コンパニオンプランツの組み合わせと効果

違う種類の野菜を混植することで、病害虫を抑えたり生長を助ける「コンパニオンプランツ」。

主なコンパニオンプランツの組み合わせ例とその効果をまとめています。

コンパニオンプランツとは

野菜には、それぞれ集まりやすい特定の虫があり、出やすい病気なども異なります。

こうした特性を利用して、違う種類の野菜を一緒に栽培することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといった、良い影響が出る組合せを「コンパニオンプランツ(共生植物)」と言います。

コンパニオンプランツ

コンパニオンプランツによる効果には、次のようなものがあります。

  1. 害虫を防除する
  2. 病気を予防する
  3. 生長を促進する
  4. 必要とする養分を供給する
  5. 空間を有効活用できる

1.害虫を防除する

害虫は自分の好みの植物を探すとき、多くは匂いに頼っています。

異なる種類の野菜を混植すると、害虫は混乱し、目当ての野菜を探すのが難しくなります。

また、キク科、セリ科、シソ科など、強い香りを持つ野菜を用いると、それを嫌う害虫は近づかなくなり、近くで育つ他の種類の野菜も守られます。

2.病気を予防する

例えば、ヒガンバナ科(ネギ科)の野菜は、根に共生する微生物が抗生物質を出して、ウリ科、ナス科などの病原菌を減らします。

また、異なる種類の野菜が育つことで、生物相が豊かになり、特定の病原菌の増幅を防いでくれる効果もあります。

3.生長を促進する

異なる種類の野菜を近くで育てると、草丈が大きくなったり、収量が増えたりと、生育がよくなることがあります。

科学的には解明されていないケースはあるものの、葉や茎、根から分泌される特定の物質が他の種類の野菜の生育に役立っていると考えられます。

また、土壌の生物相が多様になり、肥沃になることで、生育が促進される効果もあります。

4.必要とする養分を供給する

マメ科の野菜は根に根粒菌が共生していて、空気中の窒素を固定することで、土壌を豊かにします。

そのため、マメ科の野菜を混植することで、生育促進に繋がります。

また、野菜の種類によって、それぞれ必要とする肥料成分が異なり、互いに融通し合うことで、双方の育成がよくなることもあります。

5.空間を有効活用できる

草丈の違いを利用して株元のあいた空間を利用したり、生育速度の違いを利用して野菜が大きくなる前に別の野菜を栽培するなど、空間を有効活用することで、トータルの収量が増加します。

コンパニオンプランツが、限られた面積で行う家庭菜園に向いている大きな理由の1つです。

コンパニオンプランツの組み合わせと効果

主なコンパニオンプランツの組み合わせ例とその効果をまとめています。

主とする野菜 コンパニオンプランツ 効果
アブラナ科の野菜
キャベツ
コマツナ
チンゲンサイ
ブロッコリー
など
キク科の野菜
シュンギク
レタス
セリ科の野菜
ニンジン
独特の香りが、アブラナ科につく「モンシロチョウ」「コナガ」などの害虫を防除する
コマツナ
チンゲンサイ
ミズナ
ニラ ニラの香りが、アブラナ科野菜につく害虫「ダイコンハムシ」を忌避する。刈り取ったニラの葉を畝に敷くだけでも効果あり。
キュウリ
カボチャ
スイカ
ネギ ネギ属植物の根に共生する拮抗菌が分泌する抗生物質が、土壌中の病原菌を減らす。根が浅いタイプのウリ科野菜には、同じように根が浅いネギとの相性がいい。(参考記事
トマト
ナス
ピーマン
ニラ ネギ属植物の根に共生する拮抗菌が分泌する抗生物質が、土壌中の病原菌を減らす。根が深く伸びるナス科野菜には、同じように根が深く伸びるニラとの相性がいい。
トマト
ナス
ピーマン
ラッカセイ ラッカセイの根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にする。
根に付く菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする。
トマト バジル バジルの香りがトマトにつくアブラムシなどの害虫を忌避。また、トマトの根の周囲の水分を適度に保ってくれるため、糖度などの品質向上にも。
イチゴ ニンニク 開花が早くなり収穫期間が伸びて収量が増える。ニンニクの香り成分「アリシン」には強い抗菌力があり、イチゴの病気が抑えられる。
サツマイモ 赤ジソ 赤ジソが過剰な肥料分を吸収して、サツマイモのつるぼけを防ぐ。
赤ジソの赤い葉色が、サツマイモを食害するアカビロウドコガネを忌避する。
ショウガ サトイモ どちらも日陰・水分を好む似たもの同士。
サトイモの日陰でショウガがよく育つ。
単独で育てた場合よりどちらも生育が良くなる。
タマネギ クリムソンクローバー タマネギにつく害虫「アザミウマ」を引き受け、天敵も呼び寄せる。
マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にする。
トウモロコシ インゲン
エダマメ
トウモロコシの天敵「アワノメイガ」が寄り付かなくなる。
マメ科の根に付く根粒菌が空気中の窒素を固定して土壌を肥沃にする。
根に付く菌根菌がリン酸分などの養分を吸収しやすくする。
ニンジン エダマメ お互いの害虫を予防する働きがある。
ニンジンの「アゲハチョウ」と、エダマメの「カメムシ」を寄せつけにくくし、双方の生育も促進する。
ニンジン ダイコン ともに直根性で競合せず肥料分が少ない土で育つため、同じ畝で混植できる。
同じ根菜類でもニンジンはセリ科、ダイコンはアブラナ科と科が異なるため、互いの害虫を忌避することができる。
ホウレンソウ 葉ネギ 葉ネギがホウレンソウの硝酸を減らし、えぐみが少なく甘くなる。
ネギの根に共生する拮抗菌が、特定の病原菌を抑える。
カブ 葉ネギ 病害虫の発生が抑えられる。葉ネギが過剰な養分を吸収することで、苦みがなく甘いカブになる。
インゲン ゴーヤ どちらもつる性野菜なので支柱やネットを有効活用できる。
インゲンにつくアブラムシ、カメムシ、アズキノメイガなどの害虫を忌避する。
コンパニオンプランツの組み合わせ例と効果

