キュウリの栽培方法・育て方のコツ

キュウリの栽培方法・育て方のコツ

家庭菜園の初心者の方向けに、キュウリの栽培方法を紹介します。

基本情報

キュウリ栽培の様子
科目栽培スタート生育適温好適土壌pH連作障害
ウリ科種、苗22〜28℃6.0〜6.5あり:2〜3年あける

採りたてのシャキシャキとしたキュウリは、家庭菜園の楽しみのひとつ。

夏野菜の代表格ですが、時期をずらして栽培すれば初夏から秋まで収穫可能。1株で30本〜40本の収穫が見込めます。

生育スピードが早い(種まきから収穫まで約70日と、オクラインゲンと並んで果菜類の中で最も生育が早い)ので、肥料切れと水不足を起こさないような管理が重要。

また、つるが旺盛に伸びるので、適正に整枝をして風通しを良くすることが大切です。

収穫が遅れるとヘチマのように大きくなり、コリッとした食感や食味も薄れるので、早め早めに収穫していきましょう。

栽培のポイント
  • 生長が早く次々と実をつけるので、肥料切れさせない
  • 子づるは摘心して、親づるだけを伸ばす
  • 春まきから時期をずらして何度か作れば、長く収穫可能

栽培時期

キュウリの栽培スケジュールです。

キュウリの栽培時期・栽培スケジュール

上記は目安です。地域や品種により異なるので参考程度として下さい。

基本はポットで育苗して畑に定植。6月に入り気温が十分に高くなれば畑に直播きもできます。

時期をずらして栽培することで、長期間の収穫が可能となります。

MEMO

つる割病」など土壌伝染性病害の予防や、温度や土壌水分などの環境条件に対応しやすくした、カボチャを台木とした接木苗なども販売されています。

栽培方法

キュウリの栽培は、次のような流れになります。

種まき・育苗

気温が暖かくなる6月以降であれば、畑に種を直播きすることもできます。直播きの場合

ポット(3号:9cmサイズ)に3粒ずつ種をまき、厚さ1cmほどの覆土をして、たっぷりと水をやります。

まだ寒い時期は、保温資材を使って暖かい環境で育苗します。

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本葉がで始めたら1本に間引き、最終的に本葉3〜4枚の苗に仕上げます。

育苗日数発芽適温生育適温
30日前後25〜30℃22〜28℃
キュウリの育苗管理

土作り

耕運機で耕して土作り作業

キュウリ栽培で大切なのが土。根がしっかり張れば良質なキュウリがたくさん採れます。

根は浅く広く張るので、過湿や乾燥に弱く、排水性や通気性が悪い土だとうまく育ちません。また、成長が早く肥料切れを起こしやすいので肥沃さも必要です。

根が張りやすいように深さ15cmまでよく耕し、排水性を高めるために高畝にします。

土壌酸度(pH)の目安は6.0〜6.5です。

肥料

浅く広く張る根に合わせ、畝全体にまんべんなく元肥を鋤きこんでおきます。

キュウリは、茎葉を伸ばしながら実をつけていくので、栽培期間を通じて、バランスよく肥料を効かせます。「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスのとれた配合肥料がオススメです。

但し、いちどに大量の肥料を与えると根やけを起こして生育が悪くなるので注意。少しずつ何度も追肥することで調整します。

植え付け

本葉が3〜4枚出たら畑に定植します。

株間50〜60cmほど。つるの先が風で傷まないよう、仮支柱を立てて誘引しておきます。

定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやります。

晴天の暖かい日の午前中に植え付けると、活着がよくなります。また、若苗の方が定植後草勢が強くなります。

畑に直播きする場合

畑に直播きする場合は、気温が暖かくなる6月以降まで待ってから種まきをします。

株間50〜60cmほどで1箇所3粒に点蒔きし、本葉がで始めた頃に間引いて1本立ちにします。

支柱立て

1列で栽培する場合や株数が少ない場合は直立型、2列なら合掌型に支柱を立てます。

キュウリネット」を使用するとツル(巻きヒゲ)が勝手に絡みつくので誘引の手間が省けます。

親づるがネットにしっかり絡みつくまでは、麻ヒモなどを使ってこまめにネットに結びつけてあげましょう。

敷きワラマルチ

キュウリ栽培に敷きワラマル

キュウリは本来、地面を這って生育する植物。

そのため、支柱に誘引する場合は、地を這う茎葉の代わりに、浅い根を守るために敷きワラや刈草を敷くと良いです。土の乾燥を防ぐと共に、雨による泥跳ねを防いで「べと病」などの病気を抑える働きもあります。

尚、ワラは薄めに敷くこと。

ワラが厚すぎると、水分が地表まで十分にあるため、浅根を好むキュウリは敷きワラと土の間に根を伸ばします。このため、天候による過乾・過湿の影響を受けやすく、生育障害や病害虫の発生原因となりやすくなります。

