かかし

病害虫の防除方法

かかし

病害虫防除の方法は、耕種的防除、物理的防除、生物的防除、化学的防除の4つに分類することができます。

それぞれの防除方法について紹介します。

耕種的防除

栽培方法を変えることで防除する方法です。

輪作、土壌改良、品種改良による病害抵抗性品種や台木の利用などがあります。

輪作

同じ作物を連作すると土壌病害や線虫の被害が多くなります。(連作障害)

これら病害虫の被害は、類縁関係の遠い作物と輪作することにより軽減することができます。

⇛ 連作障害の原因と対策、各野菜の輪作年限について

土壌改良

土壌の保水性・排水性・通気性・生物性・化学性が悪いと病害虫発生の原因にもなります。

そのため、土壌改良により地力を高めることが大切です。

抵抗性品種

同じ作物でも品種によって病害虫に対する抵抗性は異なります。

病害虫に強い品種を選ぶことで、病害虫に対する被害を抑えることができます。

台木・接木苗

土壌病害は根から侵入するので防除が難しく連作障害の一因にもなります。

そこで、接ぎ木の台木に抵抗性のあるものを使うことで、土壌病害に対して抵抗性を持たせることができます。

ピーマン接木苗

例えば、キュウリやスイカなどの「つる割病」には、カボチャやユウガオを台木にした接木苗などがあります。

物理的防除

光や熱などの物理的手段を利用して防除する方法です。

誘蛾灯や黄色蛍光灯、太陽熱を利用した土壌消毒、マルチング、防虫ネットなどがあります。

誘蛾灯・黄色蛍光灯・光反射テープ

光を利用するものでは、虫が光によってくる性質を利用した「誘蛾灯」や、夜行性害虫の行動を抑えるために、虫の嫌う「黄色蛍光灯(防蛾灯)」があります。

また、「アブラムシ」などに対しては、反射光を嫌う性質を利用して、シルバーマルチを敷く/銀色の光反射テープを張るのも有効です。

アブラムシの予防に銀色の光反射テープを張る

土壌消毒

土壌消毒は、土壌線虫や土壌伝染性の病害を防除するために行います。

薬剤による方法と熱による方法があり、熱による方法には蒸気消毒や熱水消毒、太陽熱消毒があります。

⇛ 太陽熱マルチ殺草処理(太陽熱土壌消毒)

マルチング

マルチングは、地温の管理、乾燥や雑草を抑制するだけでなく、降雨時の土の跳ね上がりを防ぐことで、土壌中に生存する「疫病」などの茎葉への感染を防ぐ効果があります。

マルチング
稲わらマルチ

マルチング資材にはいくつか種類があり、それぞれの次のような特徴があります。

  • 黒色マルチ・・・地温上昇、光を通さないため雑草抑制効果
  • 白色マルチ・・・地温抑制
  • 透明マルチ・・・地温上昇、光を通すため雑草抑制効果はない
  • シルバーマルチ・・・地温抑制、太陽光反射による害虫の飛来防止
  • 白黒マルチ・・・表が白色(光を反射)で裏が黒色(遮光性高い)のマルチ、地温抑制効果が高い
  • 銀黒マルチ・・・表が銀色(光を反射)で裏が黒色(遮光性高い)のマルチ、地温抑制+アブラムシ等の害虫防除

他にも、稲わら、落ち葉、紙、バークチップなど生分解性で栽培終了後に土にすき込める有機物資材もあります。

防虫ネット(被覆資材)

防虫ネット
不織布のベタ掛け

防虫ネットや寒冷紗、不織布などの被覆資材でトンネルを張る/ベタ掛けをすることで、害虫の進入を遮断します。

被覆資材にはいくつか種類があり、それぞれの次のような特徴があります。

  • 防虫ネット・・・目が細かく、虫が嫌う光を反射する糸が織り込まれてるなど、防虫効果が高い
  • 寒冷紗・・・防虫ネットより遮光率が高く、夏の強い日差しを和らげる効果も
  • 不織布・・・多孔質の布状、保湿効果が高く主にベタ掛けで利用

生物的防除

有害生物の生活の特性などから、自然界に存在している天敵を利用して防除する方法です。

捕食性昆虫、寄生蜂、捕食性ダニ類、天敵微生物、拮抗細菌などがあります。

天敵

害虫を食べて退治してくれる虫(天敵)を利用する防除方法。

他の生物や生態系に対する負荷が少ないことや、食う食われるの関係が安定すると防除の効果が長く続くなどの利点があります。一方で、条件によっては効果が安定しない、他の農薬散布が難しくなるなどの問題もあります。

天敵の例:
アブラムシに対するテントウムシ、クサカゲロウ、ネキリムシに対するオサムシ・ハネカクシ、タバココナジラミに対するタバコカスミカメなど

これら天敵(微生物や昆虫など)を生きた状態で製品化した「天敵製剤(生物農薬)」として入手可能です。

バンカープランツ

天敵を圃場内に定着させるための植物。

代表的なものに、ムギ類やソルゴーなどがあります。

インターセクタリープランツ

インターセクタリープランツとは、天敵涵養(かんよう)植物とも呼ばれ、害虫を食べ尽くしてしまった天敵に花蜜や花粉で餌を提供したり、天敵を誘引する「餌場」となる植物のこと。

代表的なものに、マリーゴールドなどがあります。

化学的防除

農薬を散布することにより防除する方法です。

病気の防除に用いられる「殺菌剤」、害虫の防除に用いられる「殺虫剤」、他に人工性フェロモンの利用などがあります。

農薬

病気の防除は、病原菌に感染する前にそれを防ぐ「予防」と、感染後に進行を阻止する「治療」とがあります。一般に、病気は発病してからでは治療が困難なため、予防に重点が置かれます。

殺菌剤の効果は予防効果と治療効果に分けられ、両者のいづれかに限定されるものではありませんが、そのどちらかに優れているものが大半です。そのため、その特性を把握して適切な場面に使用することが大切です。

殺虫剤は、害虫への作用の仕方から、消化中毒剤、接触剤、くん蒸剤、浸透移行剤などに分けられます。

尚、特定の害虫を防除するために散布した薬剤が、対象害虫の天敵をも駆除してしまい、害虫の多発を招くこともあるため注意が必要です。(天敵に対して害の少ない「選択性農薬」というものもあります)

また、天然物由来の素材を使うことで、有機栽培にも利用可能な農薬もあります。

病害虫ごとに適した農薬を見る

微生物農薬

微生物農薬とは、農作物を害する病害虫を防除する能力を持った、細菌、カビ、ウイルス、天敵センチュウなどのこと。

⇛ 天敵

対象の病害虫以外への影響が少なく、化学合成農薬のように抵抗性を生じさせることも少ないと言われています。

除草剤

除草剤は、雑草が発芽する前に使用する「土壌処理剤」と、成長した雑草に直接散布する「茎葉処理剤」に大別されます。

また、全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」と、雑草だけを枯らす「選択性除草剤」があります。

性フェロモン

成虫のメスがオスを誘引するために放出する物質を「性フェロモン」と言います。

人工的に合成し害虫のオスを誘引することで大量に捕獲し交尾を防ぐことで防除する方法と、性フェロモンを濃い濃度で散布しオスとメスの交信を混乱させて交配できなくする方法があります。

また、フェロモントラップとは、寄ってきた害虫を水や粘着液などで殺虫するもので、フェロモントラップに寄ってくる個体数をモニタリングして今後の発生予測を立てるのにも使われます。