スマートみどりくんを使って自分で土壌診断してみた

スマートみどりくんを使って自分で土壌診断してみた

土作りの前に土壌診断をすべく「スマートみどりくん」を使ってみたので、その紹介です。

みどりくん

土壌診断のベースとなるのは、農大式簡易土壌診断キット「みどりくん」。

外部に依頼すればお金も日数も掛かる土壌診断を、自分で簡単にすぐに診断できる簡易キットです。

測定できるのは次の4項目。

  • pH
  • 硝酸態窒素
  • 水溶性リン酸
  • カリウム

使い方は簡単。

採取箇所の深さ5〜10cmに採土器を差し込んで5ccの土を採取し、容器に入れます。

pH測定用の土壌を採取

市販の精製水を50ccのラインまで加えて、1分間振ります。

精製水を入れて振る

混濁液に試験紙を浸します。(濾過不要なのでお手軽。)

みどりくんの試験紙を浸す

反応させた試験紙を、それぞれのカラーチャートと見比べて測定します。

pH。見た感じ6.1〜6.2といったところでしょうか。

みどりくん土壌診断でのpH測定結果
MEMO

植物の栽培に適するのは一般的にpH6.0〜6.5。それより高ければ石灰資材は控えます。

硝酸態窒素。見た感じ20kg/10aといったところでしょうか。

みどりくん土壌診断での硝酸態窒素の測定結果

適正な硝酸対窒素量は植物により異なりますが、一般的には5kg/10a程度を目安に追肥の必要性を判断します。

水溶性リン酸。見た感じ35kg/10aといったところでしょうか。

みどりくん土壌診断での水溶性リン酸の測定結果

10kg/10a以上はリン酸過剰。アブラナ科野菜の根こぶ病ジャガイモのそうか病を助長するので注意が必要です。

水溶性カリウム。見た感じ10kg/10aといったところでしょうか。

みどりくん土壌診断でのカリ測定結果

10kg/10a以上はカリウム過剰。土壌の塩基バランスを崩し、拮抗作用によるマグネシウム欠乏症などの原因となります。

目視で測色する「みどりくん」ですが、「スマートみどりくん」ではこれを数値的に判定することができます。

スマートみどりくん

スマートみどりくんは、先の「みどりくん」の試験紙を、測色ツール「pico」を使って発色程度を判定し、スマホアプリで結果を見るというものです。

スマートみどりくんの仕組み

「みどりくん」と測色ツール「pico」と説明書がセットになって、全国のJA窓口で販売されています。

スマートみどりくんのキット

みどりくんを既に持っている場合は、「pico」と無料のスマホアプリ「Smart-M」を個別で入手すれば同様のことができます。(説明書はありませんが。)

使い方はまず、みどりくんで採取した試験紙をpicoで読み取ります。

picoはbluetoothで接続したスマホ上のアプリに送られます。

スマートみどりくんを使って自分で土壌診断してみた

アプリに入っている土壌用色見本から「ph・硝酸態窒素・リン酸・カリ」それぞれの色見本を選んで、スキャンした色を確認します。

すると、近似色の中から3つ候補値を表示してくれます。(近似度 底〜中〜大の精度)

スマートみどりくん土壌診断の測定結果

例えばpHだと、8.0(近似度 中)、7.0(近似度 中)、8.0(近似度 底)の3つの候補が示されています。

目視とだいぶ違う判定

みどりくんで目視した結果は次の通り。

  • pH・・・6.1〜6.2
  • 硝酸態窒素(kg/10a)・・・20
  • 水溶性リン酸(kg/10a)・・・35
  • 加里(kg/10a)・・・10

対して、スマートみどりくんでの判定結果は次の通り。(3候補、近似度 低〜中〜大の精度)

  • pH・・・8.0(中)、7.0(中)、8.0(低)
  • 硝酸態窒素(kg/10a)・・・4.5(低)、7.5(低)、15(低)
  • 水溶性リン酸(kg/10a)・・・7.5(低)、4.5(低)、15(低)
  • 加里(kg/10a)・・・1.5(低)、7.5(低)、7.5(低)

スマートみどりくんの判定結果は近似度がどれも低く、バラけています。目視したものと比べて差異が大きいのが気になります。

また、このとき同時に他の機器でもpH測定を行なっていたのですが、そこでもみどりくん目視と同じ6.2を指していました。

シンワ測定のアナログ/デジタル土壌酸度計の測定値を比較 シンワ測定のデジタル/アナログ土壌酸度計の測定値を比較

ところが、これをスマートみどりくんで読み取った結果は7.0または8.0となっているため、個人的には目視の方を信用しています… (説明書通りにやりましたが、使い方が悪いのかな?)

診断結果をどう活かすか

土壌診断をしたら、大切なのはその診断結果をどう活かすか。

この測定値をもとに施肥設計を行い、適切な土作りに繋げます。

土壌中の肥料成分が基準よりも多ければその成分を控えたり、不足していれば適切に補給することで、農産物の収量や品質を高めます。

施肥設計は簡単ではないので、きちんと行うのであれば次のような本が参考になります。

なかなか難しいのですが、適正施肥ができるようになって、収量・品質アップ、資材のコストダウンができるよう私も勉強中。