市民農園(貸し農園)の種類と選び方

市民農園(貸し農園)の種類と選び方

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「家庭菜園を始めたいけれど、庭がない」「プランター栽培では物足りなくなってきた」ーー

そんな方にぴったりなのが、畑を区画で借りられる市民農園(貸し農園)という選択肢です。

ひとくちに市民農園といっても、運営主体やサービス内容によって特徴はさまざま。

このページでは、市民農園と貸し農園の違いや選び方のポイント、初心者におすすめの農園サービスについてわかりやすくご紹介します。

市民農園(貸し農園)とは

市民農園とは、サラリーマン家庭や都市住民の方々が、レクリエーションや生きがいづくり、生徒・児童の体験学習などの多様な目的で、小面積の農地を利用して野菜や花を育てるための農園のこと。

言わば、一般の人が借りることができる小さめの畑です。

MEMO

市民農園は他に「貸し農園」「レンタル菜園」「体験農園」などの名称でも呼ばれています。

実は、畑や田んぼは農地法で取り扱い方が定められており、非農家の人が農地を利用するには様々な制約があります。

そこで、市町村や農協、農家さん、民間企業等が、一般の人が利用できるよう市民農園を開設しています。

注意

原則として、趣味的な動機による農作物の栽培を目的としており、営利目的での栽培・販売はできません。

令和2年3月末時点で全国に4,169の市民農園があり、開設主体の割合は次のようになっています。

  • 地方公共団体・・・2,153(52%)
  • 農業協同組合・・・478(11%)
  • 農業者・・・1,188(28%)
  • 企業・NPO等・・・350(8%)

市民農園(貸し農園)の種類

サービス充実のサポート付き市民農園(イメージ)

市民農園(貸し農園)と一口に言っても、運営主体やサービス内容によって大きく2つに分かれます。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

一般的な市民農園

自治体やJA(農業協同組合)、または農家が提供する市民農園は、費用が安く、自分のスタイルで野菜作りが楽しめるのが魅力です。

ただし、サポートは基本的になく、すべて自己管理となるため、ある程度経験のある人に向いています。

特徴
  • 費用が安い:年額5,000円〜1万円程度
  • 自由度が高い:農具・資材・栽培計画は自分で用意・実行
  • サポートなし:指導員や講習会は原則なし
  • 契約は1〜2年単位更新できず、期間終了で返却が必要
  • 申し込みは年1回が多く、抽選になることも
  • 居住地制限がある農園が多い
注意

契約期間の延長ができないので、どんなに頑張って土作りをしても、期間が終了すれば手放さないといけないのは辛いところ。

尚、市町村が運営するものに比べ、農業協同組合・農家さんが運営するものはバラエティーに富んだ特徴があります。

市民農園の探し方

各市町村や農業協同組合(JA)のホームページ、各農園の張り紙などで空きを確認して申し込みます。

例:「大阪市 市民農園 募集」などで検索

農林水産省のホームページで全国の市民農園リストを見ることができるので、近隣の農園探しの参考に。(2600件ほどの掲載)

サポート付き貸し農園

民間企業が運営するサポート付き貸し農園は、初心者でも安心して始められるサービスが充実しています。

農具や肥料などの資材が完備されており、さらに専門スタッフが常駐しているため、知識ゼロからでも失敗しにくい環境が整っています。

特徴
  • 手ぶらで通える:農具・資材・種苗・肥料などすべて完備
  • 充実のサポート体制:アドバイザーが常駐、講習会やイベントも開催
  • 初心者歓迎:栽培経験がなくてもすぐ始められる
  • 継続利用しやすい:抽選不要で長期利用も可能
  • トイレ・休憩所などの設備が整っている
  • 随時募集・ネットで申込可

費用は一般的な市民農園より高く(年額5万〜10万円程度)なりますが、その分サポートや快適さが段違い。週末だけの利用や親子での農園体験にも向いています。

▼おすすめのサポート付き貸し農園

比較表

市民農園とサポート付き貸し農園には、それぞれ異なるメリットと注意点があります。

どちらが自分に合っているかを検討するために、主な違いを比較表にまとめました。

項目市民農園サポート付き貸し農園
利用料金の安さ年5,000〜10,000円年50,000〜100,000円
初心者へのやさしさ基本サポートなしアドバイザー常駐・講習会あり
農具・資材の準備すべて自分で用意すべて完備、手ぶらOK
設備の充実度最低限(給水なしも)トイレ・水道・休憩所あり
契約の柔軟さ1〜2年で返却必須継続利用OK
申し込みのしやすさ年1回・抽選制が多いWebからいつでも申込可能
居住地制限の有無対象市町村在住者のみ制限なし
コミュニティ・交流地域交流はあるイベント・講習会が豊富
自由度(栽培方針など)完全に自分の自由指導やルールがある場合も

市民農園は費用の面では魅力がありますが、農具の準備や栽培の管理まですべて自分で行う必要があるため、ある程度の経験や知識がある方向けです。

一方、サポート付き貸し農園は費用はかかりますが、農具や資材が揃っており、わからないことをその場で相談できる環境が整っています。利用者同士の交流やイベントなどもあり、続けやすさも特徴です。

「家庭菜園が初めて」「育て方がわからない」「道具を持っていない」

そんな不安がある方には、まずはサポート付きの貸し農園から始めてみるのが安心です。

最近では、初心者でも気軽に家庭菜園を楽しめるように、農具や苗、肥料がすべてそろった貸し農園サービスが増えてきています。

中でも、全国で展開されていて利用者も多いのが、「シェア畑」と「マイファーム」です。

それぞれに特徴がありますので、簡単にご紹介します。

シェア畑

シェア畑」は、全国130か所以上で展開されている人気のサポート付き貸し農園です。

種苗や肥料はもちろん、クワやスコップといった農具、支柱や防虫ネットなどの資材まで畑に常備されており、手ぶらで通える手軽さが魅力です。

季節ごとの「作付け計画」があらかじめ用意されており、その中から自分で選んで植えるスタイル。

畑には菜園アドバイザーが常駐しており、講習会の開催や栽培テキストの配布など、「失敗しにくさ」を重視した手厚いサポート体制が整っています。

また、栽培の基本ルールとして有機質肥料による無農薬栽培が定められており、小さな子供がいる家庭や、安心・安全な野菜づくりにこだわりたい方にも適しています。

水道やトイレ、休憩スペースといった設備も整っており、季節ごとのイベントも開催されるなど、快適に楽しく続けられる環境が人気の理由です。

体験農園マイファーム

体験農園マイファーム

体験農園マイファーム」は、野菜づくりを通じて「自産自消のある暮らし」を楽しめる貸し農園です。

農園では、化学肥料や化学農薬を使わない「有機の野菜づくり」が基本ルール。自然に寄り添った方法で、安心して野菜を育てることができます。

畑には農具や肥料などがあらかじめ用意されており、種や苗は自分で選んで持ち込めるため、好きな野菜を自由に育てられるのも大きな魅力です。

栽培に迷ったときは、菜園アドバイザーがサポートしてくれるので初心者でも安心。「自分の手で育てた野菜を食べる暮らし」を目指す方から、これから家庭菜園に挑戦してみたい方まで、幅広く利用されています。

マイファームは本格的に農業を学べる「アグリイノベーション大学校」も運営しており、体験農園の利用者には入学特典も。