になる材料は次の通り。
- 赤紫蘇:正味400g(約4束)(梅の重量の20%)
- 塩:80g(赤紫蘇の重量の20%)
6月下旬〜7月上旬に出回る赤紫蘇(ちりめんじそ)を用意します。
下ごしらえ
柄を残し、大きくて両面が綺麗な紫紅色の葉だけを1枚ずつ摘みます。
葉を破らないように、やさしく丁寧に水洗いし、泥や汚れを落とします。
清潔な布巾で、水気をていねいに拭きます。水分が残っているとカビが生える原因になるので注意。
ここで重さを計り、正味とします。400gでこれくらい。
アク抜き
次に赤紫蘇のアク抜きを行います。
まず、赤紫蘇の重量の20%(シソ400gに対し、塩80g)の粗塩を用意します。
大きめのボウルに赤紫蘇を入れ、塩の半量を振り入れて、なじませながら押すように揉みます。揉んでいくと、かさがぐんと減っていきます。
さらに揉んでいくと、アクの汁(濁った紫色の汁)が出てきます。
ギュッと絞ってアクの汁を捨てます。これで1回目のアク抜き完了。
残りの塩でもう一度アク抜きを行います。
絞った赤紫蘇を破らないように気を付けて軽くほぐし、残りの塩を入れて1回目と同様に押すように揉みます。
1回目より綺麗な赤紫色のアクの汁が出るので、再びきつく絞ってアクの汁を捨てます。
これでアク抜き完了。
赤じそ漬け
続いて、塩漬けした梅を赤じそ漬けにします。
塩漬けにした梅から出た白梅酢を1カップすくい、アク抜きした赤紫蘇に加えます。
ほぐすように揉むと赤紫蘇が発色し、白梅酢が鮮紅色に染まります。(赤梅酢)
塩漬けした梅の上にシソを隙間なく並べ、残った汁(赤梅酢)も加えます。
その上に中蓋を乗せ、軽めのおもしをのせます。
汁が中蓋より2cm以上上がっている状態にし、紙で覆って冷暗所で保存します。(2週間以上)
時折カビが発生していないか確認し、梅雨があけるのを待ちます。
土用干し
梅雨が明け、土用(7月20日頃)に入ったら、いよいよ土用干しをします。
太陽の日差しと夜露を交互に当てることで、日毎に色づき、皮や果肉が柔らかくなっていきます。
基本は三日三晩。晴天が続く日を見極めて天日干しにします。
1日目
赤紫蘇を絞って取り出します。
梅を一つ一つざるに並べて天日干し。
日中、梅を裏返し、日光が平均に当たるようにします。
1日目は、夕方に梅を容器に戻して取り込みます。(赤梅酢に再び漬ける)
2日目からは昼夜干し続け、夜霧に当てます。
2日目・3日目
再び梅を干します。
夕方以降もこのまま干しておき、3日目も終日干し続けます。
4日目の朝になれば完成。
出来上がった梅干しは、瓶やかめに移して保存します。
すぐ食べることができますが、出来立ては酸っぱいです。半年以上おくと味が馴染んで、ぐんと美味しくなります。
赤紫蘇でゆかり作り
土用干しで取り出した赤紫蘇は、乾燥させて「ゆかり」を作ることができます。
天日干し
絞った赤紫蘇を軽くほぐし、ざるなどに入れて天日干しします。(夕方には取り入れます。)
2日ほど干すとカラカラに乾燥します。
細かく砕く
乾燥した赤紫蘇をフードプロセッサーで細かく砕きます。(または、すり鉢ですり潰します。)
好みの粗さに砕いたら、ゆかり(紫蘇ふりかけ)の完成です。
簡単にできて、ふりかけに、パスタにといろいろ使えるので、梅干し作りの際にはお試しあれ。