他にも良い組み合わせはたくさんあります。

もっと詳しく知りたい場合は、88種類もの組み合わせを図解で詳しく紹介されているこちらの書籍がオススメです。

野菜の科ごとの性質

コンパニオンプランツは個々の野菜で相性のいい組み合わせをみていくと、数が多くて複雑に見えます。

しかし、ほとんどは植物分類学上の「科」ごとに性質が似ているため、それらの傾向を覚えておくと応用することができます。

野菜 性質
アブラナ科 キャベツ
ハクサイなど
キク科セリ科との混植が害虫防除に効果的
イネ科 トウモロコシ
ムギなど
マメ科と相性がよい。
不要な肥料分を吸収するクリーニングクロップとしても使える。
ウリ科 キュウリ
スイカなど
マメ科と相性がよい。
ヒガンバナ科(ネギ科)を混植して病気予防。
キク科 シュンギク
レタスなど
独特の香りで害虫防除に役立つ。
アブラナ科と相性がよい。
シソ科 シソ
バジルなど
独特の香りで害虫防除に役立つ。
ハーブはアレロパシーで野菜の生育を抑制するものがあるので注意。
セリ科 ニンジン
ミツバなど
独特の香りで害虫防除に役立つ。
アブラナ科と相性がよい。
ナス科 トマト
ナスなど
アブラナ科とは相性が悪いものもある。
マメ科と相性がよい。
ヒガンバナ科(ネギ科)を混植して病気予防。
ヒガンバナ科
(ネギ科)
ニラ
ネギなど
根につく拮抗筋が一部の病原菌を抑える
マメ科 インゲン
エダマメなど
根につく根粒菌により土壌を肥沃にする
野菜の科ごとのおおまかな性質
どの野菜がどの科目に属しているか

相性の悪い組み合わせと理由

悪影響

植物の組合せには相性の良いものばかりではなく、一緒に植えると悪影響を及ぼすものもあります。

植え合わせの際に、避けたい組み合わせとその理由をまとめています。

主とする野菜 避けたい野菜 理由
キャベツ ゴマ キャベツの生育が悪くなる
イチゴ ニラ イチゴの生育が悪くなる
キュウリ
スイカ
ニンジン
インゲン ネコブセンチュウ」など線虫害の発生する畑では被害が増大する
ジャガイモ キャベツ キャベツのアレロパシー(他感作用)により、ジャガイモの生育が悪くなり収量が減る
ダイコン 長ネギ ネギが出す成分を嫌って避けるようになり、ダイコンが曲がったり二股になったりする
トマト ジャガイモ トマトの生育が悪くなる
ナス トウモロコシ どちらも日光を好むため、草丈の高いトウモロコシの影になり生育が悪くなる
レタス ニラ レタスの生育が悪くなる
野菜全般 ラベンダー
ローズマリー
生育が悪くなる
相性の悪い組み合わせ例と理由