米ぬかボカシ肥(ぼかし肥料)の作り方と必要材料

完成した米ぬかぼかし肥料

有機栽培に欠かせない、元肥にも追肥にも使える万能肥料のボカシ肥。

ボカシ肥の必要材料から作り方、発酵が終わって完成したボカシ肥の様子まで、手順や注意点をまとめてます。

万能有機質肥料のボカシ肥

完成した米ぬかぼかし肥料

ボカシ肥とは、複数の有機質資材を発酵させることで、窒素・リン酸・カリの三要素をバランス良く含ませつつ、土中の微生物や根に影響を与えるガスが出なくなるまで分解させたもの。

生の有機質肥料であれば土に施してから微生物による分解が始まるため、種まきや植付けの2週間〜1ヶ月半ほどおかなくてはいけません。しかし、発酵済みであるボカシ肥であれば、施用してからすぐに種まきや植付けが可能です。

堆肥に比べて即効性があり、液肥よりも持続性があります。元肥にも追肥にも使えるので、化学肥料を使わない有機農業に欠かせない万能肥料です。

また、身近に手に入る材料を使って簡単に作ることができるのも特徴。作ったボカシ肥は半年ほど利用することができます。

作り方は2通り

ボカシ肥には、発酵方法により次の2通りの作り方があります。

  • 好気性発酵・・・切り返し作業が必要。完成までの時間が短い(2週間〜1ヶ月)。
  • 嫌気性発酵・・・切り返し不要(密閉)で簡単。完成まで時間が掛かる(2〜3ヶ月)。

どちらも得られる肥効はほぼ同じですが、作業の手間や掛かる時間に違いがあります。

ここで紹介するのは、切り返しが必要なく(袋に密閉して放置)、手間の掛からない嫌気性発酵での作り方を紹介します。

ボカシ肥の材料

一般的にボカシ肥の材料には、米ぬか、油粕、魚粉、鶏糞などが使われますが、種類の組合せや量に決まりはありません。

材料の種類や分量により成分含有量を調整できるというのも、ボカシ肥のいいところ。

例えば、窒素を多くしたければ油粕を増やす、リン酸なら鶏糞や魚粉、カリなら草木灰を入れるなど、それぞれの材料が持つ特徴を知ることで、目的に合わせたボカシ肥を作ることが可能になります。

基本となるボカシ肥の材料

ここで紹介するのは、米ぬかを主原料とした基本のボカシ肥です。

材料は次の通り。

上記の配合割合で、例えば、米ぬか 7.5kg:油かす 2.5kg:牡蠣殻石灰 2.5kg:水 1.25リットルとなります。

MEMO

米ぬか、油粕で三要素「窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)」をバランスよく含み、カキ殻石灰でカルシウムと微量要素に加え土壌改良の効果も得られる構成となっています。

発酵促進剤

米ぬかと水だけでも発酵するはずなのですが、発酵促進剤を入れることで、発酵分解作用を早めることができます。

MEMO

材料:20kgに対し、コーランネオ:400gほどの割合で投入します。

また、発酵促進剤を入れなくても、微生物(元菌)を追加投入すれば発酵は早まります。

私の場合は、元菌として「土着菌」を投入しています。

落ち葉の下で見つけた土着菌

雑木林などで落ち葉をめくるといる白い物質です。これを持ち帰って材料に混ぜ入れます。

また、前回作ったボカシ肥を少量残しておいて、次に加える時にそれを加えると、その菌が働いて、毎回ほぼ同質のボカシ肥を作ることができます。

ボカシ肥の作り方

まずは動画で流れを確認。

仕込み

まず、材料を必要分量だけ投入し、ジョウロで水を掛けながら、手でしっかりと混ぜます。

土着菌で米ぬかぼかし肥料を作る

米ぬかなので、素手で混ぜると、手がすべすべになりますよ(・ω・)b

気をつけないといけないのは水の量。水が多すぎると腐ってしまいます

米ぬかぼかし肥料の仕込み

目安としては、手で握って固まっても、指で押すとパラパラと砕ける程度にします。

で、採ってきた土着菌を投入。適当に手でちぎって混ぜ込みます。

土着菌を投入

出来上がったものは、袋に入れてナイロン袋で密封します。

米ぬかぼかし肥料の仕込み完了

発酵の過程で酸素が入ると、水と二酸化炭素に分解されてしまい肥料にならないそうなので、できるだけ空気を抜いて、しっかりと密封しておくのがコツ。

しばらく保管

密封した袋は、途中一度も開けずに保管しておきます。途中で切り返す必要もありません。

しばらくすると発酵が始まります。

好気性発酵と違って酸素がなくても発酵が進み、発酵熱は出ません(ずっと常温のまま)。

このまま雨と直射日光の当たらない場所に保管しておきます。

完成

仕込んでから、暖かい時期なら1ヶ月、冬季なら2〜3ヶ月ほどで発酵し終わり、肥料として使えるようになります。

保管していた米ぬかぼかし肥料

袋を開けてみて、ヨーグルトのような乳酸発酵の甘酸っぱい匂いがすれば、うまく発酵が終了したという証拠です(・ω・)b

発酵完了した米ぬかぼかし肥料

表面を覆うように付着している白いカビは混ぜ込んでもOK。塊になっているのをパラパラに崩して、風通しの良い日陰で乾燥させます。

完成したボカシ肥は乾燥させる

乾燥すると微生物が休眠して発酵が止まり、保存が可能になります。この状態で土嚢袋などに入れて保管しておきます。

注意

乾燥不足だとカビが生えたり、虫が入ったりするので、塊はこまかく砕き、薄く広げて中までしっかりと乾燥させましょう。

時間が経つと肥料効果が薄れるため、半年ほどで使い切るようにしましょう。

完成した米ぬかぼかし肥料

以上、米ぬかボカシ肥の作り方でした。

ボカシ肥の失敗例

仕込みの段階で水分が多すぎた場合、または、発酵段階で空気が入り好気性分解が進むと、こんな感じでグッショリになります。。

水分が多すぎてグッショリ濡れた米ぬかボカシ肥

触った感じ水分が多くて塊になっており、至る所に青カビが生えてます。

水分が多すぎて失敗した米ぬかぼかし肥料

復活させるのであれば、該当の箇所を取り除いて、乾燥した米ぬかを加え、また密封しておけば、残りの分でうまくできる可能性はあります。