整枝・摘芯・摘花・摘葉

キュウリの脇芽かき

生育初期に根を十分に伸ばして、根張りを良くしておくことがキュウリ栽培の秘訣。

そのため、株元から5節までのわき芽・雌花は摘み取ります

それより上にあるわき芽は子づるとして伸ばします。

子づるに雌花がついたら、その先についている葉を2枚残し、そこから先のつるは摘み取ります(子づるに1〜2果が目安)。

キュウリ子づるの摘芯

そうすることで、子づるの枝葉が茂りすぎて風通しが悪くなるのを防ぎ、他のわき芽の生長を促します。

また、親づるはネットの先端まで届いたら摘心します。すると、親づるの中段あたりから子づるが出てきて収量が増えます。

摘葉・下葉かき

摘葉は、風通しや採光を良くして果実品質を高め、管理作業をしやすくするために欠かせません。

収穫が始まったら株元の古い葉や大きい葉を取り除いてすっきりさせます。黄色に老化した葉や病害虫に侵された葉は適時取り除きます。

但し、下葉を除きすぎると樹勢の低下を招きやすいので注意しましょう。

追肥

キュウリは生長が早く次々と実をつけるので、定期的に追肥して肥料切れさせないように育てます。

キュウリには定期的に追肥する

植え付けから2週間後を目安に、1回目の追肥を株間にまきます。

その後、2〜3週間に1回のペースで追肥をします。

1回目は株元に、2回目は畝の肩に、3回目は畝の脇に施す、というように根の成長に合わせて追肥の場所を変えてやります。

人工授粉は必要ない

キュウリの花は雌雄異花で、自然条件下での受粉は虫媒による他花受粉が行われます。

しかし、キュウリは「単為結果性」が強く、受粉しなくても結実する性質があるため、人工授粉の必要はありません。

花の付け根から茎の間に小さなキュウリがついているのが「雌花」、ないものが「雄花」です。

水やり

キュウリの95%以上は水分であり、土壌水分は果実の肥大に重要な役割を果たしています。

そのため、果実の肥大期に水分が不足すると、果実の肥大が著しく悪くなったり、曲がり果尻細り果などの変形果を生じやすくなります。

肥大期に水分不足にならないように、水やりはしっかりと行うようにしましょう。

収穫

収穫適期のキュウリ

実がつきはじめたはじめの2、3本は、株の成長のため小さいうちに収穫します。

その後は、長さ20cm〜22cmくらいになったものから収穫します。

収穫の際、実の表面のトゲがとれると鮮度が落ちてしまうので、首のほうを持ち、ハサミで切って収穫します。

また、朝に収穫した方がみずみずしくておいしく味わえるので、早い時間帯に収穫するのがポイント。

あっという間に大きくなるキュウリ

大きくなりすぎたキュウリ

キュウリは株につけたままにすると、あっという間に大きくなります。

MEMO

開花後3〜4日はゆるやかに肥大しますが、5〜6日目には1日に2倍近い大きさに肥大。果実が肥大するのは、昼間よりも夜間です。

未熟果を食すキュウリは、開花後7日〜10日が収穫の目安です。

収穫が遅れて果実が肥大すると、養分を種に集めるため他の結実が悪くなります。

また、なり疲れ(スタミナ切れ)て樹が弱ると病害虫がつきやすくなるため、こまめに収穫して実を大きくさせ過ぎないようにしましょう。

種取り(自家採種)

キュウリの種を自家採種する場合は、種とり用に完熟するまでキュウリを育て、次の動画のようにして種を取ります。

MEMO

ゼリーに包まれたままの状態で袋に入れて縛り、1-2日置いておくと、発酵してゼリーを取り除きやすくなります。うちではこの過程を省き、ザッと水洗いするだけですが特に問題ありません。

うちではこのやり方で固定種を自家採種しています。

連作障害とコンパニオンプランツ

連作障害

同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すると、土壌中の成分バランスが偏って、病気や生育不良になりやすくなる「連作障害」。

キュウリは連作障害を避けるために、同じ場所での栽培間隔を2〜3年あけるようにします。

避けられない場合は接木苗を利用しましょう。

コンパニオンプランツ

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった良い影響が出る「コンパニオンプランツ」。

キュウリの代表的な土壌病害「つる割病」を予防するには、コンパニオンプランツとして「長ネギ」を一緒に植えるのがオススメです。

キュウリ×長ネギのコンパニオンプランツ

植え穴を大きめにしてネギを2本底に置き、その上にキュウリを植えると、ネギの根に病原菌を防ぐ拮抗菌が繁殖してキュウリの病原菌を防ぐ効果があります。(参考記事

栽培Q&A

キュウリの白い粉プルーム

キュウリ表面に発生する白い果粉を「ブルーム」と呼びます。(主成分はケイ酸)

ブルームは、果実の水分が奪われるのを防ぐためにキュウリが出すもので、食味には関係ありません

しかし、消費者にはブルームがないキュウリの方が好まれるため、ブルームの発生しない「ブルームレス」品種や、ケイ酸吸収の悪い台木を利用した苗などもあります。

MEMO

ブルームは雨水を弾き、病原菌が感染するのを予防し、美味しさや新鮮さを保つ働きがあります。ところが、この白い粉を見て、カビが生えている、農薬がついているなどと誤解されたために、ブルームレス・キュウリが開発されました。

キュウリの奇形果

株が老化して根の活性が落ちると、先細り曲がり果が増えてきます。

そうならないよう、株が小さい内はわき芽・花芽を摘んでおくことで、根茎を充分に発達させておくことが大切です。

また、肥料・水分不足が原因の場合もあるので、追肥・水やりは随時行います。

尚、奇形果は見つけたら早採りして、樹の負担を軽くしてやりましょう。

それぞれの生理障害の主な原因は、次のようになります。

  • 曲がり果・・・株の老化、摘葉しすぎ、日照不足、肥切れ
  • 尻細り果・・・水分不足、単為結果性が低い品種の受粉障害
  • くくれ果・・・草勢が低下したときに高温・乾燥が続く

果肉に穴があくのは、水分不足が原因です。

土壌中の水分不足の他、根の張りが不十分、根が傷んでいるために水が吸収できない場合もあります。

キュウリは根の張りが浅く乾燥の影響を受けやすいため、敷きワラなどでマルチングすることで、根を保護しながら土の乾燥を防ぐことができます。

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